黒ウサギ世界を廻る異世界奇譚 ~食いしん坊ウサギと世話焼き狼の絆は深い~

鴻霧

文字の大きさ
56 / 67
終末の死神編

55話 夕暮れの出会い

しおりを挟む
暫くたっても辺りは暗闇のままだ
レゼ達は夜目が利くが今だに何も見えない

「むぅ」

「ここにいてもしょうがねぇ歩いてみるか」
起き上がる

「うん」

暗闇を踠きながら進んで行くと茜色の光が見えてきた
「出口か?」

光に近づくとそこは夕暮れの公園だった
暗闇から公園の土を踏みしめる
振り返るともう暗闇は消えていた

「ヘルヘブンズ?じゃないみたい」
空には全体を覆う程の大きさをした時計が溶け込むようにうっすらと見え、鎖が何本も伸びていた

「リーデル リーデル 聞こえるか?」

「・・・・・・」

「ちっ! だめみてぇだな」

ブランコに座り揺れる
「むぅ 次の世界に来たのかな」

「多分そうだろう 神の世界って感じはしねぇしな それにリーデルがいねぇと荒魂の場所も世界の情報も何も分からねぇな」

「むぅ 思った以上に深刻」

バチバチバチ
「なんだ?」
何もない空間に雷を帯びた黒い渦が広がるとそこから怪物が這い出そうとしていた

化物が姿を現す度に空間が歪む
「何か悪そうな奴が出てこようとしてんな 追い返した方がいいのか?・・・リーデルがいねぇと何も分からねぇな!」

「むぅ とりあえず追い返す」

「おう」
雷を帯びた渦に向かってジャッカルを撃つと怪物は渦の中に戻って行き、渦は収束して消えた

「あっけねぇな」

レゼ達の居る公園から少し離れた屋根の上
銀髪の少女が1人走っていた

「今、ポイントに着きますわ 公園内に2名の異外の者を確認、接触します」

レゼ達の頭上から1人の少女が降りてきた
「私は蒼黒の管理者の一人シャロン・ローゲンシュタインですわ、貴方達異外の者ですわよね登録証はお持ちかしら?」

「登録証って何?」

「登録証を知らない!? 登録証は異界にいる異外の者には必ず発行されるものですわよ それを持っていないとなると貴方達やっぱり不正にゲートを使って侵入しましたのね
未登録のゲート反応があり来てみて正解でしたわ」
太股に下げた薙刀を引き抜く

「何が目的で来ましたの?素直に吐いて頂ければ痛い目に合わずにすみますわよ」

薙刀を振り回し攻撃を繰り出す

「言えってこの状況で説明できるかよ」

「逃げてないで本性を現したらどうなんです?」
シャロンの薙刀がディーを捕らえ肩に傷を作る
「ちっ」
レゼが戦闘中の2人の間に入る

「何の真似ですの?」

「止めて 僕たちは悪い目的があってここにいる訳じゃない」

「ならどんな目的があるのかしら?」

「それは・・・」

「言えないのでしたら同じことですわ 私、小さな子でも容赦致しませんわよ」
薙刀をレゼに振り下ろす
「レゼ!」

「ストーーーップー」
赤髪の美しい女性がシャロンの薙刀を弾きレゼをお姫様抱っこし離れた位置に下ろす

「シャロンちゃん 仕事熱心なのは感心するけどちゃんと相手の話を聞いてあげないと」

「リリスさま それは・・・そのぉ・・・反応があったから 絶対黒だと思いまして・・・」

「まったく、それにこの子は私の遠ーい親戚の子だからそれとお付きの子もね」
レゼの肩を抱き寄せたあとディーのことも引き寄せる

「迎いに来て正解だったわ」

「リリスさまの血縁の方とは知らずご無礼を! 申し訳ありませんわ」

「気にしないで 急なことでこっちの不手際があったようだしね それじゃあ私達は学園に向かうから」

「はい、お気を付けて」

「離して」
「離せ」

「あっごめんごめん でも私のおかけで助かったでしょ?
私は暁の女帝 真祖リリス・ロータス こう見えて凄い人なのよ で、アナタ達はレゼにディーでしょ話は聞いてるわ」

「ならリリスはマキナか?」

「正解」

「リリスは神さまと連絡が取れないこと何か知ってる?」

「詳しくは知らないわ ただアナタ達のことと暫くはやりとりができなくなるってことぐらいかな」

「そっか・・・」

「大丈夫、私が代わりにサポートしてあげるから まずはこの世界のことを話そうかな?」

「あぁ 頼む」

「OK 立ち話もなんだしあそこのファミレスに入りましょ」

リリスと共にガラスの自動ドアを抜け、店内に入る
「いらっしゃいませ! 空いている席にどうぞ」

「ふぁみれすってどんなところ?」
リリスの向かいの席に座る、ディーはもちろんレゼの隣だ

「ご飯を食べたりお茶をしたりする所かな」

「ご飯!」

「そうよこのメニューの中から選んで頼むと料理が運ばれてくるのよ 今日は奢ってあげるから好きに頼んで」

「ありがとう」

「注文も終わったし簡単に説明するとね この世界は深淵の魔女アビスが作った魔法『終末の書』によって365年周期でリセットされるの 歴史や生物全てが一から割り振り直され、歴史はだいたい30パターンぐらいをランダムに配置してその都度分岐するようになってるわ」

「変わった世界だな」

「まあね 世界の実験場も兼ねてるから ここ界域には異外って言う空間に住む異外の者と界域に住む人間族が存在するのだけど異外の者には危ない連中もいて、取り締まっているのが私たち蒼黒の管理者なのよ さっき会ったシャロンちゃんもそうなの、熱心な子なんだけどちょっと視野が狭くてね・・・悪い子じゃないから嫌わないであげてね」

「うん」

話しているとクマの形をしたロボットが料理を運んできた
「注文の料理デス お取りくだサイ」

「料理が来たから話は食べ終わってからでいいかしら?」

「おぅ いいぜ」
「うん」

「ありがとうございマス」
全ての料理がテーブルに並ぶとクマロボットは去っていった
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした

☆ほしい
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。 日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。 フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ! フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。 美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。 しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。 最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

O.T.I
ファンタジー
レティシア=モーリスは転生者である。 しかし、前世の鉄道オタク(乗り鉄)の記憶を持っているのに、この世界には鉄道が無いと絶望していた。 …無いんだったら私が作る! そう決意する彼女は如何にして異世界に鉄道を普及させるのか、その半生を綴る。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...