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3 後宮の薬師は、王に恋するか?

3-2 王の許しを得る。

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          3ー2   王の許しを得る。

    「畑を、でございますか?」
     ラウスがぎょっとして俺を見た。
    「花でもお育てになるつもりなのですか?」
    「いや、薬草とかを育てようと思って」
    俺が答えるとラウスは、目を丸くした。
   「側室であられるあなたが、土仕事を、でございますか?セイ様」
    「そうだよ」
    俺は、平然としていたが、ラウスは、取り乱していた。
   「しかし、よろしいでしょうか?セイ様。
   あなたは、ご自分のお立場をわかっておられますでしょうか?」
    「俺の立場?」
     俺が訊ねるとラウスが息巻いた。
    「いいですか?あなたは、王の寵姫であり、今のところ、ただ御一人の王が通われる側室でございます」
      うん。
     俺は、ラウスの言葉に頷いた。
    なんでも王は、後宮を嫌っていたとかで、以前は実兄に会いに来る以外は、後宮には、近づかなかったらしい。
    つまり、俺に抱かれるまでは、ということだろう。
   「それが、どうしたってんだよ?」
    「どうしたって・・」
     ラウスが呆れたような表情を浮かべた。
    「王の寵姫であられる方が、土仕事などされるべきではございません!」
    「誰がそう決めたんだよ?」
     俺は、きいた。
     「王様かよ?」
     「いえ、そういうわけでは・・」
      ラウスが言葉を濁した。
      「ただ、私では、なんともいたしかねます。その、前例がございませんし」
    「なんでだよ?花ならいいんだろ?なら、薬草だって同じじゃね?」
     「しかし」
      ラウスは、困った様子で答えた。
    「王にお聞きしてみないことには」
    「じゃあ、聞いてみてくれよ」
     そうして、その日の午後には、王からの返事が届いた。
    「王は、かまわないとのことでございます」
   ラウスが不本意そうに報告した。
    俺は、裏庭にある畑の一角を使用する許可を得た。
    それだけじゃなかった。
    王は、特別に王城に内にある図書館に出入りする許可も与えてくれた。
    「後宮から出てもいいの?」
    俺は、驚いていた。
    後宮に入ったら、王に捨てられるまで 外には出られないものと思っていたからだ。  
 「はい。特別に」
     ラウスは、しぶしぶ、頷いた。
    「ただし、必ず、私かクレイが同行するようにとの事でございます」
    
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