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底なし沼にて
96.
しおりを挟むストン、と軽やかな音を立てて、黒煙と火花が飛びかう屋敷に降り立つ。すっかり崩壊してしまって大穴が開いた屋根から部屋に降り立ち、俺は燃え盛る炎の中、此方をにこやかに見つめて手を振っている男性騎士、カトリーヌ・クローバーを見据えた。
既に他の革命軍や騎士団の生存者は屋敷から脱出したのだろう。部屋の中には肉が焦げる強烈な臭いと幾つかの丸焼きとなった亡骸だけが残っている。俺は眉を顰めて口と鼻を手巾で押さえ、小さく咳き込んだ。
そんな俺の様子を見つめ、カトリーヌは愉快げに笑みを深めている。きっと、この場所に風属性の俺が出動していることが面白くて仕方がないのだ。
手巾で口元を抑えたまま、今の所火の手が届いていない場所にまで避難する。――ああ、爆発は階下で起こっているらしい。ドガァアン、という轟音と共に、屋敷が大きく揺れた。
そんな緊張感漂う現場の中、火災の原因である目の前の男は、ちっとも動揺することなく美しい笑みを浮かべている。
しかし、この笑みが決して歓迎や好意でないことを、俺は知っている。
「お久しぶりです、第3部隊隊長。長期にわたる任務、ご苦労様でした」
「どうも」
「ヘイデル王国は如何でした?確か、ご友人が出来たのだとか。素晴らしいことですね」
「どうも」
「第3王子は――どうしようもない有様なようですが」
第3王子殿下な。敬称すら付けない不敬な呼び方に俺が舌打ちを零すと、カトリーヌは更に口角を上げる。そして、長く伸ばして可愛らしい深紅の髪留めで耳上に固定された前髪をサラリと撫で上げ、無詠唱で火種を部屋に放った。当然勢いを増す炎に、俺は数歩交代して火の手を避ける。死臭が立ち昇る。
正直、風属性の俺に彼の八つ当たりを止める術はない。それを分かっているからこそ、彼もまた余裕綽々なのだ。俺より雑魚な癖に調子乗りやがって。殺すぞ。……ああ、よくない。
「そういえば、私の前任の持ち物だった呪い持ちと暗殺者、捨ててしまわれたのですか?」
水色の汚れ1つない美しい髪を靡かせ、男はコテンと首を傾げる。
「まぁ、暗殺者はともかく、呪い持ちなんて使い捨てにして然るべきものですから、責めるつもりはありません。寧ろ営団です、役に立つとはいえ、崇高な存在であるべき騎士団に相応しくありませんもの」
「……ベラベラとよく喋る」
「あらあら、怒りました?短期になりましたね。以前はこれしきの事、無視してたじゃないですか。――あぁ、馬鹿にしている訳ではないですよ?寧ろ素晴らしい変化です。だって、感情をあらわにするのは若者の特権ですから」
相変わらずお喋りな彼は、一度語り出すと中々止まらない。それこそ、第2部隊隊長と彼が2人揃えば(そして2人揃うときは大概の確立で酒が入っている)いつだって俺は永遠聞き役になっていた。壊れた玩具の様に不平不満を述べていた彼を見て、いつも周囲に気を配って防音魔法を展開していたことを思い出す。
美しい笑みを称えて神秘的に輝く髪を撫でる彼を見つめ、俺は重苦しい溜息を吐いた。――彼のことは、第2部隊隊長同様、苦手である。
とはいえ、彼の呪い持ちへの嫌悪意識に関しては責め切れない部分もあるので、特にいきり立って咎めることはしない。誰だって、恨む相手が持つ虐げることが公に許されている特性には、攻撃――いや、口撃をしたくなるもので。せめて、彼のもとにいるだろうシャルとシャロンが、彼の言葉に傷ついていないことを願うばかりだ。
まぁ、彼らはあれでかなり強かなので、大丈夫だと思うが――小さな傷も、治る間もなく増えれば、致死量だ。
「……なんて、もう今更だけど」
「?――何か仰いました?」
勢いを増した炎から逃れるため、俺はかろうじて残っている屋根に上がった。黒煙が呼吸を邪魔しようとするのを若干量の風で方向を変えて回避しつつ、尚も喋り続けている女性騎士の問いかけを無視して地上に視線を向ける。
