スラムに堕ちた追放聖女は、無自覚に異世界無双する~もふもふもイケメンも丸っとまとめて面倒みます~

トモモト ヨシユキ

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13 聖女の行進

13ー10 戻れないのだろう

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 13ー10 戻れないのだろう

 もう1つ、変化したことがある。
 それは、度々、ライアットが『ヴェータ』沼を訪れるようになったことだった。
 ライアットは、王太子のくせにアポもなく私のもとにやってきては、お茶を飲みながらうだうだと世間話をしていく。
 まったくうっとおしい。
 イケメンなのが唯一の救いだ。
 なんか知らないが、記憶を失う前の私と婚約していたとかいってるが、そんなものまったく覚えもないので困惑するばかり。
 まあ、ライアットは、イケメンなので悪い気はしないが、王族とかかわり合いになるのはごめんだ。
 そういうとライアットは、ふっと微笑んだ。
 「私は、気が長いので。あなたの気が変わるまでいつまでもお待ちします」
 いや!
 気なんか変わらないし!
 待ってられても困るし!
 ライアットは、私の記憶をどうにかして戻せないかと私を『聖女の診療所』に連れていったりしたが、私にはわかっていた。
 私の失った記憶は、決して戻ることはない。
 ルキエルは、何も語ることはないがそれは、私には、よくわかっていた。
 他の聖女たちによると天使の力を使った対価には、いろいろなものがあるらしい。
 ミアの天使は、ミアの望みを叶える対価にミアの髪を10センチほど短くする。
 それぐらいなら、と思うのだが、ミアは、死ぬほどイヤなのだという。
 「私、思うのですが、天使は、その力を乱用されないためにその聖女がもっとも嫌がるものを対価に選ぶのではないでしょうか」
 ミアがなんだか穿ったことを言うので私は、ちょっと考え込んでしまう。
 「でも、それじゃ、なんのための天使?」
 私が問うとミアは、答えた。
 「きっと、天使は、聖女のお目付け役兼警備みたいなものなんじゃ。聖女が暴走したり、誤った方向に進もうとするのを防ぐためにいるのでは?」
 なるほど。
 私は、ルキエルに答え合わせを要求したがルキエルは、答えなかった。
 この『ヴェータ』沼にいる11人の聖女は、みな、この世界に召喚された者たちだ。
 中には、もとの世界に戻ることを諦められない者も何人かいる。
 私は、ルキエルに訊ねた。
 「私たちは、もとの世界に戻れる?」
 だが、ルキエルは、答えなかった。
 私は、おそらく私たちは、もとの世界には、戻れないのだろうと直感していた。
 
 
 
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