女子バスケットボール部キャプテン同士の威信を賭けた格闘

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女子バスケットボール部キャプテン同士の威信を賭けた格闘

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 試合後、白井有紀は、憤っていた。今日は、市内の女子大学とバスケットボールの練習試合があったのだが、不本意な負け方をしてしまったからだ。
 実力で負けたのならまだいい。
 でも、負けたのは、相手チームのあの子のせいだ。キャプテンの岡本彩花。試合は、緊迫した展開だった。終始、試合を押し気味に進めたのは、有紀がキャプテンを務めるチームだった。
 なのに、彩花の数々のラフプレーのせいで僅差で敗れてしまった。

 有紀は、後片付けをしている彩花を呼び止め、怒りを抑えながら穏やかな口調で話しかけた。 
「岡本さん、帰る前に体育館ちょっと寄ってもらえないでしょうか。次の試合の話をお願いしたいので」
「ええ、いいですよ」
 彩花は、笑顔で返した。その後、着替えを終えた彩花は、片づけを終えて体育館で1人待っていた有紀のところへ1人でやって来た。他のメンバーは、先に帰ったもらったらしい。キャミソールに膝上のスカート、素足に派手なパンプスと、試合とは打って変わった服装。有紀より少し背は低いが、かなりの美人だ。試合に勝って気分がいいのか、表情も明るい。
「じゃあ、うちのメンバーも、もう帰って休んでちょうだい。私は、岡本さんと次の試合の予定を打合せするから」
 有紀のチームのメンバーは、有紀と彩花に挨拶して次々と帰って行った。

 2人きりになったのを見計らって、有紀は、彩花に言った。
「悪かったですね。みんなと一緒に帰れなくて」
「いえいえ、いいですわよ。電車で来てますから」
 そう答えた彩花を有紀は、激しくにらんだ。有紀も、バスケット部一の美人で、すらっとしたスタイルである。
 彩花は、軽く微笑みながら少し目を反らした。
 有紀は、おもむろに両方の靴を脱ぐと、靴下も脱いで、自分の足を見せた。
「あなた、どういうつもりなの。こんなことして」
 有紀の白い両足の甲が赤くなって、右足は腫れている。彩花は、その様子を見て、見下すように口を開いた。
「あら。ごめんなさい。試合中に偶然踏んでしまったかしら」
「右足を3回、左足を1回。それでも偶然と言える?」
「何が言いたいのでしょう?」
「私だけじゃないのよ。他の子も踏まれたって言ってた。それにこの跡」
 有紀は、ユニフォームをめくって腹のあたりを見せた。引き締まった腹の真ん中が少し赤くなっている。
「あなたのタックルまがいの頭突きのせいよ。二の腕に肘も入れてきたわよね」
 試合中、彩花のそんなプレーで有紀と彩花は、何度かにらみ合いをしていた。
「ちょっと当たってしまっただけじゃないですか。バスケならよくあることですよ」
「へえ。他の子の太ももに膝を入れたのを覚えてるかしら。あれは、明らかに故意だったわよ」
「あれは、あの子が私の前へ急に出てきたからぶつかってしまっただけよ。あたしのせいで、あなたたちが負けたと言いたいわけ?それは、あなたの負け惜しみよ」
 彩花も、先ほどまでの口調をやめて、強い口調で言い返した。
「はあ?」
「負けて悔しいのはわかるけど。あなたとあたしの大学は、昔から宿命のライバル同士だから、毎回真剣勝負なのよ」
「でも、こんな酷いことされたらね、私も、このままでは引き下がれないわ。今度は、正々堂々と勝負して」
 有紀の強い視線に対して、彩花は、今度は目をそらさず、同じような強い視線で有紀をにらみつける。
「いいわよ。じゃあ、来月、もう一度、試合をしに来るわ。何度やっても結果は同じだけど」
「そんなの、待ってられないわ。今すぐよ。1対1でね」
 今から1対1でバスケットの試合?
 彩花は、すぐに意図を理解することができなかった。

