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第12章 二人の聖女
12ー5 言霊
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12ー5 言霊
わたしが言葉を失っていると、キルハ様が高笑いした。
「まあ、あんたには、できないでしょうね。恵まれたお嬢様に手を汚してまで何かを手に入れようなんて気持ちがあるわけがないものね」
「わたしだって最初から恵まれていたわけじゃないわ、キルハ様」
わたしは、低い声でキルハ様に告げた。
キルハ様は、嘲るように言った。
「そういえばあんたは、ルドクリフ辺境伯の養女だったわね。もとは、平民よりも下賎な者だったとか」
「孤児は、下賎な者なんかじゃないわ!」
わたしが言うとキルハ様が恐ろしい目付きでわたしを見た。
「黙れ!お前など、ほんとなら私の足元にも近寄れない者なんだから!これ以上、生意気なことを言えば二度と立ち上がれないようにしてやるから!」
「リータ様の従者の方のように?」
わたしがきくとキルハ様がぎろりとわたしを睨んだ。
「本当に嫌なやつね!あんたって」
キルハ様がわたしをそのよどんだ瞳でとらえて告げる。
「カイラとは、よく言ったものだわ。きっと、今までもたくさんの人があんたを憎んでいたんでしょうね」
わたしの脳裏をルイーズの姿がよぎった。
キルハ様は、嫌な笑い方をした。
「そうだわ、いいことを考えたわ」
わたしは、嫌な予感がしていた。
キルハ様がわたしに高飛車に告げた。
「明日の魔法戦でもしも私に勝てたならあなたにこの猫竜を譲ってあげてもいいわよ、カイラ。そのかわり私が勝ったら」
キルハ様が悪魔のように微笑んだ。
「あなたにはリータ様を殺してもらうわよ」
その言葉をきいたとき、わたしは、しまった、と思った。
これは、言霊だ。
わたしは、きっ、とキルハ様を見た。
キルハ様がにっと笑った。
「もう、遅い。あなたは、もう、逃れられない」
キルハ様が告げた。
「このことは、わたしたちだけの秘密よ、カイラ。あなたは、このことを誰にも話すことはできない」
気持ちが悪い。
ぬめぬめとしたキルハ様の言葉がわたしの体を這ってわたしのことを締め付けてくる。
「じゃあ、また。明日、ね。カイラ様」
そう言うとキルハ様は、わたしたちに背を向けて去っていった。
わたしが言葉を失っていると、キルハ様が高笑いした。
「まあ、あんたには、できないでしょうね。恵まれたお嬢様に手を汚してまで何かを手に入れようなんて気持ちがあるわけがないものね」
「わたしだって最初から恵まれていたわけじゃないわ、キルハ様」
わたしは、低い声でキルハ様に告げた。
キルハ様は、嘲るように言った。
「そういえばあんたは、ルドクリフ辺境伯の養女だったわね。もとは、平民よりも下賎な者だったとか」
「孤児は、下賎な者なんかじゃないわ!」
わたしが言うとキルハ様が恐ろしい目付きでわたしを見た。
「黙れ!お前など、ほんとなら私の足元にも近寄れない者なんだから!これ以上、生意気なことを言えば二度と立ち上がれないようにしてやるから!」
「リータ様の従者の方のように?」
わたしがきくとキルハ様がぎろりとわたしを睨んだ。
「本当に嫌なやつね!あんたって」
キルハ様がわたしをそのよどんだ瞳でとらえて告げる。
「カイラとは、よく言ったものだわ。きっと、今までもたくさんの人があんたを憎んでいたんでしょうね」
わたしの脳裏をルイーズの姿がよぎった。
キルハ様は、嫌な笑い方をした。
「そうだわ、いいことを考えたわ」
わたしは、嫌な予感がしていた。
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「明日の魔法戦でもしも私に勝てたならあなたにこの猫竜を譲ってあげてもいいわよ、カイラ。そのかわり私が勝ったら」
キルハ様が悪魔のように微笑んだ。
「あなたにはリータ様を殺してもらうわよ」
その言葉をきいたとき、わたしは、しまった、と思った。
これは、言霊だ。
わたしは、きっ、とキルハ様を見た。
キルハ様がにっと笑った。
「もう、遅い。あなたは、もう、逃れられない」
キルハ様が告げた。
「このことは、わたしたちだけの秘密よ、カイラ。あなたは、このことを誰にも話すことはできない」
気持ちが悪い。
ぬめぬめとしたキルハ様の言葉がわたしの体を這ってわたしのことを締め付けてくる。
「じゃあ、また。明日、ね。カイラ様」
そう言うとキルハ様は、わたしたちに背を向けて去っていった。
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