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最終話 なほみ vs 美咲 レディース総長 激闘の余韻

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 あまりの壮絶な決着に、両レディースのメンバーたちも静まり返っている。

 美咲は、なほみの体を自分の上から横に払いのける。なほみの体は、力なくうつぶせになる。

 美咲は、ゆっくり体を起こしてヤンキー座りをすると、うつぶせになっているなほみの髪の毛をつかんで顔を自分の方を向ける。
美咲「あんたら麗紅は、これで解散か、美闘の傘下に入るか。どっちにするんだ?」
なほみ「傘下に……入れて…ください…」
美咲「ほう。メンバーたちを路頭に迷わせたくねえんだな。さすがは麗紅の総長。これからは、よろしくな」
なほみ「はい…」

 美咲は、立ち上がると体のダメージを感じてよろめきながらも、美闘レディースのメンバーの下へ戻る。

 紗枝と琴美が心配そうに待ち受ける。
紗枝「総長、大丈夫?」
美咲「ああ、大丈夫だ。ここまで苦戦したのは初めてだな」
 琴美は、美咲の切れて出血した口をタオルで拭う。
琴美「あたしが負けたせいでこんなことに……」
美咲「いや、琴美はよく闘ったよ。あたしも、琴美以上に頑張ろうって気持ちが支えになったよ」
 紗枝は、傷だらけになった美咲の背中の土を払い、胸にサラシを巻こうとする。
美咲「あー、痛てぇー。今日は、サラシ巻くの無理だよ」
 美咲は、あざだらけになった上半身の痛みで、顔をしかめる。
 紗枝は、すぐに美咲に特攻服の上着を着せる。

美咲「ありがとな、みんな。この喧嘩は全員での勝利だ」
 美咲は、琴美と紗枝に向かって笑顔を作る。
美咲「これから麗紅のメンバーは、あたしらの支部になる。もっと美闘を大きくしていこうな。美闘レディース最高!」
 美咲が叫ぶと、メンバーも全員「美闘レディース最高!」と何度も叫び、その声は周辺の山々にこだました。

 一方、麗紅レディースの加奈と詩緒里は、うつ伏せに倒れているなほみに駆けよる。
加奈「総長、よく闘ったよ…感動したよ」
なほみ「すまん…。相手が上だった…。もう総長じゃんねぇんだ。支部長さ…」
 詩緒里は、なほみの体を起こして、なほみの鼻血を拭き取り、サラシを巻くのは無理と感じ、特攻服の上着を着せる。
詩緒里「このまま黙ってはいられねぇ。あたしが仇討ちをしてやるよ」
 美闘レディース側へ向かおうとする詩緒里の腕を、なほみがつかんで止める。
なほみ「やめろ…。気持ちは分かるが、あいつは、詩緒里が太刀打ちできる相手じゃねぇ。この体を見たら分かるだろ」
 詩緒里は、その場にへたり込み、涙を流す。

詩緒里「でも…悔しいんだよ…」
なほみ「ごめんな…。あたしの力不足で…。これからは美闘レディースの麗紅支部になるけど、あたしについてきてくれるか?」
詩緒里「もちろんだよ。なあ、みんな?」
 麗紅レディースのメンバーは、口々に「もちろん!」と声を張り上げる。
なほみ「そうか…。これからもよろしくな」
 ようやくなほみの顔にかすかな笑顔が戻った。

 こうして麗紅レディースを傘下に収めた美闘レディースは、さらに勢力を強め、周辺地域を制圧していくのだった。
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