「ちょっとこちらに来てちょうだい」
 有紀は、裸足のまま彩花を隣の建物に誘導した。
「靴を脱いで上がって」
「ここは?」
「柔道場よ。今は柔道部員が1人もいないから使ってないの。でも、私は、子供の頃、柔道をやっていてね。腕っぷしには少し自信があるのよ。柔道部があれば入りたかったんだけど」
 有紀は、彩花が柔道場に入ると中から鍵をかけた。彩花は、有紀が何を考えているかやっと理解した。
「そうなの?あたしも、レスリングをやっていたわ。男の子にも勝てるほどだったのよ」
 彩花は、有紀の顔をにらみ、有紀もまた彩花の顔をにらみ返した。
「今日のあなたの暴力的なラフプレーはどうしても許せないわ。でも、バスケットの試合中は、乱闘になってはいけないから我慢してたの。でも、あなたの態度を見てたらもう我慢の限界だわ。どちらが強いか正々堂々と喧嘩で勝負よ」
 有紀の言葉に、彩花は、吹き出すように笑った。
「あらあら、すごい自信ね。バスケットで勝てないのに喧嘩で勝てるはずないでしょ」
「じゃあ、今から決着をつける?」
「望むところだわ」
 有紀の提案を彩花は、正面から受けた。

有紀「ルールは私の柔道、あなたのレスリング、プロレスの技はOK。これで公平でしょ。あと、顔に傷がつくと後で喧嘩したことばれるから、顔への打撃はなしよ。顔以外なら隠せるからOK。決着はギブアップか、落ちたら負け。これでどう?」
彩花「まあ、いいルールだけど、あなたの顔を叩けないなんて、つまらないわ。ビンタくらい有りにしてくれないかしら」
有紀「いいわよ。でも、あなた、帰るとき、顔が腫れてるわよ」
彩花「何言ってるのよ。あんたのびんたなんてもらうつもりはないわ。あたしが入れるのよ」
有紀「ふふふ。じゃあ、遠慮なく、あなたの高慢な顔を叩いて腫らしてあげるわ」
彩花「あんた、あたしに勝てると思ってるの?あたしは、これまで1回も喧嘩に負けたことがないのよ」
有紀「私も負けたことないわ」
彩花「弱いやつとばかり、喧嘩してたのね」
有紀「やってみれば分かるわ。じゃあ、準備して。あなたが準備できたら、始めるわよ」
 有紀は、柔道場の中央へ移動し、バスケットボールのユニフォームのまま屈伸運動を始めた。

 彩花は、急な話の展開にも動揺せず、キャミソールを脱ぎ、スカートを脱いで下着になった。赤のブラジャーにピンクのショーツだ。いかにもアスリートという体で締まった腰と筋肉質で張りのある太ももが美しい。

 二人は、柔道場の中央で対峙する。
 有紀はバスケットのユニフォーム。彩花は下着姿だ。
有紀「あなた、体に自信があるのね」
彩花「服が汚れるのが嫌なだけよ。それに、この方が動きやすいしね」

有紀「いくわよ」
 彩花がうなずいた。
 有紀は、両手を前に出して相手の出方をうかがう。彩花も、両手を前に出して有紀の両手に指を絡ませる。最初は相手の力を確かめるようにお互いの両手を絡ませて力比べになった。体格が互角なだけに、力も互角だ。
 痺れを切らした彩花が先に動く。右足を有紀の左足に外からかけて、押し倒そうとする。有紀は、必死にこらえる。
 逆に片足立ちの彩花を腰に乗せて投げようとするが、それを察知した彩花は足を外して巧みに横ステップで逃れた。
 彩花は、今度は、有紀のユニフォームの胸元をつかんだ。そこから一気に背負い投げをしようとする。有紀は、逃れたものの、今度は内股を使ってさらに投げようとする。

