32 / 76
3 魔族と同盟を結ぼう!だって、魔王をテイムしてるんだもん。
3ー10 宴にて
しおりを挟むリイルは、俺たちを宰相の執務室へと案内した。
「魔王様は、今、体調がお悪く残念ながらお会いできない。話は、この私がお聞きしよう」
ええっ?
俺とエリオットは、アイコンタクトをとった。
こいつら、アズミちゃんがいないってこと隠してる?
「そうですか」
俺は、残念そうなふりをした。
「それは、大変ですね」
それから、俺たちは、商談に入った。
リイルは、俺たちの持ってきた塩を全てと香辛料を魔石と交換することを承諾した。
リイルの提示した魔石の量は、俺の銃弾5万発分はあった。商売としては、かなりいい話だ。
俺は、他の品もすすめることにした。
「革製の丈夫なブーツや、小型の収納袋、それに、ムーアの毛織物もありますが、いかがですか?」
「うむ」
リイルは、特に興味を持っている様子はなかったが、言った。
「城の者たちが興味を持つやもしれんな。ぜひ、拝見したい」
「では、すぐにお持ちします」
俺たちは、一旦、船に戻ると、他の商品を積み込んで城へと引き返した。
城の入り口で店開きをすると、城の調理人やら、メイドたちやらがやってきたので、俺たちは、野菜やら、ムーアの毛織物やらをすすめてみた。
俺たちの持参した穀物や野菜、毛織物などの商品は、けっこうな値段で売れた。
俺は、ホクホクだった。
なにしろ、支払いは、全て魔石で行われたわけだからな。
かなりの儲けが期待できた。
リイルは、俺たちに大きな箱3箱分の魔石を支払うと言った。
「これからも度々、お付き合いを願いたいものだが、どうかな?カナメ殿」
「もちろん、喜んで」
俺は、笑顔で答えた。
その夜は、リイルに城で催される宴に招待された。
俺とエリオットは、それに応じることにした。
アリサとアズミちゃんは、船に残ってもらうことになったが、姫は、ついて来る気満々だった。
「でも、そんな楽しい席じゃないし」
俺は言ったのだが、姫は、引かなかった。
「あなたたちだけを危険な目にあわせるわけにはいきません」
仕方なく、俺たちは、姫を伴って城へと乗り込むことになった。
姫は、青い美しいドレスを身に付けていた。それは、最近、栽培を始めた綿で作ったものだった。
「大袈裟な。こんな宴にドレスなんて」
エリオットが言うと、姫は、にっと笑った。
「ドレスは、女の戦闘服ですのよ」
姫の言う通りだった。
船で城へと乗り付けた俺たちを迎えたリイルたちは、確かに殺気だっていた。
これは。
俺とエリオットは、身構えた。
だが。
連中は、姫の姿を見たとたんに、態度を変えた。
「お手をどうぞ、美しい方」
「ありがとう」
姫は、堂々とした態度でリイルに手を差し出すと、船を降りた。
「お招きありがとうございます、宰相閣下」
リイルたちと一緒に和やかに談笑しながら城へと入っていく姫に俺とエリオットは、顔を見合わせた。
さすが、元大国の姫というのは伊達ではなく、姫は、その宴の場で男たちを手玉にとっていた。
現騎士団長のオルセイにいたっては、姫の手をとりプロポーズまでしていた。
「どうか、私の子を産んで欲しい」
「まあ」
姫は、目を丸くしていたが、すぐに、ふわりと微笑みを浮かべた。
「私、強い男の方は、嫌いではありませんわ」
その場がわっと沸いた。
その夜は、男たちが姫をめぐって次々と決闘を繰り広げることになった。
城の女たちはというと、俺とエリオットに次々と現れては、酒をすすめたり、焼いた肉をすすめたりしてくれた。
「私は、リイルの妻、エリサと申します。こちらは、私の娘、ラミア」
「あの、よろしくお願いします」
妖艶に微笑む猫耳族の黒髪の美女と頬をポッと染めている灰色の髪の猫耳族の美少女が俺たちの横にそれぞれ座り、話しかけてきた。
「いいときに来られましたわね、カナメ様」
俺の隣に座ったエリサがにっこりと笑いかけてきた。
「この国の女たちは、みな、あなた方のような強い男がとても好きなんですのよ」
マジか?
エリサの胸がぐいぐい俺の腕に押し付けられている。俺は、困って横にいるエリオットの方を見た。
だが、エリオットは、にやりと笑っただけで、気弱そうなラミアと楽しげに談笑していた。
ちっ。
いい気になりやがって。
俺は、にっこりと微笑んでエリサに言った。
「あまり俺に馴れ馴れしくされると、宰相閣下が焼きもちを焼かれますよ」
「あら」
エリサは、笑みを浮かべて言った。
「あの人だって、あなたのお連れの方と楽しんでいるんですもの、何も問題ありませんわ」
3
あなたにおすすめの小説
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル
14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった
とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり
奥さんも少女もいなくなっていた
若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました
いや~自炊をしていてよかったです
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜
夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。
不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。
その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。
彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。
異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!?
*小説家になろうでも公開しております。
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる