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お気に入り登録100人達成記念 「招待状」11終わり
次の日、おれはお腹が空いて起きた。目が覚めると無意識に、おれの手足が京利を探す。まあそうはいっても、いつもぴったりと抱きしめられて眠っているわけで、探すことはあまりない。
ところが、今日は京利に手足をばたばたしても触れない。なんで?!目を開けて、周りを見回す。
「凛、おはよう」
居た!
神々しく輝いた京利の笑顔が眩しい。
「京利、おはよう」
京利は、食事の準備をしていたようだ。時計を見るともうすぐお昼だ…。寝すぎてしまったようだ。
「凛、気にしなくて良い。昨夜は無理をさせたからな。ゆっくり眠ることができている凛を見て、安心していた。それより、腹が減ったんじゃないか?準備をしたから、たくさん食べようか」
ベッドに近付いてきた京利は、おれをひょいっと抱える。
「可愛いお寝坊さん、先にトイレかな」
こめかみにちゅっちゅってされながら、鼻歌交じりの京利にお手洗いに連れていかれる。おれ氏、服はちゃんと着せてもらっていたけど、便座に座らされて自然にスボンをおろそうとする京利の手を、寸前のところで止めることができた。良かった。何か重大な尊厳を失うところだった気がする。
おれは、にっこりと京利に笑いかけて、
「京利、おれ大丈夫だから、ご飯の準備の続きをお願いしてもいい?おれ、フルーツジュース飲みたいな」
「そうか、わかった。美味そうなフルーツを選んで絞るか…。任せろ凛。何かあったら呼んでくれ」
今度は、頭のてっぺんにちゅってされて、やっと出ていってくれた。こんなとき、『恥ずかしい』という理由では、絶対に出ていってくれたことがないことを、おれは経験としてわかっていた。ふぅ。
とはいえ、さすがに身体がだるい。お風呂はちゃんと入れてくれたんだろう。すっきりしているし、気持ち悪いところが一切無い。
おれは、完全に意識を無くしていたんだな。
昨夜の京利は、すごかった。強引な京利に、どきどきして、心臓が何度もぎゅっとした。眼光鋭い京利をついつい思い出しては、顔に熱が集まる。
と、とにかく、おれのお世話をしているときの京利は、ご機嫌だから、ここは素直に甘えておくのが正解だろう。
お手洗いを済ませて戻ると、テーブルの上がパラダイスになっていた。何枚も重ねられたほかほかほわほわの分厚いパンケーキをメインに、それにかける甘い蜂蜜や、メイプルシロップに生クリームやなんかが、所狭しと色とりどりのフルーツとともに並べられていた。
「うっわぁあ!美味しそうっ!」
にこにこ微笑んだ京利は、
「そしてこれが、特製ミックスフルーツジュースだ」
「「いただきます!」」
まずは、ジュースを一口。うっうっ、うまい!!
「京利これ!うますぎる!めっちゃすき!また作ってね」
「ああ」
せっかく、顔を崩さないようにしていた京利の顔が見事にでれでれと崩れた。とても嬉しそうだ。
「ひゃ!このパンケーキ、やばい!ほわほわだ!
美味しい!!!」
「たくさん食べてくれ」
お腹いっばいになってしまったおれは、動けなくて食休みとばかりにソファに座る。そんなおれを見て、京利はピアノの前に座り、軽やかに弾き始めた。
えっまた弾いてくれるの?!嬉しい。
おれはにこにこしながらも、京利の演奏に聞き惚れた。
「只今、戻りました」
「おかえりなさい!おとーさんおかーたん」
おれ達の可愛い凛真が、お出迎えをしてくれる。
「凛真!さいっこうのプレゼントだったよ。
ありがとう!」
おれと京利は、ぎゅうっと凛真を抱きしめた。
凛真は、嬉しそうに笑う。
「きょうは、おとーさんおかーたんと、
いっちょにねんねしてあげるね」
「それは嬉しいな。ねぇ京利」
「そうだな。ありがとう凛真」
ありがとう、凛真。
健やかに、元気に、大きくなあれ。
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