 豪快な柔道技を繰り返す彩花に、有紀は、驚きを隠せない。それに有紀が柔道技をかけようにも、彩花が服を着ていないため、襟をつかんだりできない。
 彩花は、こういうファイトに慣れている様子が見受けられる。あせった有紀は、思わず彩花のブラジャーに手をかけてしまった。ホックが外れてDカップの美しい乳房が露わになる。
彩花「あー、よくもやってくれたわね」
 彩花は、有紀のユニフォームを両手で持って、首を絞め上げとする。有紀は、その反動を使って、払い腰の要領で彩花を投げた。
 柔道技なら有紀の方に分がある。しかし、彩花は、仰向けのまま下からユニフォームを使って有紀を絞め上げようとする。

 有紀の息づかいが苦しくなる。
彩花「どう、ギブアップして楽になったら」
有紀「何よ。下になっているくせに……」
 そう言いながらも、苦しくなった有紀は、彩花の両手首を持ちながら腰を浮かす。彩花は、それでも絞めようとしていたが、有紀は構わず彩花を背中から畳に叩きつけた。
 その隙をついて有紀は、彩花の手を振り払い、立ち上がる。そして上のユニフォームを脱いで、白いブラジャー姿になる。ユニフォームでは彩花の執拗な絞め技に対して不利だからだ。

 しかし、そのとき素早く起き上がった彩花は、有紀の足に低空タックルを仕掛けた。レスリング仕込みのタックルをこらえきれなかった有紀は、尻餅をつき、彩花は、上から馬乗りになっていこうとする。
 有紀は、それを何とか阻止しようと、彩花の胴体を両足で挟んで抵抗する。彩花は、上から有紀の顔にびんたを降り注ぐ。何発かまともに入ったが、有紀も必死に両腕でガードを固めて防ぐ。有紀も、彩花の攻撃の合間を縫って、下から彩花の顔にびんたを入れる。
彩花「あんた、顔が腫れてきてるわよ。早くギブアップしないと顔が壊れちゃうわよ」
有紀「あなたのびんたなんて、ほとんど当たってねえんだよ」

 彩花は、上の立場を利用してギロチンチョークを狙ってみたり、肩固めに持っていこうとしたがるが、有紀はうまく彩花の腕と体を足でコントロールして自由にさせない。彩花は、有紀の腹や胸にパンチを入れていく。有紀も下から必死にパンチで対抗する。
 しかし、上にいる彩花の方が優勢となり、有紀は、クリンチで逃れる。そして、両足に力を込めて彩花の胴体を絞める。
彩花「この太い足、放せよ。邪魔なんだよ」
有紀「お言葉ですが、あんたより私の方が細いわよ。ほんとは苦しいんでしょ。もっと絞めてあげる。私の太ももで眠りなさい」
 有紀は、さらに足に力を入れる。彩花が動くと逆に彩花の胴体が絞まって苦しい、いらいらした彩花が有紀のブラジャーをはぎとる。彩花よりは少し小さいCカップだが、張りがあって綺麗な形の乳房が露わになる。
 しかし、有紀に動揺はない。
有紀「あなたのやりそうなことだわ。そんなことしても、放さないわよ」
 2人以外に誰もいないし、鍵を閉めてあるから邪魔をされることもない。見られることを意識しなくてもいい。

 彩花は、状況を打開しようと有紀の両足を抱えて持ち上げ、有紀を背中から畳に叩きつけた。手を放した有紀を抱えたまま、ジャイアントスイングに入り、10回転した後、再び畳に叩きつけるのかと思いきや、有紀の体を思い切り壁に叩きつける。
有紀「きゃ、痛あいー」
 有紀は、さすがに足を放した。胴体の苦しみから解放された彩花は、間髪入れずにうずくまっている有紀の髪をつかみ、馬乗りになる。まだ彩花の息は荒いが、強引に腕を有紀の首に押し付け、ギロチンチョークをかける。
彩花「あなたも、……口ほどじゃないわね……」
有紀「壁に……ぶつけるなんて……この卑怯者……」
 有紀は、苦悶の表情で彩花の腕をつかんでもがく。
彩花「また、負け惜しみ?悔しければ、あんたもやってみたら?バスケでも喧嘩でも勝つのは結局あたしなのよ」
有紀「いつまでも、インチキが通用すると思ったら大間違いよ」
 有紀は、両腕を彩花の胴体に回し、力を振り絞って彩花の体をを持ち上げるように浮かせ、反転して彩花を裏返し、上になった。下になった彩花も今度は有紀のユニフォームのパンツを両手でつかんで持ち上げ、有紀を裏返して再び上になる。
 2人は、気合の声を上げながらそれを何度か繰り返した。そして、両者に疲れが見えて、互いに横になったまま上になれない状況となり、彩花は、足で有紀の胴体を突き放した。有紀も同じように蹴り返し、二人は離れた。