地上には、恐らくは燃え盛るこの屋敷の周辺に住んでいるのだろう国民達が、顔面蒼白で此方を見上げていた。ーーその中にいくつかの憎悪を見つけて。
まぁ、当然のことだけれど。じくじくと痛む胸を押さえ、どうしようもない空虚に知らず唇を噛んだ。
でも、もう、もう直ぐ終わるから。
「おら糞餓鬼無視してんじゃ――あら失礼。ですがほら、無視は良くないですよね第3部隊隊長。ほらほら此方を向いてくださいな。ほらほらほら、沢山の死体が転がってるんです。これ全部、貴方方の理不尽な圧政の成れの果てですよ。恐ろしいですね。悲しいですね?」
「足蹴にすんな」
「だって保守派ですもの。これ。足蹴にされて来たからし返しているだけです」
火に包まれて、最早輪郭も分からない遺体を爪先で転がすように突くカトリーヌを睨みつける。しかし彼は俺の言葉を気を留めるでもなく一際強く遺体を蹴りつけ、歪に口角を歪ませるばかりで。
「悪い事をしているのは保守派ですよね?人々の人生を、尊厳を足蹴にして嗤って日常を謳歌してきましたものね?その背後でどれ程の命が失われたのでしょうね?何人の人が家族を恋人を友人を失って、息もできないような苦しみを味わっているのでしょうね?」
「お前に言われなくても重々承知の上だよ」
「あら、それなら良かったです。被害者面が特技の貴方の事ですから、これも誰かのせいにするつもりなのかと思っていたんです。てっきり」
自覚しているのなら、何よりです。そう締めくくって淑女の礼をとるカトリーヌ。全くもって不愉快この上ない「煽り」であるが、彼の言うこと自体は何も間違っていないので反論することはしない。でもムカつくことに変わりはないので舌打ちだけは忘れないでおく。
正直、苛立ち紛れに風魔法をぶっ放して破壊の限りを尽くしたいところだが、此処で風魔法なんて使おうものなら炎を撒き散らして周囲の家々にまで被害を増大させるだけである。そもそも騎士団長は何故俺をこの現場に送ったんだ。普通水属性だろ。
また大きく地面が揺れる。加えて圧倒的な疲労感が身体を包み込む感覚に、重たい息を吐いた。最早一刻も早く部屋に戻って、寝具に包まれて眠ってしまいたかった。外はもう、辛いものばかりだ。眠い。もうずっと、眠たくて仕方がない。
大きく欠伸を漏らす俺を、カトリーヌは笑顔のまま見上げている。俺も、真っ直ぐに見返した。
彼は、「『彼女』にならなくてもいいフィオーレ王国」で、生きていくのだろう。髪を短く切って、胸にサラシを巻き男性物の服を見に纏い、心のままの見た目で。素晴らしい事だ。皆、思い思いの姿でいればいい。今の姿のカトリーヌも美しいけれど、きっともっと美しく変わるのだ。
ーーなのに。
「ーーあら、もうダメですね。此処」
「帰りたい」
「あらあら、戦わなくていいんです?」
「もうお前以外【殲滅】し終わってるだろーーお前が。後はお前が帰れば俺も帰れるから正直早く帰って欲しい」
「あらあらあら、酷いお人」
なのにーー俺は、どうして変われないのだろうか。
なんて、それこそ「被害者面」と揶揄されてしまいそうな感情が首を擡げてきて、唇を噛む。カトリーヌと冗談のようなやり取りを交わしながら、気を紛らわせるようにふわりと空に浮かび上がった。途端ごっそりと失われていく魔力に、疲労感が増幅して。ああやはり、最高難度の魔法をそう何度も何度も繰り返すものでは無い。
俺は道路を挟んだ対岸の建物の屋根に降り立ち、未だ炎の中に立ち尽くすカトリーヌと向かい合う。
【私のそばにいろ、レーネ】
【お前に会いたい】
唐突に脳裏に響く、温かい声。
バッと顔を上げれば、視線の先にあるカトリーヌの顔がぶれ、懐かしい人の顔になって。その口がパクパクと動き、此方に何かを訴えようとしている。知らずグシャリと顔を歪めれば、【彼】は「仕方がないな」とでも言いたげに不敵な笑みを零した。ーーあぁ、違う。これはカトリーヌだ。王様じゃない。
「……、……は……ぁ……」
