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第15章 魔王国
15ー6 もう、いらない?
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15ー6 もう、いらない?
わたしは、もう孤児のカイラではなかった。
誰にも愛されない孤児のカイラは、もういない。
ここにいるのは、かつて両親に愛された幸せな女の子だ。
従兄弟や、親戚に囲まれて。
子供の頃から一緒の猫竜もいる。
もちろん、その猫竜の番も。
それだけじゃない。
敬愛する先輩方や、友人もいる。
故国でわたしの帰りを待っていてくれる養父母もいる。
わたしは、なんて幸せなんだろう。
「でも、カイラ、あなた、聖女の騎士なんでしょう?」
キルハ様がわたしに訊ねた。
「どうするの?これから」
わたしは、キルハ様にきかれてキョトンとしてしまった。
「どうするって?」
「あなたは、魔王国の姫で魔族なのよ。もう、あなたの故国は、あなたを受け入れてはくれないかもしれないわ」
キルハ様が言うとライモンドがいきりたった。
「何を!カイラは、どんな姿になろうともカイラのままだ。俺たちは、一緒にメルロープ王国に戻るに決まっているだろう!」
「でも」
キルハ様が続けた。
「ただ魔族の血を持つだけで私とイリハは、疎まれていた。それが、魔族の王族だなんて受け入れられるのかしら」
「それは、考えなくてはいけないことかも」
セシリア様が頷く。
「確かにカイラは、カイラに違いないけれど、すべての者が魔族を受け入れるわけではないのかもしれない」
「セシリア!」
エラード様がセシリア様をとがめるようにみた。
だが、セシリア様は、続けた。
「カイラにとって必ずしもメルロープ王国に戻ることがよいことではないのかもしれない」
わたしは、セシリア様の言葉が胸に刺さっていた。
もしも、今のわたしの姿をみたらアルタス様やウルティア様も恐れを抱くのかもしれない。
わたしは、少しもかわってないけれど、わたしをみる人々の目はかわってしまうのかもしれない。
ルシーディア様や、セツ様たちも?
王妃様たちも?
わたしの心を闇が包み込んでいくようだった。
聖女アニノマス様だって。
もう、わたしのこと、いらないって言われるかもしれない。
わたしは、もう孤児のカイラではなかった。
誰にも愛されない孤児のカイラは、もういない。
ここにいるのは、かつて両親に愛された幸せな女の子だ。
従兄弟や、親戚に囲まれて。
子供の頃から一緒の猫竜もいる。
もちろん、その猫竜の番も。
それだけじゃない。
敬愛する先輩方や、友人もいる。
故国でわたしの帰りを待っていてくれる養父母もいる。
わたしは、なんて幸せなんだろう。
「でも、カイラ、あなた、聖女の騎士なんでしょう?」
キルハ様がわたしに訊ねた。
「どうするの?これから」
わたしは、キルハ様にきかれてキョトンとしてしまった。
「どうするって?」
「あなたは、魔王国の姫で魔族なのよ。もう、あなたの故国は、あなたを受け入れてはくれないかもしれないわ」
キルハ様が言うとライモンドがいきりたった。
「何を!カイラは、どんな姿になろうともカイラのままだ。俺たちは、一緒にメルロープ王国に戻るに決まっているだろう!」
「でも」
キルハ様が続けた。
「ただ魔族の血を持つだけで私とイリハは、疎まれていた。それが、魔族の王族だなんて受け入れられるのかしら」
「それは、考えなくてはいけないことかも」
セシリア様が頷く。
「確かにカイラは、カイラに違いないけれど、すべての者が魔族を受け入れるわけではないのかもしれない」
「セシリア!」
エラード様がセシリア様をとがめるようにみた。
だが、セシリア様は、続けた。
「カイラにとって必ずしもメルロープ王国に戻ることがよいことではないのかもしれない」
わたしは、セシリア様の言葉が胸に刺さっていた。
もしも、今のわたしの姿をみたらアルタス様やウルティア様も恐れを抱くのかもしれない。
わたしは、少しもかわってないけれど、わたしをみる人々の目はかわってしまうのかもしれない。
ルシーディア様や、セツ様たちも?
王妃様たちも?
わたしの心を闇が包み込んでいくようだった。
聖女アニノマス様だって。
もう、わたしのこと、いらないって言われるかもしれない。
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