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一章:出会い
9.夜明け前の厩舎
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厩舎の扉を開けたら、仮眠室にランプの明かりがついていて、そこから扉の空いた音に気付いたダミアン兄ちゃんが顔を出す。
「ジャン?まだ夜明け前だぞ?」
「目が覚めたから見に来ちゃった」
「ふーん?」
僕の言葉にダミアン兄ちゃんは首を傾げる。ダミアン兄ちゃんはこの牧場の跡継ぎだけど、馬が好きというか、仕事だから働いているっていうだけで、休める時間を潰してまで馬の様子を見に来る僕が理解できないんだろうなぁと思う。
「まあ、いいや。あんまり騒ぐなよ」
「うん」
僕が頷けば、ダミアン兄ちゃんは仮眠室の中に戻っていく。チラリと覗き込めば、仮眠用のベッドで寝ている姿が見えた。
あまり煩くしたら怒られそうなので、静かに厩舎の通路を歩き、一つ一つの馬房を覗き込んでいく。
出産を終えたばかりの牝馬は、お母さんになったからか警戒心の強い子も多い。怒られない範囲で様子を見つつ、母子ともに健康そうな姿を見て安心する。
今春、今のところ死産した子はいないけど、無事に生まれたとしても子馬が死んでしまう事もあるし、母馬産後の肥立ちが悪く死んでしまう事もある。
馬達は、領主様のものだから死んだら怒られるから最新の注意を払って世話をするけど、それでも死んでしまう子は死んでしまうのだ。
だから、無事な馬達を見て安心しながら、今度は隣の厩舎の馬達の様子を見るべくそっちへと移動する。
隣の厩舎には、叔父さんがいるはずだけど、扉を開けても仮眠室から顔を出す事もなく、仮眠室を覗き込めばベッドの上でいびきをかいて寝ている叔父さんがいた。
その事に不安になりながら、馬房を覗き込んでいき、一つの馬房でお産の始まっている馬がいた。
「っ!?」
既に足が出てきて、破水から少し時間が経っている様子が見える。今の僕では、正確な状態はわからないけど、すぐに叔父さんを起こして、父さんも呼んできた方がいいと思った。
厩舎の通路を走って、仮眠室に駆け込む。
「叔父さん!出産始まってる子がいるよ!」
「んぁ……!?な、ぁ……じゃん、か?」
「起きて!僕、父さん呼んでくるから!」
いびきをかいていた叔父さんを起こしてから、家に向かう。流石にまだ薄暗い中を走るのは怖かったけど、時間が惜しかったから家までの道を駆け抜けた。
「父さん!出産始まってる子がいる!もう足出てた!」
「なに!?どっちの厩舎だ!」
玄関の扉を開けて、リビングにいる父さんに叫べば、父さんが椅子から立ち上がる。
「叔父さんのところ!」
「あのバカが!寝てたんだな!」
叔父さんの所だと正直に答えれば、父さんが怒りを滲ませながら、僕の横まで歩いてきた。
「行くぞジャン」
「うん」
厩舎に向かう僕達を心配そうに見送る母さんの視線を受けながら、父さんと一緒に厩舎へと向かう。
「ダミアンには伝えたか?」
「ううん、まだ」
「あいつも呼んできてくれ」
「はーい」
厩舎に向かいながら父さんにそう言われ、ダミアン兄ちゃんのいる厩舎の前で一度別れた。
「ダミアン兄ちゃん!叔父さんのとこの厩舎でお産始まったから来てって!」
「あー、そっちで始まったのか。わかった行く」
僕の声に仮眠室から出てきたダミアン兄ちゃんと一緒に隣の厩舎へ向かえば、父さんと叔父さんが出産の始まっている馬房の前に立っていた。
「ジャン?まだ夜明け前だぞ?」
「目が覚めたから見に来ちゃった」
「ふーん?」
僕の言葉にダミアン兄ちゃんは首を傾げる。ダミアン兄ちゃんはこの牧場の跡継ぎだけど、馬が好きというか、仕事だから働いているっていうだけで、休める時間を潰してまで馬の様子を見に来る僕が理解できないんだろうなぁと思う。
「まあ、いいや。あんまり騒ぐなよ」
「うん」
僕が頷けば、ダミアン兄ちゃんは仮眠室の中に戻っていく。チラリと覗き込めば、仮眠用のベッドで寝ている姿が見えた。
あまり煩くしたら怒られそうなので、静かに厩舎の通路を歩き、一つ一つの馬房を覗き込んでいく。
出産を終えたばかりの牝馬は、お母さんになったからか警戒心の強い子も多い。怒られない範囲で様子を見つつ、母子ともに健康そうな姿を見て安心する。
今春、今のところ死産した子はいないけど、無事に生まれたとしても子馬が死んでしまう事もあるし、母馬産後の肥立ちが悪く死んでしまう事もある。
馬達は、領主様のものだから死んだら怒られるから最新の注意を払って世話をするけど、それでも死んでしまう子は死んでしまうのだ。
だから、無事な馬達を見て安心しながら、今度は隣の厩舎の馬達の様子を見るべくそっちへと移動する。
隣の厩舎には、叔父さんがいるはずだけど、扉を開けても仮眠室から顔を出す事もなく、仮眠室を覗き込めばベッドの上でいびきをかいて寝ている叔父さんがいた。
その事に不安になりながら、馬房を覗き込んでいき、一つの馬房でお産の始まっている馬がいた。
「っ!?」
既に足が出てきて、破水から少し時間が経っている様子が見える。今の僕では、正確な状態はわからないけど、すぐに叔父さんを起こして、父さんも呼んできた方がいいと思った。
厩舎の通路を走って、仮眠室に駆け込む。
「叔父さん!出産始まってる子がいるよ!」
「んぁ……!?な、ぁ……じゃん、か?」
「起きて!僕、父さん呼んでくるから!」
いびきをかいていた叔父さんを起こしてから、家に向かう。流石にまだ薄暗い中を走るのは怖かったけど、時間が惜しかったから家までの道を駆け抜けた。
「父さん!出産始まってる子がいる!もう足出てた!」
「なに!?どっちの厩舎だ!」
玄関の扉を開けて、リビングにいる父さんに叫べば、父さんが椅子から立ち上がる。
「叔父さんのところ!」
「あのバカが!寝てたんだな!」
叔父さんの所だと正直に答えれば、父さんが怒りを滲ませながら、僕の横まで歩いてきた。
「行くぞジャン」
「うん」
厩舎に向かう僕達を心配そうに見送る母さんの視線を受けながら、父さんと一緒に厩舎へと向かう。
「ダミアンには伝えたか?」
「ううん、まだ」
「あいつも呼んできてくれ」
「はーい」
厩舎に向かいながら父さんにそう言われ、ダミアン兄ちゃんのいる厩舎の前で一度別れた。
「ダミアン兄ちゃん!叔父さんのとこの厩舎でお産始まったから来てって!」
「あー、そっちで始まったのか。わかった行く」
僕の声に仮眠室から出てきたダミアン兄ちゃんと一緒に隣の厩舎へ向かえば、父さんと叔父さんが出産の始まっている馬房の前に立っていた。
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