 彩花は、後ろの方へ転がりながら距離をとってから立ち上がる。ダメージの大きい有紀は、その場に立ち上った。
彩花「もうふらふらでしょ。やめるなら今のうちよ」
有紀「さっき逃げたのはあんたでしょ。早くかかってきなさいよ」
 有紀の挑発に、彩花は、突進してタックルする。受け止めた有紀は、下がりながらも、壁を背にしたとき、壁に足を付けて踏ん張りながら彩花のショーツを両脇から思い切り持ち上げ、そのまま歩いて中央の方まで進んだ。そしてそのまま投げようとしたが、彩花も、うまく畳に足をつけてバランスを取り、倒れるのを防ぐ。
 2人は、中央でがっぷり四つの状態になった。
 互いに投げたり、押し倒そうとするも、お互いのボディバランスが素晴らしく、なかなか体勢が崩れない。
 そのうち有紀が手をかけている彩花のショーツが伸びきって力が伝わりにくくなってきた。それを見透かした彩花が大きな気合の声とともに右から投げを打った。次の瞬間、有紀は肩から畳に落ちていた。投げを打ちあった左手には彩花のショーツがある。
 伸びきって彩花の足をずり落ち、彩花が足を抜いたためだ。彩花の用意周到な格好が功を奏したのだった。

 彩花は、仁王立ちで有紀を見下ろす。彩花は、惚れ惚れするような隙のない裸体から素早い蹴りで、有紀の太ももを蹴り上げる。有紀は、仰向けで彩花の攻撃を受けながらも、、前蹴りで彩花が上に乗ろうとするのを防ぐ。そして、彩花の動きを警戒しながらも、ユニフォームのパンツとその下のショーツを素早く脱いだ。少しだけ彩花より細身だが、その分身長で勝っているので、体重は同じくらいだろう。筋肉質で隙のない美形で足のラインがしなやかだ。彩花より透き通った肌はまばゆいほどである。

彩花「フフフ、自ら全裸になるとはね。よほど体に自信があるのね」
 彩花は、分かっていながらの嫌味を言う。
有紀「あんたに投げられたのはユニフォームのせいよ。同じ格好なら投げられたりしないわ」
 彩花は、そんな有紀の背後に回ろうとするが、有紀も畳に仰向けになったまま方向を変え、隙を見せない。
彩花「さあ、かかってきなさいよ」
有紀「あなたこそ、かかってきなさい」 
 そういった瞬間、有紀の方から彩花に片足タックルを仕掛けた。彩花は、際どくそのタックルをバックステップですかす。
 有紀は、再びマットに転がり、仰向けになった。
彩花「かかってきなさい、と言いながら、かかってくるなんて、あんたも相当インチキじゃない」
有紀「かかってこいって言ったのはあなたでしょ。あなたと一緒にしないで」
 有紀は、彩花のすねに蹴りを入れる。そこに彩花がとびかかる。有紀は体を起こそうとするが、そのまま馬乗りになる。そして、上から覆いかぶさって右腕を有紀の顔に回し、フェイスロックを決めた。
彩花「痛いでしょ。ギブアップしなさい」
有紀「こんなの、たいしたことないわ」
 有紀の額から、鼻の頭から汗が噴き出ている。有紀は何とか顔と彩花の腕の間に手をねじ込み、右手で彩花の喉元を押し込む。彩花も、苦しそうな表情になる。彩花の体を押し上げ、汗のすべりを利用しながらて顔を抜いた。
 そして、ブリッジのように体を浮かして体勢を入れ替えた。そして、ビンタを降り注いて彩花をひるませると、彩花の左腕をとって、腕ひしぎ十字固めを狙う。
有紀「あなたの腕を極めてあげるわ」
彩花「やれるもんならやってみなさいよ」
 彩花も、決まらないように体を回転させながら、必死に逃れようとする。