「【レーネ?】どうかされました?【大事無いか】頭ついにイカれました?【】ーー【】?【】ね【】」
「うるさいな」
「【】は【】ねぇ、【】て【】いの【】?」
あぁ、なんかもう頭が……身体中が痛い。
グシャグシャと髪を掻き混ぜて、独りよがりで都合のいい空耳を追い出した。
大きな爆発音と共に、カトリーヌ・クローバーが襲った保守派貴族が集まる宿が、骨組みから崩れ落ちていく。それとほぼ同時に隣合っている屋敷にも次々に燃え広がり始めた。途端、周囲に集まっていた人々が慌てたように逃げていく。
寧ろ、今までよく燃え広がることなく持ち堪えていたものだ。カンナは向かい合う家の屋根に軽やかな足取りで降り立ったレーネを見つめ、苦笑を零した。
「流石は元第4部隊隊長だね。いいなぁ、ぼくも早く戦いたい」
カンナの腰周りに抱き着きながら、小さな少女は炎の柱を見上げている。その血色の瞳孔が徐々に好戦的に開いていくのを一瞥し、カンナは「ひっつき虫」の肩を優しく抱くように撫でた。気持ちは皆、同じである。彼女の方に回していない方の手は、ギチギチと音が鳴りそうな程固く握り締められていた。
可愛くて可愛くて堪らない、年下の親友。真綿で包んで閉じ込めて置きたくなるような庇護欲をそそられる青年は、今もこうして沢山の苦しみを抱えている。大好きな彼の苦痛を何とか退けようとカンナがいくら奮闘しようと、結局は彼を助ける為の一助にもなりはしない。ーーこうして、見ている事しか。
「……レーネ」
小さく、呼び掛けるように囁く。そうすれば、君が気付いてくれるのではないかと、気付いて笑顔を見せてくれるのではないかと、ーーありもしない事を、願って。
「……『癒せ』」
君の心を、癒してくれ。
カンナの涼やかな声と共に、曇天から大粒の雨が降り注ぐ。カトリーヌが引き起こし、みるみるうちに大火災へと発展し始めている炎の上に展開された水魔法が、炎によって傷付けられた大地を濡らし、癒していく。
突然の局地的な大雨に、対岸に立ったレーネが俄に目を見開いて周囲を見渡している。恐らくは魔力の主が何処にいるのか探しているのだろう。彼程の才能の持ち主ならば、魔力の大元がカンナ・カルミアである事にも気付いた筈。
けれど、まだカンナが見つかる訳にはいかないのだ。だって、1度でも彼に見つかってしまえば、カンナ程度の力では一溜りもないから。カンナは魔力不足に痙攣し始める手指を見下ろし、自嘲の笑みを浮かべる。
たかが雨を降らせるだけの魔法で魔力不足に陥るのが、一般騎士だ。近衛にすらなれず、戦場で使い潰される雑兵だ。それでも小隊を率いる事が出来る程度にはーーいや、これは無様な言い訳になる。
ともかく、どう足掻いたってカンナはカトリーヌやアルヴィア、そしてアリスのような主要戦力にはなり得ないのだ。
隣でアリスが持ってた魔具を起動する音が聞こえた。魔具の効果で自分達の周囲の気配や魔力痕跡を遮断し、数歩だけ後退る。
ヘイデル王国から贈られた魔具の1つであるそれは、革命を起こす上でもう何度も役に立ってきた優れモノだ。『魔法詠み』を完全習得した魔法士が創り上げたそれは、流石のレーネにも看破できないのか、魔法の出どころを探すレーネの視線はカンナとアリスを素通りしていった。ーー本来の彼の実力ならば、その限りではなかっただろうに。カンナは嘲笑を落とす。
「……君から見て、彼は相当消耗しているのかな」
「ああ、レーネは本当ならこんな魔具、一目で看破してみせるよ。そして瞬きの間に僕の目の前までやって来て、僕の心臓に剣を突き刺すだろうね」
「親友なのにかい?」
「ああ、親友だからさ。彼は僕の反逆を決して赦さない」
無垢なアリスの問いかけに、カンナは真っ直ぐただレーネを見つめたまま頷く。カンナから見ても、入隊当時からレーネのフィオーレ王国への忠義は群を抜いたものがあった。――それはもう、信仰にも近かったように思う。「フィオーレ王国」というある種無形の存在を、どうしてそこまで崇めることができるのか。
