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第16章 魔王
16ー5 生きろ!
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16ー5 生きろ!
「救えなかった・・」
わたしは、魔王もキルハ様も救うことができなかった。
だけど。
いつまでも悲しみに沈むことはできなかった。
玉座の奥から現れた聖職者らしき人物がわたしたちを攻撃してきたのだ。
「死ね!死んで魔王を殺した罪を償うがいい!」
魔力の波状攻撃にわたしたちは、障壁をはって耐えた。
「あなたがイリハを魔王にしたんですか?」
わたしは、怒りに我を忘れていた。
王城内の精霊たちが騒ぎ出す。
地響きが鳴り、王城が崩れ出す。
「だったらどうだというんだ?」
その聖職者らしき男は、不適に笑った。
「新しい世界の礎になれるのだ。あの連中も喜んでいることだろう」
「新しい世界?」
わたしは、体の奥から何かどす黒いものが溢れてくるのを感じていた。
「そんなもの、いらない!」
わたしは、叫んでいた。
「キルハ様やイリハたちを犠牲にしなくてはならない世界なんて、わたしは、いらない!」
わたしの周囲に風が渦巻く。
ごぅっと大気が揺れている。
「あぶない!カイラ!」
セシリア様の声がきこえた。
わたしの頭上から落ちてくる瓦礫をマオが破壊する。
「カイラ!お待たせ!」
マオを抱き上げたアルバが破壊された擁壁の向こうから現れた。
「魔王軍は、全滅させた。もう、こいつだけだ」
「ありがとう、マオ、アルバ」
わたしは、オニタリスを構えた。
聖職者の男は、うっ、とうめいた。
「わたしを殺す気か?そんなことをすれば邪神ヤムエル様の呪いを受けるぞ!」
「呪い?」
わたしは、噛み締めた歯の奥から声を絞り出した。
「あなたを倒すためなら呪いも甘んじて受ける!」
わたしは、オニタリスを振り上げた。
精霊の光がオニタリスに収束していく。
「や、やめろ!」
その男は、悲鳴をあげた。
「助けてくれ!」
「問答無用!」
わたしは、剣を振り上げた。
そして。
どんっと低く響く音がきこえて男のすぐ横の壁が切り裂かれて吹き飛んだ。
「ひぃっ!」
男が尻餅をついて怯えた目でわたしを見上げていた。
わたしは、ふぅっと吐息を漏らした。
「お前には、すべての罪を生きて償ってもらう。死んだ者たちのために生きろ!」
「救えなかった・・」
わたしは、魔王もキルハ様も救うことができなかった。
だけど。
いつまでも悲しみに沈むことはできなかった。
玉座の奥から現れた聖職者らしき人物がわたしたちを攻撃してきたのだ。
「死ね!死んで魔王を殺した罪を償うがいい!」
魔力の波状攻撃にわたしたちは、障壁をはって耐えた。
「あなたがイリハを魔王にしたんですか?」
わたしは、怒りに我を忘れていた。
王城内の精霊たちが騒ぎ出す。
地響きが鳴り、王城が崩れ出す。
「だったらどうだというんだ?」
その聖職者らしき男は、不適に笑った。
「新しい世界の礎になれるのだ。あの連中も喜んでいることだろう」
「新しい世界?」
わたしは、体の奥から何かどす黒いものが溢れてくるのを感じていた。
「そんなもの、いらない!」
わたしは、叫んでいた。
「キルハ様やイリハたちを犠牲にしなくてはならない世界なんて、わたしは、いらない!」
わたしの周囲に風が渦巻く。
ごぅっと大気が揺れている。
「あぶない!カイラ!」
セシリア様の声がきこえた。
わたしの頭上から落ちてくる瓦礫をマオが破壊する。
「カイラ!お待たせ!」
マオを抱き上げたアルバが破壊された擁壁の向こうから現れた。
「魔王軍は、全滅させた。もう、こいつだけだ」
「ありがとう、マオ、アルバ」
わたしは、オニタリスを構えた。
聖職者の男は、うっ、とうめいた。
「わたしを殺す気か?そんなことをすれば邪神ヤムエル様の呪いを受けるぞ!」
「呪い?」
わたしは、噛み締めた歯の奥から声を絞り出した。
「あなたを倒すためなら呪いも甘んじて受ける!」
わたしは、オニタリスを振り上げた。
精霊の光がオニタリスに収束していく。
「や、やめろ!」
その男は、悲鳴をあげた。
「助けてくれ!」
「問答無用!」
わたしは、剣を振り上げた。
そして。
どんっと低く響く音がきこえて男のすぐ横の壁が切り裂かれて吹き飛んだ。
「ひぃっ!」
男が尻餅をついて怯えた目でわたしを見上げていた。
わたしは、ふぅっと吐息を漏らした。
「お前には、すべての罪を生きて償ってもらう。死んだ者たちのために生きろ!」
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