 今度は、逆に有紀があお向けになって、彩花が膝立ちで上になろうとするが、有紀は、彩花の左腕を放さない。下から攻める手は緩めず、間髪を入れず、足を彩花の首に巻きつけて三角絞めの形を作ろうとする。彩花は、自分の左腕を右腕でつかんで引き込まれないように防ごうとする。
有紀「いい加減にあきらめなさいよ」
彩花「それは、寝てばかりいるあんたでしょ」
 彩花は、苦しい体勢ながらも必死にこらえ、有紀は、足を彩花の首に絡めたまま、ぶら下がって背中を床に付けている状態になった。
 有紀は、彩花の左腕を引っ張る力をさらに強め、両足に力を入れて絞め上げる。
有紀「苦しいでしょ。ギブアップしなさいよ」
彩花「こんな柔な太ももじゃ逆に気持ちいいくらいよ……」
 彩花は、顔を紅潮させならがも強がる。
 そして、また有紀の体を持ち上げるように立ち上がり、落とすように床にぶつけた。有紀は、苦しそうな顔をしたものの、簡単には足を離さない。彩花は、もう一度、有紀の体持ち上げようとしたが、絞め上げられる苦しみからか、途中で自分から崩れてしまった。
有紀「もう持ち上げる力もないみたいね」
彩花「おめえの……まんこが臭くて、……力が入らねえんだよ」
有紀「まだそんな元気があるのね。ん?きゃあーー、何すんのよー」
 彩花が有紀の股間に指を入れ、激しく前後左右にかき回したのだった。
彩花「大事なとこが無防備なんだよ。おらおら、早く足を放しなさいよ」
有紀「あああーああーー。ううああーー、あんんーー」
 有紀は、足を放しはしないが力が緩まり、腕は放して彩花の右腕を両手でつかんで自分の股間から引き抜いた。
 しかし、彩花は、今度は、右腕で有紀の股間にパンチを入れていく。有紀はそれを防御するため、両掌で受けようとするが、それでも何発かをまともに受け、ついに足を放してしまった。

 彩花は、ようやく有紀から離れると、ふらつきながら後退し、大きく距離をとって肩で息をする。先ほどの攻防で、かなりの体力を消耗している。有紀も、彩花のパワープレーとエロプレーのせいで全身が痛む。
 有紀は、痛みをこらえて立ち上がり、彩花をにらんだ。彩花も、負けずに睨み返す。
 もう開始から軽く10分はたっているだろう。2人ともこんなに長く喧嘩をするのは初めてである。有紀は、この柔道場で生意気な後輩やときに理不尽な先輩に喧嘩を挑んでしてきたが、いずれも短時間で片付けてきた。
 彩花だって、こういう性格のおかげで喧嘩を売られることは多いが、すべてを買っては、短時間で勝ってきたのだ。

有紀「あんたのインチキも、ここまで来るとたいしたものね。ここまで屈辱を受けて、ただじゃおかないわよ」
彩花「あんたの汚い場所を触ったのは、あたしも屈辱よ。早く勝って手を洗いたいわ」
有紀「もう息が上がってるくせに、口だけは達者ね」
彩花「あんたこそ、傷だらけで、見ていて痛々しいわ。ここでギブアップするのが身のためよ」
 息を整えるかのようなにらみ合いが続く。締め切りで蒸し暑い柔道場のせいで、汗がしたたり落ち、体力を奪う。

