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第5章 社交界の陰謀その2
5ー11 砦へ
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5ー11 砦へ
リータは、俺を見下ろしたまま、俺に告げた。
「言われたとおり、 砦の周囲の水源に 状態異常を癒すためのポーションを投下したよ」
「そうか」
俺は、頷いた。
これでお膳立てはすんだ。
いよいよ本番だな。
「なんで、やつらの飲み水にポーションなんか混ぜたのさ?」
リータがきくので俺は、にっと笑った。
「それは、秘密です」
それから数日後、俺は、チヒロを伴って砦へと向かった。
エルフの森のすぐ外に作られたその砦は、ぐるりと森を取り囲むように作られていた。
さすがは大国であるアイヒミューゼン王国だ。
金に糸目をつけずに建設したのだろう。
砦の両端はまだ建設中の様子だ。
これは、自分達を守るためのものではない。
エルフを包囲するためのものだ。
俺たちは、これを落とす。
チヒロと俺、二人だけでな。
俺は、もう一度竜化していた。
もとに戻れなくなる危険性はあったがこの作戦のためにはもう一度竜化する必要があった。
ほんとは、この作戦は俺一人でやりとげるつもりだったのだが、俺が竜化することを知ったチヒロがどうしても一緒に行くと言い出したのだ。
でも、それは、好都合かもしれない。
俺は、チヒロを危険なめにあわせたくなかったが、ここは、本人の意思を尊重することにした。
こうしてドラゴンである俺と俺に騎乗したチヒロは、二人だけでこの砦の攻略に挑むこととなった。
俺は、チヒロを背に乗せたまま砦へと飛び立った。
砦の周囲は、魔法で守られていた。
俺は、チヒロの力を発動しこの砦を守る魔法を無力化するとその上空から砦へと侵入した。
もちろん上空を守る魔法も解呪されている。
それでも俺が飛来すれば攻撃されてもしかたがないのだが、思った通り攻撃はされなかった。
俺にしがみついているチヒロが耳元で訊ねた。
「なんで、攻撃してこないんだろう?」
その理由はすぐにわかった。
砦の中では、竜たちが暴動を起こしていた。
「ぐおぉおっ!」
ドラグーン騎兵隊の竜たちは、口々に叫んでいた。
「どういうことだ?これはっ?」
暴れる竜たちを兵士たちが押さえようとしているが無駄だった。
というか兵士たちもどうも及び腰のようだし。
これには、わけがあった。
アイヒミューゼン王国の兵士には魔法がかけられている。
それは、不退転の魔法だ。
兵士たちは、決して戦場で敵に後ろを見せない。
それは、一種の状態異常の魔法だ。
生存本能より戦い続けることを優先させる。
それは、ドラグーン騎兵隊もおなじだった。
ドラグーン騎兵隊にはさらに、記憶を奪う魔法やらなんやらがかけられているのだが、それらを俺がリータに頼んで水源に混入させた状態異常を癒すためのポーションが解呪していた。
記憶が戻り、ここがどこなのかも、自分がなぜ、ここにいるのかもわからなくなった竜たちが暴れているのを兵士たちがなだめようとしているのだが、その兵士たちも士気が駄々下がりだ。
リータは、俺を見下ろしたまま、俺に告げた。
「言われたとおり、 砦の周囲の水源に 状態異常を癒すためのポーションを投下したよ」
「そうか」
俺は、頷いた。
これでお膳立てはすんだ。
いよいよ本番だな。
「なんで、やつらの飲み水にポーションなんか混ぜたのさ?」
リータがきくので俺は、にっと笑った。
「それは、秘密です」
それから数日後、俺は、チヒロを伴って砦へと向かった。
エルフの森のすぐ外に作られたその砦は、ぐるりと森を取り囲むように作られていた。
さすがは大国であるアイヒミューゼン王国だ。
金に糸目をつけずに建設したのだろう。
砦の両端はまだ建設中の様子だ。
これは、自分達を守るためのものではない。
エルフを包囲するためのものだ。
俺たちは、これを落とす。
チヒロと俺、二人だけでな。
俺は、もう一度竜化していた。
もとに戻れなくなる危険性はあったがこの作戦のためにはもう一度竜化する必要があった。
ほんとは、この作戦は俺一人でやりとげるつもりだったのだが、俺が竜化することを知ったチヒロがどうしても一緒に行くと言い出したのだ。
でも、それは、好都合かもしれない。
俺は、チヒロを危険なめにあわせたくなかったが、ここは、本人の意思を尊重することにした。
こうしてドラゴンである俺と俺に騎乗したチヒロは、二人だけでこの砦の攻略に挑むこととなった。
俺は、チヒロを背に乗せたまま砦へと飛び立った。
砦の周囲は、魔法で守られていた。
俺は、チヒロの力を発動しこの砦を守る魔法を無力化するとその上空から砦へと侵入した。
もちろん上空を守る魔法も解呪されている。
それでも俺が飛来すれば攻撃されてもしかたがないのだが、思った通り攻撃はされなかった。
俺にしがみついているチヒロが耳元で訊ねた。
「なんで、攻撃してこないんだろう?」
その理由はすぐにわかった。
砦の中では、竜たちが暴動を起こしていた。
「ぐおぉおっ!」
ドラグーン騎兵隊の竜たちは、口々に叫んでいた。
「どういうことだ?これはっ?」
暴れる竜たちを兵士たちが押さえようとしているが無駄だった。
というか兵士たちもどうも及び腰のようだし。
これには、わけがあった。
アイヒミューゼン王国の兵士には魔法がかけられている。
それは、不退転の魔法だ。
兵士たちは、決して戦場で敵に後ろを見せない。
それは、一種の状態異常の魔法だ。
生存本能より戦い続けることを優先させる。
それは、ドラグーン騎兵隊もおなじだった。
ドラグーン騎兵隊にはさらに、記憶を奪う魔法やらなんやらがかけられているのだが、それらを俺がリータに頼んで水源に混入させた状態異常を癒すためのポーションが解呪していた。
記憶が戻り、ここがどこなのかも、自分がなぜ、ここにいるのかもわからなくなった竜たちが暴れているのを兵士たちがなだめようとしているのだが、その兵士たちも士気が駄々下がりだ。
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