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第2章 聖女の騎士
2ー11 パーティの始まり
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2ー11 パーティの始まり
「しかし、カイラは、まだ15歳だし、そんな話は、まだまだ早いだろう」
アルタス様のいう通りだ。
何よりわたしは、聖女様の騎士になるためにサリタニア王立魔法学園に入学するのだからそんな浮いた話はないだろう。
しかし、ウルティア様は、力説した。
「これだけ美しいんですもの、きっとたくさんの男の子があなたのこと好きになるに違いないわ」
いや。
わたしは、苦笑した。
そんなわけがない。
何しろ、わたしはカイラなのだ。
孤児院では、つまはじきにされていたし、こんなわたしを好きになる人がいるわけがない。
わたしは、ぼんやりと貴族街を眺めながら思っていた。
ただ。
一人だけでもいいから友だちは、ほしい。
前世では、病弱で部屋にこもっていたし、今生でも嫌われ者だったわたしは、マオの他には友だちがいなかった。
この学園生活でなんとか友人の一人でも作れたら。
わたしの胸は高鳴っていた。
友だちって、どんな感じなのだろうか。
本で読んだみたいに友情を誓うために友愛の神の前で約束をしたりするのかな。
そんなことを考えてどきどきしているうちにグリザリオス公爵邸に到着した。
門前にはいくつもの馬車が並んでいてわたしたちもそこに加わった。
大公閣下のお屋敷に入るのは、身分の高い方からなので辺境伯であるルドクリフ伯爵の馬車は、比較的速やかに通された。
立派な門を通って馬車止めに止まった馬車から降りると白髪に立派な髭を生やした身なりのいい紳士が待っていた。
「久しいな、アルタス」
アルタス様が貴族の礼をとる。
「この度はお招きいただきありがとうございます、大公閣下」
「他人行儀なことを。それより、その子がカイラか?」
「はい、そうでございます」
アルタス様がわたしを呼び寄せると大公閣下に紹介した。
「我が娘、カイラでございます」
我が娘。
その言葉に心を打たれたわたしは、一瞬遅れて淑女の礼をとる。
「はじめまして。カイラでございます」
震える声でやっとそれだけ答えたわたしを見てグリザリオス公爵閣下は、目を細められた。
「これはこれは。噂では、聖女様が騎士にと望まれたとのことだが、なんとも美しい娘ではないか」
「ありがとうございます」
アルタス様が満面の笑みを浮かべられる。
「自慢の娘でございます」
マジで。
わたしは、頬が染まるのを感じた。
こんなに嬉しいことは、前世も含めてなかなかなかったし。
喜びを噛み締めているわたしに大公閣下は、優しく微笑まれた。
「楽しんでくれると嬉しいよ、カイラ。君に幸福があらんことを願っている」
「しかし、カイラは、まだ15歳だし、そんな話は、まだまだ早いだろう」
アルタス様のいう通りだ。
何よりわたしは、聖女様の騎士になるためにサリタニア王立魔法学園に入学するのだからそんな浮いた話はないだろう。
しかし、ウルティア様は、力説した。
「これだけ美しいんですもの、きっとたくさんの男の子があなたのこと好きになるに違いないわ」
いや。
わたしは、苦笑した。
そんなわけがない。
何しろ、わたしはカイラなのだ。
孤児院では、つまはじきにされていたし、こんなわたしを好きになる人がいるわけがない。
わたしは、ぼんやりと貴族街を眺めながら思っていた。
ただ。
一人だけでもいいから友だちは、ほしい。
前世では、病弱で部屋にこもっていたし、今生でも嫌われ者だったわたしは、マオの他には友だちがいなかった。
この学園生活でなんとか友人の一人でも作れたら。
わたしの胸は高鳴っていた。
友だちって、どんな感じなのだろうか。
本で読んだみたいに友情を誓うために友愛の神の前で約束をしたりするのかな。
そんなことを考えてどきどきしているうちにグリザリオス公爵邸に到着した。
門前にはいくつもの馬車が並んでいてわたしたちもそこに加わった。
大公閣下のお屋敷に入るのは、身分の高い方からなので辺境伯であるルドクリフ伯爵の馬車は、比較的速やかに通された。
立派な門を通って馬車止めに止まった馬車から降りると白髪に立派な髭を生やした身なりのいい紳士が待っていた。
「久しいな、アルタス」
アルタス様が貴族の礼をとる。
「この度はお招きいただきありがとうございます、大公閣下」
「他人行儀なことを。それより、その子がカイラか?」
「はい、そうでございます」
アルタス様がわたしを呼び寄せると大公閣下に紹介した。
「我が娘、カイラでございます」
我が娘。
その言葉に心を打たれたわたしは、一瞬遅れて淑女の礼をとる。
「はじめまして。カイラでございます」
震える声でやっとそれだけ答えたわたしを見てグリザリオス公爵閣下は、目を細められた。
「これはこれは。噂では、聖女様が騎士にと望まれたとのことだが、なんとも美しい娘ではないか」
「ありがとうございます」
アルタス様が満面の笑みを浮かべられる。
「自慢の娘でございます」
マジで。
わたしは、頬が染まるのを感じた。
こんなに嬉しいことは、前世も含めてなかなかなかったし。
喜びを噛み締めているわたしに大公閣下は、優しく微笑まれた。
「楽しんでくれると嬉しいよ、カイラ。君に幸福があらんことを願っている」
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