黒ウサギ世界を廻る異世界奇譚 ~食いしん坊ウサギと世話焼き狼の絆は深い~

鴻霧

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お尋ね者死神編

54話 厄災と死神

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「あぶねぇな! 人が話してる時に攻撃するなって教わらなかったのか?」

「生憎 そんなことを教える奴はいなかった」

「そうかよ」
ジャッカルをかまえる

「貴様もワタシに銃口を向けるなと教わらなかったか」

「そんなもん教わっていねぇなぁ!」

「教養が無いようだな 実に頭が悪い ワタシに歯向かったことを自らの死で後悔するだろう」
厄災が人差し指を立てると黒いイナズマが発生する
黒いイナズマは地面に腐食の模様を刻みながらディーに近づいてくる

「はっ!当たらねぇよ」
黒いイナズマを避けながら厄災をジャッカルで何発も撃ち込むが黒いイナズマで腐食させられてしまう

「そんなものか 実に単調だ」
手を魔方陣にかざすと厄災と同じ姿をした鬼人が次々に現れる

「行け」

「ちっ 同じ顔がぞろぞろと うざってぇな」

ディーに分身を向かわせた厄災はレゼに近づき首を掴もうとする
レゼは体勢を低くしてかわし後ろに飛ぶ
「逃げられたか 実に煩わしい」

バックステップで避けた後すかさず影鎌を振り下ろすが黒いイナズマで弾かれる

「ほう これに触れて腐食しないか 実に面妖な・・・」
辺りを見回す
「それより鬼巫女をどこにやった」

「とび丸ならこの中」
足元の影を指差す

「影の中だと それが貴様の力か ふははは!!実に面白い」

「なに、俺を無視してレゼにちょっかいだしてんだぁ?」
分身を全て倒したディーが駆け付け、銃弾を撃ち込む

「ふははは!!全て倒したか 久しぶりに手応えのある者に会えて 実に喜ばしい」
厄災は指を鳴らし黒いイナズマを絶えず周囲に放つ
壁に天井 床が腐食していく
「これが厄災の鬼人の本当の能力っすね 腐食とは実に恐ろしいっす」

「実にが移ってるぞ」

「無意識だったっす」

近づいてきた黒いイナズマをかわし厄災の横っ腹を蹴り飛ばす
厄災は飛ばされ柱にぶつかる
「ふははは!! 痛みか 長らく忘れていた 実に痛快」

「強がってんじゃねぇよ」

ジャッカルの弾を魔弾にして厄災の背中に撃ち込む
「これなら腐食しねぇだろ」

「鬼の力を弾丸にしたか 実に滑稽だな 腐食はしなくても当たらなければ意味がないだろう」
黒いイナズマで弾く

「ちっ あいつに死角はねぇのかよ」
常に放出される黒いイナズマをかわすため走り回る

「ふははは!!もっとワタシを楽しませろ 実に愉快だ」

2人で挟み込む様に移動し影鎌を厄災に向けて投擲する
影鎌を黒いイナズマで弾く為にレゼの方向に黒いイナズマを集中させる
黒いイナズマが消えた箇所を狙って距離を詰める
厄災がディーに気付き反撃しようとした所をコピーした叫の鬼の力で拘束する

「じゃあな」
にやりと笑い厄災の胸にジャッカルを突き立て撃つ

心臓が破壊され、厄災は体から力が抜ける
目や胸の穴からは黒い液体が流れ出す
「また 封印の眠りに就くのか 実に・・・名残惜しい」
厄災の体はそのままズブズブと溶け始め魔法陣の中に消えて行った

「実に 実にって最後まで変な奴だったな」

「んっ」
とび丸を影から出し隅に寝かせる

厄災が消えるのと同時に魔方陣の禍々しい気が消える
消えた後には人の頭よりは大きいゲルの塊が残っていた
レゼ達に気付くとスライムの様に体を跳ねさせながら逃げる
「特殊な個体かと思ったら力が弱まっていただけみたいっすね 自我が残っていたのもそのためっす」

「そうかよ」
ジャッカルで逃げる荒魂を狙い撃つ、弾は体の半分を吹き飛ばし露になった欠片をレゼが死神の鎌で砕く
荒魂は消え、欠片は徐々に光になって消えいつものようにランタンに記憶が集まり始める

「お疲れ・・・っす やり・・・次は・・・」

「おい ちゃんと声が聞こえねぇぞ」

「そん・・ことは・・・な・・・レ・・・どう・・・」

「リーデル?」

「・・・様・・・さん達は・・・良くやっ・・・っす やめ・・・・・・・・・・・・」
誰かと会話しているようだが揉めたような音がしたかと思うと静かになった

「完全に聞こえなくなったな 何かトラブルか?」

「分からない でも荒魂倒したからヘルヘブンズに戻って直接聞けばいい」

「それもそうだな」
記憶が集まると暗闇に覆い被されたように辺りが真っ暗になった
「暗いな いつもは光に包まれるはずだが・・・リーデルには繋がらねぇし どうなってんだ?」
幻魔石の付いた腕を振り回す

「落ち着いて そんなことしても良くならない」

「そうは言ってもよぉ 何もせずにじっとしてるのは性に合わねぇんだよ こうも暗いと上も下も分からねぇしな」
仰向けに倒れる
手探りでディーに近づきその頭を撫でる
「なでなで」

「何してんだ?」

「落ち着くかなと思って あと気持ちいいから」

「おぉ そうか・・・」
ディーの顔が赤くなる、赤い顔をレゼに見られずに済んで暗闇も悪くねぇな
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