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6 ゲートを開け!敵は、クリスティア王国にあり!!
6ー4 エレクシアの女王
しおりを挟むそれから、姫は、部屋へと閉じ籠ってしまった。
食事もとらず、ただ、ぼんやりとベッドに横たわって空を見つめている。
魂のない人形になってしまったような姫の様子に俺たちは、すごく心配していた。
カリファに言われたことがよほどの衝撃だったのだろう。
カリファは、あの後、捕らえられて丘の上の屋敷の一室へと閉じ込められていた。
彼もまた、傷ついているのだろう。
誰とも口をきくこともなく、黙ったまま、壁を見て、過ごしていた。
姫のたった1人の理解者となれる筈のカリファのしたことに、俺もまた、ショックを受けていた。
俺は、なんのためにバサラティ王の依頼を受けたのか。
そうしているうちに、季節は移り行き、エレクシア王国に、今年最初の雪が降った。
俺は、クリスティア王国への出発を取り止めて、毎日、姫の様子を見に丘の上の屋敷へと通っていた。
毎日、変わった花を農園で摘んで持っていったり、お菓子を持っていったりして、姫に話しかけていたが、姫は、変化がなかった。
アリサは、屋敷に泊まり込んで、姫の世話をしていた。
だが、姫は、表情1つ動かすこともなく、俺たちは、もはや、姫の魂は、失われてしまったのかと思い始めていた。
そんなある日のことだった。
その日も、俺は、丘の上の屋敷へ、姫に会いに行った。
雪の降る中を丘の上の屋敷まで歩いた俺の肩には、雪が積もっていた。
俺は、その日、農園の温室で育てていた白いマーガレットの花を持っていっていた。
俺は、肩に雪をのせたまま、姫の部屋の花瓶に花を飾っていた。
「外は、雪だ。街では、子供たちが雪遊びをしていたよ」
俺は、いつものように、一人、姫に話しかけていた。
「今頃」
不意に、姫が固い声で呟くのが聞こえて、俺は、耳を疑った。
姫は、ポツリと呟いた。
「クリスティア王国は、雪の中でしょうね」
「そうなのか?」
俺は、久しぶりにきいた姫の声に、なんだか、胸が痛んだ。
「俺は、あんたの国のことなんて、知らない。だけど、俺は、クリスティア王国を滅ぼすつもりだ」
「そう」
姫は、なんの感慨もない声で言った。
「あなたなら、可能でしょうね」
「いいのか?姫」
俺が聞くと、姫は、肩をすくめた。
「私は、もう、クリスティア王国の姫でもなければ、クリスティアの王家の者ですらもないわ」
「記憶を」
俺は、姫にきいた。
「消して欲しい?」
「いいえ」
姫は、頭を振った。
「私は、この記憶をあなたに奪われたくはないわ、カナメ」
姫がベッドの上に身を起こそうとしたので俺は、手を貸した。
姫は、ベッドに腰かけて俺に微笑みかけた。
「私は、誰がなんと言おうとも、マージニア・ラニ・クリスティアに違いないもの。父上と母上に愛されて、大切に育てていただいたのは、私以外の何者でもないわ」
うん。
さすが、姫だ。
俺は、姫に微笑み返した。
誇り高くて、傲慢な姫。
こんなことぐらいじゃ、変わることなんてない。
このエレクシアの女王、だ。
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