 彩花がタックルに動く。察した有紀も低い姿勢で互いに腕をからませて相手の肩付近を手でつかみ当て組み合った。何も着ていないだけに、なかなか相手を倒しづらい。
 有紀は、彩花を首投げしようとする。苦しそうな表情でこらえる彩花。しかし、彩花は、こらえて体勢を立て直し、有紀の左足をとって倒そうとする。有紀も、踏ん張る。
 再び押し合う格好に戻ると、彩花は、有紀の背中に両手を回し、胴体を絞めつける。二人は、胸同士でもつぶし合う状態になり、2人とも苦しい。有紀も、負けじと彩花の腕の上から胴体を絞めつける。
彩花「苦しいでしょ…」
有紀「あなたの方がね…」
 しばらくして有紀の右足の甲に痛みが走った。バスケット試合と同じように彩花が踏みつけたのだ。
 ひるんだ有紀を彩花は、押し倒した。
有紀「相変わらず卑怯ね」
彩花「フフフ、偶然だわ」
 しかし、有紀は、彩花の首を抱え込んでいて、逆に上に乗った彩花の方が苦しい。彩花は、上から有紀の脇腹にパンチを入れて放そうとする。今度は、有紀が彩花の両腕をつかみ、彩花を裏返して体勢を入れ替える。
 そして、有紀は、上から彩花の首の上に腕を入れてギロチンチョークの体勢に入り、それを外そうと、彩花は、彩花は両手で有紀の両胸をつかみ、強い握力を加えた。
有紀「こ、これは、反則よ」
彩花「あんたの体を押してるだけでしょ」
 彩花の強みは、バスケットでもルールすれすれのところを狙ってくるずる賢さだ。有紀は、仕方なく、また彩花の両手をつかんで外す。
 有紀は、彩花の上にまたがり、彩花の両腕を床に押し付ける。彩花は、有紀の足に外側から自分の足を絡めてロックしていたが、有紀は、抜きに掛かる。そして、抜けそうになると、今度は、足を曲げて有紀の脇腹あたり挟み込み、抵抗する。
 有紀は、彩花の腹の上に座ろうとするが、彩花の足の抵抗で苦しむ。有紀は、腕を放し、彩花の両足を手に取って、彩花の体をくの字に折り曲げて、その上に乗った。恥ずかしい体勢に、彩花は、うめき声をあげる。
彩花「こら、放せよ」
 彩花は、有紀の足に何度もパンチを入れて必死に抵抗する。
有紀「まんこ丸見えじゃない。どうせ、いつも男の前でこんな恰好してるんでしょ」
彩花「お前と…一緒にするなよ……」
有紀「まあ、わたしほど、もてないかもね。その性格じゃ」
彩花「お前よりは、もてるんだよ」
 彩花は、自分の太ももの裏に座る有紀の股間に手を伸ばし、指マンを狙う。しかし、有紀は、指が入る前に腰を上げて避ける。
有紀「あなたの考えてることなんて、お見通しよ」
 有紀は、彩花の足を両手で押さえつけたまま、股間を右足で踏みつける。電機アンマの要領で何度も激しく踏みつけ攻撃をする。
彩花「ああああああ。うううっぐ。あああああ。うぬぅーー」
 有紀は、痛みと快感の間でもだえる彩花に、今度は、右足の指を彩花の股間の中に押し込んでいく。
彩花「やめろよ。汚ねえだろ」
有紀「あなたには、足マンで充分よ。嫌ならギブアップしなさい」
 彩花は、怒りに満ちた表情で顔を赤くしながら有紀の右足にパンチを入れる。そして、有紀の腕にもパンチを入れていく。
 さすがの有紀も、その勢いに押されて体を起こす。彩花は、その隙をついて足を激しく蹴り動かし、有紀の手から離れようとする。有紀は、腕力でコントロールしようとしたものの、さすがに足の力には勝てず、両手を放した。

