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第5章 生徒会と悪役令嬢

5ー5 怒り

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 5ー5 怒り

 「ブリュエス侯爵令嬢様に申し上げます」
 わたしが言葉を発するとアイリス様の周囲の令嬢たちの一人がぴしゃりとわたしの頬を叩いた。
 「許しもないのにアイリス様に返答するなんて!ほんとに無礼な!」
 わたしは、打たれた頬を押さえてちらっとその令嬢を見た。
 やっぱり!
 ルイーズだ!
 ルイーズは、にやにや笑いながらわたしを見下ろしていた。
 「何?その目は?アイリス様に何か文句があるというの?」
 「いえ」
 わたしは、ひれ伏した。
 「何も文句はございません」
 わたしがそう答えると間髪いれずに頭上から冷たい水がかけられるのを感じた。
 わたしは、顔を伏せたまま身動きもしなかった。
 ルイーズは、手にしていた水差しを近くにいた大食堂のメイドさんに返すと水浸しになって跪いているわたしの側に近づいてきた。
 「いいきみ。神の加護すらないくせに偉そうにしてるんじゃないわよ」
 「偉そうになんて!」
 わたしが言い換えそうとするとどんっと肩に衝撃が走ってわたしは、後ろによろめいてひっくり返った。
 「カイラ!」
 レイナがわたしを助け起こしてくれる。
 わたしは、全身びしょびしょで床の上に倒れ込んでいたが笑顔で答えた。
 「大丈夫よ、レイナ」
 「ひどいわっ!いくらなんでもこんな仕打ち!」
 レイナが声をあげるとルイーズが顔をしかめた。
 「あら。勘違いなさらないで。私たちは、ただこの人に優しく忠告をしてあげているだけじゃない」
 「何が忠告、よ!」
 レイナが言い返すのをわたしは、押し止めた。
 「カイラ」
 「レイナ、あなたは、関わらない方がいい」
 わたしは、小声で言うとルイーズとアイリス様を睨み付けた。
 周囲の空気が重低音をたてて渦巻きだす。
 精霊が怒っている?
 わたしは、立ち上がった。
 まずい!
 ルイーズのやったことが精霊の怒りをかってしまったのだ。
 地面がゆっくりと揺れだすのを感じて、大食堂にいる人々がみな悲鳴をあげる。
 「地震?」
 アイリス様が立ちすくんでいる頭上から天井の一部が落下してくるのが見えた。
 「あぶない!」
 わたしは、アイリス様を突き飛ばした。
 アイリス様が悲鳴をあげて床に転がるのを見てルイーズが叫んだ。
 「カイラが!アイリス様を突き飛ばした!」
 地震は、一瞬のことだった。
 わたしの頭上から落ちてきた瓦礫は、すぐ横の足元に突き刺さっていた。
 アイリス様の顔色が真っ青になる。
 
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