たとえ親友であっても、彼はフィオーレ王国を裏切る者に容赦はしない。それは、彼の信念を理解している者なら誰もが知っていることだ。
そう言って尚も熱い視線を送るレーネとは反対に、アリスは何処までも冷静であった。
「カンナ、それ程までに強く手を握ってしまっては、血が出てしまうよ」
「……そうだね。だけどこんな些細な痛み、レーネに比べれば何でもないと思わないかい」
「痛みの程度なんて、人によって様々さ。比べるものではないよ」
「……そう、だね。――レーネ、あんなに辛くてしんどくても黙っているのに、紙で手を切ったら泣き叫ぶんだ」
それは、なんというか……紙ってそんなに攻撃力高いのか。驚いたな。
過去の出来事を思い出しているのだろうか。緋色の瞳を追憶に揺らしながら、カンナは薄桃色の髪を撫でる。彼の腰に抱き着いたままのアリスも、それにつられるように2つの髪をゆらゆらと揺らした。戯れに彼の義足に足を絡みつかせれば、カンナは穏やかに微笑んでアリスの頭を撫でてくれて。――ああ、ままならないものだ。
優しい人から、良い人から不幸になっていく人生だ。
カンナが毎日毎日ーーこれもまたヘイデル王国から贈られてきた諜報用の使い魔を使ってレーネの様子を確認していることを、アリスは知っている。使い魔の小さな口から囀るように告げられる音に、いつも泣き出しそうな表情を浮かべていることも、ヴィンセントと2人でレーネに最後通告を行ったことも知っている。
アリスは呆然とした様子で周囲を探し回るレーネを真摯に見据え、目を逸らしてカンナの顔を覗き込んだ。
「彼は、これ程までに多くの人に愛されているのにまだ足りないのかな」
「いいや、違うよアリス。人は有象無象にどれ程愛されても、自分が求めた愛を得られない限りは満足しないんだ」
「……ふぅん。我儘だね」
「ああ、人は強欲な生物だ。それでいいのさ。欲がないと楽しくないからね」
ああ、成程。
と、アリスは自分の荒れ狂う胸中に、何かがストンと落ちる様な感覚に陥った。未だレーネに一心に視線を向けるカンナは、少女の変化に気付くことはない。
アリスがどうして幸せになれないのか。それは、欲がないからだ。殺人欲求と戦闘欲求しか生まれないような身体に造り上げられてしまったからだ。時折あたたかい気持ちになりはすれど、それは直ぐに心を通り抜けて何処かへ消えてしまう。永遠に、胸に穴が開いたような空虚がアリスを包んで離さない。
自分には何もない。あるのはただ、忌まわしい力と身体の痛みだけ。
今いる仲間だって、偶然彼らの志にアリスの能力が必要であっただけ。担ぎ上げる犠牲の象徴が必要であっただけ。革命が終わればアリスはまた、恐ろしい化け物に戻ってしまうのだ。それが恐ろしくて恐ろしくてたまらない。
仲間達は「信じてくれ」とアリスに何度も言った。しかし、アリスにとってみれば信じるも信じないもない。
人間は、アリスを利用し傷付けるものなのだ。そういうものなのだ。カンナだってアルヴィアだって――ヴィンセントだって、そうに違いないのだ。そう、刻みつけられてきたから。
だから、レーネが「安心する」と言ってくれた時、初めて自分もそちら側になったのではないかと、期待した。
ーーけれど。
「ぼくも、――皆と一緒に」
「?……どうかしたかい?革命後の話?――そうだなぁ、皆で一緒に、ヘイデル王国に旅をしてみたいな。とても海が綺麗なんだそうだよ」
カンナの目に入らぬようぎゅっと抱き付き直し、黒衣の外套に顔を埋める。そして、頭を撫でられる感触を享受しながら、笑みにもならぬ表情を浮かべて。あぁ、ずっと胸が痛い。痛い。いたいなぁ。
「――うん、そうだね、……楽しみにしている、ね」
うそ。
ごめんね。やっぱりぼくは、君たちと一緒には行けない。
ごめんね。幸せになれなくてごめん。受け止められなくてごめん。死にたくてごめん。
自嘲と悔恨と癒しの雨が、大地に滲んで消えていった。
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