有紀「あなたも、しぶといわね」
彩花「それは、こっちのセリフよ。この屈辱は倍にして返すわよ」
有紀「寝てばかりいないで、早く立ちなさいよ」
彩花「あんたこそ、もう攻める体力がないんでしょ」
 彩花は、寝転んだ状態から飛びつくように有紀の左ふくらはぎにしがみつくようなタックルをして、足を抱え上げた。
 有紀は、片足になってしばらくけんけんで持ちこたえたものの、体勢を崩して尻もちをついた。
 しかし、有紀は左腕で彩花の首をとらえ、フロントチョークで絞め上げる。
有紀「もう逃げられないわよ」
彩花「逃げるのなんて簡単よ……」
 そう言いながら、何とか彩花は右手を有紀の腕の下にねじ込み、気道を確保した。そして左手で、有紀の股間に手を伸ばす。
 有紀は、彩花に手マンさせるそぶりを見せながら素早く動いて彩花の後ろに回り、バッグをとってスリーパーに入った。そのまま体を後ろに倒し、両足で彩花の胴体を絞め上げる。
 彩花は、両手で何とか絞め上げられるのを防ぎ、足をばたばた動かすが、どうにもならない。
有紀「ギブアップ?」
彩花「ノー」
有紀「ギブアップしないと落ちるわよ」
 彩花は、無言のままうめいた。このままでは落ちてしまう。窮地に陥った彩花は、両足で踏ん張ると、頭頂部で有紀に頭突きし、有紀の顎に直撃させる。
 鈍い音と共に、有紀の頭が後ろに振られ、後頭部が畳に打ち付けられた。
 その隙に彩花は、何とか有紀の腕と足を離して立ち上がることができた。

 彩花は、首をさすりながら前かがみになり、有紀から距離をとって、激しい呼吸でふらついている。一方、すぐ立ち上がった有紀も、彩花の頭突きのせいで、ふらついている。
有紀「びんた以外の顔への打撃は、禁止よ。もう、あなたの反則負けよ」
彩花「よく言うわね。さっきのは、あんたが顎で、あたしの頭に攻撃したんじゃない。あんたの反則負けよ」
有紀「あなたとは、徹底的に決着をつけるしかなさそうね」
彩花「こっちも、そのつもりよ。あんたがギブアップって言うまでいたぶってあげるわ」

 お互いの出方をうかがいながら、全裸でのにらみあいが続く。
 先に動いたのは有紀で、右からの回し蹴りを彩花の内股に決める。すると、彩花も、火がついたかのように、蹴りを何度も繰り出し、前蹴りを有紀の股間に決める。
 ひるんだ有紀に彩花は、びんたを入れると、その勢いで有紀のボディーにパンチを入れる。有紀は、下がりながらも、回り込み、逆に彩花のボディーや胸にパンチを入れる。
 双方が足を止めての打ち合いになったが、先に苦しみからクリンチをしたのは、有紀だった。
彩花「これで決着ね。あたしのパンチの強さに驚いたでしょ」
有紀「あなたの馬鹿力には、驚いたけど、勝負はパンチ力だけじゃないのよ」
 有紀は、彩花の内股に足をかけ、全身の力を使って投げ倒す。しかし、彩花も、下から有紀の髪の毛を左手でつかみ、右手でびんたを繰り出す。同じように有紀も、彩花の髪の毛をつかみ、びんたを返す。
 彩花は、下になっているのを嫌がり、足の力を使って有紀を横にさせる。2人は、横の体勢のまま、びんたを貼り合うが、彩花が有紀のボディーにパンチを入れると、有紀は、膝を彩花のボディーに入れる。
 それを機に、2人は、前蹴りの応酬になり、互いのボディーや股間を狙って蹴りを入れていく。蹴り合いで互いの体が離れて届かなくなると、2人は、起き上がり、膝立ちでにらみ合う。
彩花「早く来いよ。どうせ、またすぐ怯えて抱き付いてくるんでしょ」
有紀「大きな口叩いてると、また投げ倒すわよ」
 彩花は、素早い動きで有紀の脇腹にタックルを決める。有紀は、膝立ちだけに踏ん張りが効かず、横に倒れる。それでも、有紀は、彩花の首をとらえ、フロントチョークで絞め上げる。

