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第5章 生徒会と悪役令嬢

5ー6 化け物

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 5ー6 化け物

 「アイリス様!」
 ルイーズが倒れたアイリス様に駆け寄るとわたしを指差した。
 「なんてことを!カイラ、この化け物!」
 はい?
 わたしは、びしょ濡れで立ったまま糾弾されていた。
 ルイーズは、叫び続けた。
 「みんな、見たでしょ?この化け物がアイリス様を突き飛ばしたのを!」
 しばらくして学園の警備をしている騎士たちがやってきた。
 「どうされたんですか?レディ」
 「あいつが!」
 ルイーズがわたしを指して叫んだ。
 「カイラがアイリス様のことを突き飛ばしたんです!」
 「なんだって?」
 騎士たちがわたしを見た。
 わたしは、土ぼこりに汚れて全身びしょびしょだった。
 「カイラは、悪くないです!」
 そう声がきこえて振り向くと見知らぬ女生徒だった。
 「アイリス様たちがきて、カイラに酷いことをしたんです!」
 「そうよ!」
 レイナも立ち上がった。
 「その人たちがカイラに言い掛かりをつけて言い返せないカイラを突き飛ばしたり水をかけたりしたんです!」
 「それは、本当ですか?ブリュエス侯爵令嬢様?」
 騎士のうちの一人がアイリス様に訊ねた。
 アイリス様は、青ざめたまま立ち上がると黙ったまま立ち去ろうとした。
 だが、騎士は、それを許さない。
 「これは、学園に報告させていただくがかまいませんか?レディ」
 「好きになさい!」
 アイリス様が叫ぶように言い残してその場を去っていく。
 それから、騎士たちが崩れた大食堂の天井を見上げてぼそっと呟いた。
 「酷いな」
 「この『ドリー』もけっこう古い建物だしな」
 別の若い騎士がため息をついた。
 「老朽化しててさっきの地震で崩れたんだな」
 「もう、行ってもいいですか?」
 レイナが騎士に訊ねた。
 「はやく着替えないとこの子が風邪をひいてしまいますわ」
 「ああ」
 騎士たちは、わたしのことをじろじろと眺めると頷く。
 「着替えてきたらいい。だけど、後で話をききたいから名前だけきかせてほしいんだが」
 「カイラ・ルドクリフです」
 わたしが名を名乗るとその年上の方の騎士が笑顔を浮かべた。
 「君がカイラか。きいてるぞ、このサリタニア王立魔法学園始まって以来の魔力量の記録をだしたそうじゃないか」
 
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