18 / 22
二章 《カーラヤー》暮らし二日目。
整理。
しおりを挟む
色々詰め込まれた農具倉庫をあさる。物が多いから探すのに苦戦したけど新しい軍手と鎌を手に入れた。
鎌は、使い込まれており、少し錆が浮いているけど刃の部分は、鋭く研がれ鈍い銀色の光を放っている。
「……鎌使うの初めてだな」
ちょっと不安だけど、気をつけて使えば大丈夫だろう。
……とりあえず家の正面からやるか。
軍手を着け、鎌と草を入れるカゴを手に持って庭に戻る。
「強敵だなこれは……」
目の前には黒木の植えられた花壇。石垣に沿って作られたそれは、あっちこっちに雑草が生え、所々むき出しの土が覗いていた。
「意外と抜ける……」
花壇だからか土が柔らかくて、鎌が必要ないくらいにすぽすぽ抜ける。
ちょっと硬いのもあるけど、力を込めればなんとか抜けた。雑草が人に敵うわけないのだ。
すっぽすっぽと抜いていき、カゴが草で埋まっていく。
カゴがいっぱいになったら裏庭の一角に集め、また草をむしって……花壇を終わらせたところで母屋からあかりーが縁側に出てくる。
「ヒカルーにーにー、しまってたもの出して分別したから確認だけおねがーい」
「ん、わかった」
額に浮かんだ汗を拭い、家にあがる。
「とりあえずこんな感じなんだけど……どんな感じでしまおうか」
二番座の畳に並べられたのは、使ってない皿や花瓶、ザルやカゴの他に古いアルバムや結婚式の引き出物などだ。
引き出物は、昔一番座の床の間に飾られていた気がするけど、おばぁがなくなった頃に片づけられていた気がする。
「これ……母さん達のか」
アルバムや引き出物に写っているのは、母さん達兄弟。
幼い母さん達を見るのは、新鮮な気分だ。母さんの昔の写真は、結婚式くらいの時ものしか見たことがなかったしな。
「だねー。……これの写真のお皿って昔飾ってあったやつだよね? 」
「そうそう、結婚式の引き出物だよ」
「へー……でも、父さんと馨おばさんのは、ないねー?」
「母さんも正徳おじさんも結婚遅めだったから流行りじゃなかったんじゃないかなー」
県外に嫁いだおばさん達は、結婚が早かったから流行りだったんだろう。
今も残っていると思うけど、どうなんだろうか。
「ふーん? でも、飾ってたって事は、おばぁは、大事にしてたんだねー」
「まあ、遠くに嫁いだ子供だしなー」
簡単に会う事のできないところにいる娘達。思い出に浸るには、ちょうどいいものなのかもしれない。
「でも、引き出物ってことには、うちにもあるってこと?」
「あるんじゃないかなー……使いにくいからしまいっぱなしなんだと思う」
「確かに……」
二人して神妙な表情をしながら、引き出物を見る。
「また飾る?」
「……飾らないかなぁ」
「だよねぇ」
仲が悪い訳じゃないんだけど、だからと言って飾るかと言われたら飾らない。写真は、ご先祖様の写真だけで十分だ。
「じゃあ、これはそのまましまってもらって……ザルとカゴは、使うかもしれないから取りやすいところに。花瓶は……落としたら危ないし、下に置こっか」
あかりーに指示を出しながら、一緒に片づけていく。
「アルバムはー?」
「あー……何冊か仏壇にでも置こうか。しまいっぱなしよりは、おばぁ達も喜ぶだろうし」
「はーい」
引き出物は、飾りづらいけど、アルバム置くくらいなら置いといてもいいだろう。
あかりーにアルバムを仏壇の引き戸の内にしまってもらいながら引き出物の入った段ボールを持ち上げたのだった。
鎌は、使い込まれており、少し錆が浮いているけど刃の部分は、鋭く研がれ鈍い銀色の光を放っている。
「……鎌使うの初めてだな」
ちょっと不安だけど、気をつけて使えば大丈夫だろう。
……とりあえず家の正面からやるか。
軍手を着け、鎌と草を入れるカゴを手に持って庭に戻る。
「強敵だなこれは……」
目の前には黒木の植えられた花壇。石垣に沿って作られたそれは、あっちこっちに雑草が生え、所々むき出しの土が覗いていた。
「意外と抜ける……」
花壇だからか土が柔らかくて、鎌が必要ないくらいにすぽすぽ抜ける。
ちょっと硬いのもあるけど、力を込めればなんとか抜けた。雑草が人に敵うわけないのだ。
すっぽすっぽと抜いていき、カゴが草で埋まっていく。
カゴがいっぱいになったら裏庭の一角に集め、また草をむしって……花壇を終わらせたところで母屋からあかりーが縁側に出てくる。
「ヒカルーにーにー、しまってたもの出して分別したから確認だけおねがーい」
「ん、わかった」
額に浮かんだ汗を拭い、家にあがる。
「とりあえずこんな感じなんだけど……どんな感じでしまおうか」
二番座の畳に並べられたのは、使ってない皿や花瓶、ザルやカゴの他に古いアルバムや結婚式の引き出物などだ。
引き出物は、昔一番座の床の間に飾られていた気がするけど、おばぁがなくなった頃に片づけられていた気がする。
「これ……母さん達のか」
アルバムや引き出物に写っているのは、母さん達兄弟。
幼い母さん達を見るのは、新鮮な気分だ。母さんの昔の写真は、結婚式くらいの時ものしか見たことがなかったしな。
「だねー。……これの写真のお皿って昔飾ってあったやつだよね? 」
「そうそう、結婚式の引き出物だよ」
「へー……でも、父さんと馨おばさんのは、ないねー?」
「母さんも正徳おじさんも結婚遅めだったから流行りじゃなかったんじゃないかなー」
県外に嫁いだおばさん達は、結婚が早かったから流行りだったんだろう。
今も残っていると思うけど、どうなんだろうか。
「ふーん? でも、飾ってたって事は、おばぁは、大事にしてたんだねー」
「まあ、遠くに嫁いだ子供だしなー」
簡単に会う事のできないところにいる娘達。思い出に浸るには、ちょうどいいものなのかもしれない。
「でも、引き出物ってことには、うちにもあるってこと?」
「あるんじゃないかなー……使いにくいからしまいっぱなしなんだと思う」
「確かに……」
二人して神妙な表情をしながら、引き出物を見る。
「また飾る?」
「……飾らないかなぁ」
「だよねぇ」
仲が悪い訳じゃないんだけど、だからと言って飾るかと言われたら飾らない。写真は、ご先祖様の写真だけで十分だ。
「じゃあ、これはそのまましまってもらって……ザルとカゴは、使うかもしれないから取りやすいところに。花瓶は……落としたら危ないし、下に置こっか」
あかりーに指示を出しながら、一緒に片づけていく。
「アルバムはー?」
「あー……何冊か仏壇にでも置こうか。しまいっぱなしよりは、おばぁ達も喜ぶだろうし」
「はーい」
引き出物は、飾りづらいけど、アルバム置くくらいなら置いといてもいいだろう。
あかりーにアルバムを仏壇の引き戸の内にしまってもらいながら引き出物の入った段ボールを持ち上げたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない
葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3)
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー)
ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。
神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。
そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。
ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。
早く穏やかに暮らしたい。
俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。
【毎日18:00更新】
※表紙画像はAIを使用しています
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる