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3 精霊の庭
3ー7 若返り
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3ー7 若返り
それから俺たちは、毎日、お菓子をノオザの木の根本に供えることにした。
「精霊ですか?」
アルフォンスは、まだ信じられない様子で言うが俺は、確かに見たし!
それにこの庭、というか敷地内に漂う空気。
よそとは違う清浄な。
まるで聖域みたいな空気の説明がつくってものだし!
俺がその話をするとアルフォンスは、不承不承に肯定した。
「確かに、ここは、外とは違う感じがしますね」
「だろ?」
俺が畑に水を撒きながら話しているとクロムウェルが収穫した野菜を木箱に詰めながら頷いた。
「そうですね。もしかしたらここは本当に精霊が住んでいるのかもしれませんね」
なにわともあれ、この『精霊の庭』説にウィルは、夢中だった。
なんでもこの世界のどこの子供でも幼い頃にきかされる物語なんだとか。
この世界のどこかに精霊たちが守っている庭がある。
そこには、季節も産地も関係なくありとあらゆる果物や野菜が実り、そこの食べ物を食べると不老不死になるんだとか。
いや。
『精霊の庭』は、いいんだが、不老不死とかは、ちょっと困るかも。
俺がそう思っていると、アルフォンスが唐突に俺に告げた。
「そういえばミコト様、最近、なんか若返ってます?」
はい?
俺は、畑の世話がすむと今度は、家の壁から出ている木の枝を切り落としていた。
「若返るって、そんなわけが」
「いえ、そういわれるとそうなのかも」
クロムウェルが巨大なズッキーニを手に俺を見た。
「ここに来られた頃に比べるとなんだか幼くなられたような気がしますね」
マジで?
みんながそんな話をするものだから、俺は、なんだか不安になってきていた。
夜、寝る前にクロムウェルが用意してくれたお湯で体を拭き清めながら俺は、ふと自分の姿を鏡で見てみる。
大きな姿見をラウールじいちゃんが贈ってくれたんだ。
この世界では、鏡は、貴重らしい。
こんな大きな鏡、きっと高かっただろうな、とか庶民の俺は、思ってしまうが、ウィルは、気にしないでと笑っていた。
辺りが暗いので魔法で灯りをともしている中で鏡に写る自分の姿をまじまじと見て俺は、言葉を失った。
これ、は。
そこには、17、8歳の頃の俺の姿があった。
この世界に来てから散髪してないのでちょっと髪が伸びてきているが、間違いなく高校生の頃の俺だった。
「・・若返ってる?」
俺は、鏡の中の自分に手を伸ばして触れた。
あの頃。
叔父の玩具だった頃の俺。
それが、ここにいた。
思い出して一瞬、鼻の奥がつんとしたけど、俺は、すぐに頭を振った。
しっかりしろ、ミコト。
ここは、異世界で、俺は、もう、あの頃の俺じゃない。
俺は。
もう、大丈夫、だ。
それから俺たちは、毎日、お菓子をノオザの木の根本に供えることにした。
「精霊ですか?」
アルフォンスは、まだ信じられない様子で言うが俺は、確かに見たし!
それにこの庭、というか敷地内に漂う空気。
よそとは違う清浄な。
まるで聖域みたいな空気の説明がつくってものだし!
俺がその話をするとアルフォンスは、不承不承に肯定した。
「確かに、ここは、外とは違う感じがしますね」
「だろ?」
俺が畑に水を撒きながら話しているとクロムウェルが収穫した野菜を木箱に詰めながら頷いた。
「そうですね。もしかしたらここは本当に精霊が住んでいるのかもしれませんね」
なにわともあれ、この『精霊の庭』説にウィルは、夢中だった。
なんでもこの世界のどこの子供でも幼い頃にきかされる物語なんだとか。
この世界のどこかに精霊たちが守っている庭がある。
そこには、季節も産地も関係なくありとあらゆる果物や野菜が実り、そこの食べ物を食べると不老不死になるんだとか。
いや。
『精霊の庭』は、いいんだが、不老不死とかは、ちょっと困るかも。
俺がそう思っていると、アルフォンスが唐突に俺に告げた。
「そういえばミコト様、最近、なんか若返ってます?」
はい?
俺は、畑の世話がすむと今度は、家の壁から出ている木の枝を切り落としていた。
「若返るって、そんなわけが」
「いえ、そういわれるとそうなのかも」
クロムウェルが巨大なズッキーニを手に俺を見た。
「ここに来られた頃に比べるとなんだか幼くなられたような気がしますね」
マジで?
みんながそんな話をするものだから、俺は、なんだか不安になってきていた。
夜、寝る前にクロムウェルが用意してくれたお湯で体を拭き清めながら俺は、ふと自分の姿を鏡で見てみる。
大きな姿見をラウールじいちゃんが贈ってくれたんだ。
この世界では、鏡は、貴重らしい。
こんな大きな鏡、きっと高かっただろうな、とか庶民の俺は、思ってしまうが、ウィルは、気にしないでと笑っていた。
辺りが暗いので魔法で灯りをともしている中で鏡に写る自分の姿をまじまじと見て俺は、言葉を失った。
これ、は。
そこには、17、8歳の頃の俺の姿があった。
この世界に来てから散髪してないのでちょっと髪が伸びてきているが、間違いなく高校生の頃の俺だった。
「・・若返ってる?」
俺は、鏡の中の自分に手を伸ばして触れた。
あの頃。
叔父の玩具だった頃の俺。
それが、ここにいた。
思い出して一瞬、鼻の奥がつんとしたけど、俺は、すぐに頭を振った。
しっかりしろ、ミコト。
ここは、異世界で、俺は、もう、あの頃の俺じゃない。
俺は。
もう、大丈夫、だ。
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