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第5章 社交界の陰謀その2
5ー9 竜化
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5ー9 竜化
神都ライヒバーンからマイヒナたちを乗せた空船がエルフの国クルエイサーに向かって出発して3時間後、俺は、エルフの里で待っていた。
上半身裸で上空を見上げている俺を村のエルフたちが遠巻きにして見つめていた。
俺は、気を集中させていた。
全身の鱗が逆立つほどに気をたぎらせている俺の目には、遠く上空を飛んでいる白銀の空船が見えていた。
その空船にはチヒロが乘っている。
俺は、チヒロの力を感じていた。
流れ込んでくる。
そのアンチマジックの力を俺は、ほんの少しだけ妨げた。
チヒロの力が俺の体から引いていくのを感じた。
それと同時に俺の体は、パキパキと音をたてて軋み始めた。
「ぐっ!」
俺の体が巨大化していく。
全身を青黒い鱗が覆っていく。
俺は、久しぶりの竜化に血が逆流するほどの熱を感じていた。
「ぐおぉおっ!」
俺は、天に向かって吠えるとその翼を広げた。
「ロイド殿!」
俺の背後から呼び掛けたトランスに俺は呻いた。
「いく!」
俺の翼が羽ばたき、巨体が浮かび上がる。
俺は、空船に照準を定めると矢のように飛び出した。
空を切って飛ぶ。
数秒で空船が視界に入ってくる。
俺は、空中で静止した。
俺のすぐ上を空船が通過していく。
そして。
すぐに十数体の竜が動きを揃えて襲いかかってきた。
俺は、やつらの鼓膜を破るほどの大声で吠えた。
「ぐごぉあおぉっっっ!」
ビリビリと空気が振動しそれは、竜たちの体に伝わっていく。
その瞬間にやつらには理解できた。
この場で一番強いのは、誰かということが。
竜たちの動きが止まった。
俺は、低く呻いた。
「死にたくなければ引け。さもなければお前たちを皆殺す」
竜たちが戸惑ったようにお互いをうかがっているのがわかった。
俺は、もう一度吠えた。
この場の支配者は、俺、だ!
竜たちが怯えた様子で尻尾を丸めるとそのリーダーらしき竜が叫んだ。
「ひけぇっ!」
竜たちが一斉に飛び去っていくのを見届けると俺は、空船の後を追った。
空船は、エルフの村の上空に浮かんでいた。
空船から人が何人か乗り込んだかごのようなものが出てくる。
「ロイド!」
チヒロが移動用の装置から身を乗り出して手を振っていた。
俺は、チヒロの乘ったかごを守るようにして地上へと降下した。
「ロイド殿!」
トランスたちが俺たちのもとへと駆け寄ってくるのが見えた。
俺は、地上につくとその場に倒れ込んだ。
「ごふっ!」
血を吐く俺にチヒロが歩み寄り触れるのがわかった。
チヒロ
俺はチヒロとの回線を開いてその力を受け入れた。
体が。
人化していく。
俺は、もとの龍人の姿に戻った。
チヒロは、倒れ伏せる俺の体を受け止めるとぎゅっと抱き締めた。
チヒロに抱かれて俺は、目を閉じた。
意識が沈んでいく。
チヒロの与えてくれる温もりに俺は、意識を手放していった。
神都ライヒバーンからマイヒナたちを乗せた空船がエルフの国クルエイサーに向かって出発して3時間後、俺は、エルフの里で待っていた。
上半身裸で上空を見上げている俺を村のエルフたちが遠巻きにして見つめていた。
俺は、気を集中させていた。
全身の鱗が逆立つほどに気をたぎらせている俺の目には、遠く上空を飛んでいる白銀の空船が見えていた。
その空船にはチヒロが乘っている。
俺は、チヒロの力を感じていた。
流れ込んでくる。
そのアンチマジックの力を俺は、ほんの少しだけ妨げた。
チヒロの力が俺の体から引いていくのを感じた。
それと同時に俺の体は、パキパキと音をたてて軋み始めた。
「ぐっ!」
俺の体が巨大化していく。
全身を青黒い鱗が覆っていく。
俺は、久しぶりの竜化に血が逆流するほどの熱を感じていた。
「ぐおぉおっ!」
俺は、天に向かって吠えるとその翼を広げた。
「ロイド殿!」
俺の背後から呼び掛けたトランスに俺は呻いた。
「いく!」
俺の翼が羽ばたき、巨体が浮かび上がる。
俺は、空船に照準を定めると矢のように飛び出した。
空を切って飛ぶ。
数秒で空船が視界に入ってくる。
俺は、空中で静止した。
俺のすぐ上を空船が通過していく。
そして。
すぐに十数体の竜が動きを揃えて襲いかかってきた。
俺は、やつらの鼓膜を破るほどの大声で吠えた。
「ぐごぉあおぉっっっ!」
ビリビリと空気が振動しそれは、竜たちの体に伝わっていく。
その瞬間にやつらには理解できた。
この場で一番強いのは、誰かということが。
竜たちの動きが止まった。
俺は、低く呻いた。
「死にたくなければ引け。さもなければお前たちを皆殺す」
竜たちが戸惑ったようにお互いをうかがっているのがわかった。
俺は、もう一度吠えた。
この場の支配者は、俺、だ!
竜たちが怯えた様子で尻尾を丸めるとそのリーダーらしき竜が叫んだ。
「ひけぇっ!」
竜たちが一斉に飛び去っていくのを見届けると俺は、空船の後を追った。
空船は、エルフの村の上空に浮かんでいた。
空船から人が何人か乗り込んだかごのようなものが出てくる。
「ロイド!」
チヒロが移動用の装置から身を乗り出して手を振っていた。
俺は、チヒロの乘ったかごを守るようにして地上へと降下した。
「ロイド殿!」
トランスたちが俺たちのもとへと駆け寄ってくるのが見えた。
俺は、地上につくとその場に倒れ込んだ。
「ごふっ!」
血を吐く俺にチヒロが歩み寄り触れるのがわかった。
チヒロ
俺はチヒロとの回線を開いてその力を受け入れた。
体が。
人化していく。
俺は、もとの龍人の姿に戻った。
チヒロは、倒れ伏せる俺の体を受け止めるとぎゅっと抱き締めた。
チヒロに抱かれて俺は、目を閉じた。
意識が沈んでいく。
チヒロの与えてくれる温もりに俺は、意識を手放していった。
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