 度重なる有紀の絞め技で苦しい彩花は、膝を有紀の股間に入れて、有紀の腕を外す。そして、仰向けのまま防御の体勢をとる有紀から離れて立ち上がった。
 彩花がすぐに攻められないのを見て、有紀も股間に手を当てながら立ち上がる。
有紀「もう堪忍袋の緒が切れたわ。許さないわよ」
彩花「あんたが何をやっても、あたしには勝てないわよ」
 彩花は、大振りのびんたを有紀に振るうが、有紀は、ぎりぎりのところでよける。びんたの空振りで体勢を崩した彩花の脇へ突進した有紀は、彩花のバッグをとった。
 そして、彩花の胴体を腕で絞め上げる。
彩花「苦しいだろ。放せよ」
 彩花は、有紀の腕や脇腹にパンチを入れ、さらには、爪を立てて有紀の腕を攻撃する。さらに、かかとでまた有紀の足の甲を踏みつけていく。
有紀「ありとあらゆる悪あがきをするのね」
 有紀は、そのまま彩花の体を持ち上げて、踏みつけをできないようにする。それでも、彩花は、足のかかとで、有紀のふくらはぎや脛を蹴っていく。
 有紀は、彩花を降ろすや、彩花の両太ももの横側に次々と膝を入れていく。
有紀「あなたがうちの子にした仕打ちのお返しよ。しっかりと味わいなさい」
彩花「やめろよ」
 彩花は、太ももが次第に赤くなり、しびれで力が入らなくなっていく。そして、ついに彩花の足から力が抜けひざまずいた。
 有紀は、彩花の髪の毛をつかんであお向けに引き倒すと、右腕を取り、さらに足で頭の上から首をとらえて四の字固めをした。
有紀「柔な太ももで絞められる感触はいかが?」
彩花「くそぅ……」
有紀「さすがの減らず口も、もう終わりみたいね」
 有紀は、彩花の右腕を持ったまま体を後ろに倒す。彩花は、力を振り絞って左腕で有紀の太ももにパンチを入れ、足でブリッジを作り体を横に回転させる。しかし、有紀は、さらに足に力を入れて再び体を反転させて仰向けにさせた。
 彩花は、手を挟み込んで圧力を緩めようとするが、有紀の太ももとふくらはぎできっちり決まっているだけに容易でない。
 そうしているうちに、彩花の腕の力が抜け始めた。もう限界が近いのだ。
 彩花は、苦しさと悔しさに耐える。人生で初めてけんかに負ける。しかも、バスケットボールの最大のライバルに……。
 彩花の口が開いた。しかし、声が出ない。
有紀「ギブアップなのね。タップしなさい」
 彩花は、有紀を睨みつけたが、その目にもう力はない。ほどなく、彩花は、左手で有紀の太ももを数回たたいてタップした。

 有紀は、足を徐々に緩め、彩花がもう抵抗する力が残ってないことを確認して立ち上がった。勝負がついて冷静になると、全身の痛みがこみ上げてくる。
 彩花は、天井を見上げて倒れたまま息が荒く、動けない。有紀は、右足の裏を彩花の頬に乗せ、3回力を入れた。そして、左足を乗せて1回力を入れた。
有紀「バスケのときのお返しよ」
彩花「卑怯者……」
 彩花は、勝負がついてから仕返しをされる屈辱に悔し涙が溢れる。
有紀「でも、私が今まで戦った中で、あなたが一番強かったわ。お世辞じゃないわよ。まあ、私とは何度やっても勝てないけどね」
彩花「もう1回…、もう1回やったら負けないわ」
有紀「来月の同じ日、バスケットで正々堂々と戦いましょ。待ってるわ」

 有紀は、倒れている彩花を後ろにして、自らの下着とユニフォームを身に着ける。勝負の余韻で蒸し暑く、汗を服が吸い取る。
 有紀が去っていくのを眺めながら、彩花は、人生初の屈辱に再び悔し涙が溢れた。
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