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6 魔王の森

6-8 秘密にしたい。

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             6ー8    秘密にしたい。

   俺が心の中で助けを呼んだとき、男の体が、不意に何かに殴り飛ばされるように吹っ飛んだ。
    何?
    俺は、目を開いた。
   浴室の入り口に先程の金縁の法衣を着た男が立っていた。
   「御子に無体を働こうとするとは、いい加減、許しがたいことですぞ、兄上!」
    法衣の男が対峙している間に、俺は、従者たちの手で湯船から連れ出された。
    新しい白い法衣のような服を着せられて広い豪華な部屋へと通された俺の前にロリアが駆け寄ってきた。
    「ご無事でしたか?兄上」
      ロリアは、こちらの世界の服らしき白いシャツとゆったりしたズボンを着ていた。
    俺は、ロリアの姿を見て、ホッとしてその腕の中に崩れ落ちた。
    「兄上!」
     ロリアは、俺を受け止めると抱き上げて、寝椅子へと運んで横たわらせた。
    「大丈夫ですか?」
     「大丈夫だ。すまない、ロリア」
      俺は、弱々しく微笑んだ。
     大丈夫。
    俺は、腹に手を当てた。
    この子を守らなくては。
    そのために、俺は、強くならなくてはならない。
    部屋の扉が開き、白い茶器を持った緑の髪の長い耳をした青年が入ってきた。
    青年は、無言でテーブルに茶器をセットすると、お茶を入れた。
   「どうぞ、召し上がってください、御子様」
    ロリアが、お茶の入ったカップを手に取り、一口飲んでから、俺に手渡した。
    カップの中には、緑色の液体が入っていた。
    俺は、ロリアに渡されたお茶に口をつけた。
    甘い。
    緑の髪の青年は、俺がお茶を飲むのを見つめて、ホッと息をついた。
   「私は、御子様のお世話をさせていただきます従者のサギリと申します。どうか、お見知りおきを」
     サギリは、ひざまづくと頭を垂れた。
    「どうか、ごゆっくりくつろがれてください。ご用があればなんなりと私にお申し付けください」
      俺たちがお茶を飲み終えるとサギリは、茶器を持って部屋から辞した。
   俺は、サギリが去るのを待ってから、ロリアに訊ねた。
   「これから、いったい、俺たちどうなるのかな」
   「とにかく、彼らの言うことを聞いてみましょう。彼らは、我々に危害を加えない筈ですし、様子を見ましょう」
    俺は、さっきあったことをロリアに話すべきか迷った。
    ロリアは、俺がもと男娼だったと知っているのだろうか?
    その上で、こんなに優しく接してくれているのだろうか?
    
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