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第8章 二人の悪役令嬢
8ー11 二人の令嬢
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8ー11 二人の令嬢
わたしは、急ぎ足でルシーから離れた。
近くの林の中へと駆け込んで足を止めると大きく深呼吸をする。
精霊たちがわたしを案ずるようにふよふよと周囲を飛び交っている。
わたしは、小声で呟く。
「大丈夫、よ」
そう。
わたしは、大丈夫。
そのとき、不意に背後で足音がしてわたしは、振り向いた。
そこには、演習用の軽い服に身を包んだ二人の令嬢の姿があった。
一人は、金髪の巻き毛でその瞳は、わたしを睨み付けている。
もう一人は、おっとりとした感じのする栗色の髪を結い上げたまさに姫という印象の美少女だった。
「アイリス様?」
わたしが呼び掛けるとアイリス様は、足音をたててわたしに詰め寄ってきた。
「この女狐が!」
はい?
わたしは、キョトンとしてアイリス様のことを見ていた。
アイリス様は、わたしにきつい口調で話しかけた。
「セツラウス様だけではもの足りずルシーディア様まで誘惑するなんて!」
「誘惑?」
「そうよ!この魔女が!」
アイリス様がわたしの胸元をどん、と突いたのでわたしは、よろめいた。
「おやめなさい、アイリス」
もう一人の美少女が口を開いた。
アイリス様が振り向いてその美少女を見つめた。
「しかし、カーレンリース様!」
「そのような下賎の者に手を出してはいけません。私たちは、貴族なのですからね」
カーレンリース様は、わたしの方へと近づくといかにも不快げに顔を歪めた。
「あなた。カイラとかいったかしら?まるで、オークのような臭いがするわね」
そうなの?
わたしは、驚いてくんくん、自分のことを嗅いでみた。
確かに、少し臭うかも。
カーレンリース様は、そんなわたしを鼻で笑うと告げた。
「あなたのような人間がこのダンジョンで不幸な最後を向かえても誰も何も思わないでしょうね、カイラ」
カーレンリース様は、わたしを見下ろすように笑った。
「せいぜい気をお付けなさい」
そういうとカーレンリース様は、踵を返して立ち去った。
アイリス様もカーレンリース様の後を追って去っていった。
「ふん!あなたのような人を間引くためにこのダンジョンはあるのだから。思い知るがいいわ!」
わたしは、急ぎ足でルシーから離れた。
近くの林の中へと駆け込んで足を止めると大きく深呼吸をする。
精霊たちがわたしを案ずるようにふよふよと周囲を飛び交っている。
わたしは、小声で呟く。
「大丈夫、よ」
そう。
わたしは、大丈夫。
そのとき、不意に背後で足音がしてわたしは、振り向いた。
そこには、演習用の軽い服に身を包んだ二人の令嬢の姿があった。
一人は、金髪の巻き毛でその瞳は、わたしを睨み付けている。
もう一人は、おっとりとした感じのする栗色の髪を結い上げたまさに姫という印象の美少女だった。
「アイリス様?」
わたしが呼び掛けるとアイリス様は、足音をたててわたしに詰め寄ってきた。
「この女狐が!」
はい?
わたしは、キョトンとしてアイリス様のことを見ていた。
アイリス様は、わたしにきつい口調で話しかけた。
「セツラウス様だけではもの足りずルシーディア様まで誘惑するなんて!」
「誘惑?」
「そうよ!この魔女が!」
アイリス様がわたしの胸元をどん、と突いたのでわたしは、よろめいた。
「おやめなさい、アイリス」
もう一人の美少女が口を開いた。
アイリス様が振り向いてその美少女を見つめた。
「しかし、カーレンリース様!」
「そのような下賎の者に手を出してはいけません。私たちは、貴族なのですからね」
カーレンリース様は、わたしの方へと近づくといかにも不快げに顔を歪めた。
「あなた。カイラとかいったかしら?まるで、オークのような臭いがするわね」
そうなの?
わたしは、驚いてくんくん、自分のことを嗅いでみた。
確かに、少し臭うかも。
カーレンリース様は、そんなわたしを鼻で笑うと告げた。
「あなたのような人間がこのダンジョンで不幸な最後を向かえても誰も何も思わないでしょうね、カイラ」
カーレンリース様は、わたしを見下ろすように笑った。
「せいぜい気をお付けなさい」
そういうとカーレンリース様は、踵を返して立ち去った。
アイリス様もカーレンリース様の後を追って去っていった。
「ふん!あなたのような人を間引くためにこのダンジョンはあるのだから。思い知るがいいわ!」
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