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第5章 社交界の陰謀その2

5ー10 羞恥プレイですか?

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 5ー10 羞恥プレイですか?

 うん。
 俺は、ゆっくりと目を開いた。
 いい香りがする。
 おいしそうな。
 味噌汁の香り?
 「ロイド?」
 チヒロの泣き腫らしたような顔が目に入ってくる。
 俺は、掠れた声できいた。
 「泣いていたのか?」
 「だって・・」
 チヒロが涙を拭いながら俺に抱きついてきた。
 「ロイドが・・もう、人に戻れないかと思ったから!」
 俺は、ベッドに横たわったまま泣きじゃくるチヒロを抱いていた。
 ふと、手を見る。
 竜化した影響か黒い爪が伸びて手のひらに食い込んで血がにじんでいた。
 俺は、前に奈落で竜化したときのことを思い出していた。
 あのときは、チヒロと離れたせいで竜化してしまったんだったな。
 俺は、チヒロの髪を撫でながらささやいた。
 「もう、大丈夫だ、チヒロ」
 俺は、チヒロから体を離すとその場に体を起こした。
 「マイヒナは?」
 「今、船から荷物を下ろしてる」
 チヒロがいそいそと俺に湯気の立つ皿を差し出すとスプーンですくってにっこりと微笑んだ。
 「はい、あーんして」
 はいぃっ?
 俺は、思わぬ展開に驚いて顔が熱くなった。
 チヒロは、なおも俺にスプーンを差し出していた。
 「お腹空いたでしょ?ロイド。僕が食べさせてあげるよ」
 「い、いやっ、自分で食べるし!」
 俺が拒もうとするとチヒロは、笑顔を見せた。
 「その手じゃ、まだ食べられないでしょ?はい、あーんして」
 俺は、仕方なく口を開ける。
 チヒロは、俺の口に次々とスープを運んで食べさせてくれた。
 俺がスープを食べ終わるとチヒロは、俺をベッドに戻させた。
 「まだ、休んでないとだめだよ、ロイド」
 チヒロが俺の体に掛布をかけた。
 俺は、チヒロのされるままになっていた。
 チヒロは、なんだか嬉しそうに俺の世話をかいがいしく焼いてくれていた。
 「もう、大丈夫、だ」
 「だめっ!」
 チヒロが可愛らしく俺を睨んだ。
 「無茶したんだから、しばらくロイドは、ゆっくりしてて!」
 「ああ・・」
 チヒロの迫力に押されて俺が頷くとチヒロは満足そうに微笑んだ。
 チヒロは、俺の汗ばんだ体をお湯で清め、服を着替えさせた。
 羞恥プレイか?
 俺は、チヒロにされるままになっていたが恥ずかしくて頬に血がのぼっていた。
 「あー、お楽しみのところ悪いんですけど」
 扉がノックされてリータが顔を出した。
 「ロイド、話があるんだけど」
 リータに席をはずすように言われてチヒロが不承不承に部屋を出ていった。
 扉が閉まるとリータが俺に近寄ってきてがばっと俺に馬乗りになった。
 「ほんとに無茶をする」
 「わかったから、退いてくれ、リータ」
 俺がリータを押し退けようとするとリータは、俺を押さえつけた。
 「あんた!もう、人間の姿に戻れなくなるところだったんだよ!むちゃくちゃするんじゃないよ!」
 
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