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森での演習編
若者たちの成長
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タワーディフェンスという言葉がある。
ダンジョンを守る為の経験から特化した物で名前の通り、主に塔のような施設の防衛に使われる戦術の考察である。塔型はダンジョニアにあるダンジョンの中でも得意な部類で、その特性をここでは説明しないが、タワーディフェンスと独自に語られるほどに重要な点が一つあった。
それは迷宮構造をしていない為、基本的に同じルートを必ず通る。
同じ局面の防御を何度も繰り返すという意味では、迷宮型のダンジョンよりもその研究頻度と熟練頻度が段違いという点にあった。何が言いたいかと言うと、同じシチュエーションを何度も研究し、熟練して行くというのは人や部隊を鍛え易いということだ。
「向こう側の経験が活かされているようだな」
「……散々失敗しましたからね。以前は実例も見ていたのに、こんなことも思いつかなかったほどです」
三回目の探索を終え感想戦を終えた。
その上でツッコミどころのある所を一通り説明し、ダンジョンの向こう側で改めて探索を行ったのだ。まっさらで無警戒な状態であり、リシャールは三度の経験を経ている。これで成功するなと言う方が嘘であろう。
見て来た地形の地図を地面に描きながらリシャールは苦笑する。
そう、俺はダンジョンとその周囲の構造と、どういう風に探索するのかということを何度も地面に描いて説明してきた。それなのにリシャールは感想戦でツッコミを入れるまで、自分が斥候として見て来た地形の説明のみで終わらせていたのだ。森のデータを他人に渡したくないなら、地形の説明もせずに『ついて来い』というべきなので、中途半端だったと言える。
「これがゴブリンが居る場所になります。真っ直ぐ進むと此処に出るんですが……」
「なるほど。クロスボウを撃つのに起伏が邪魔っすね。ということはこっちに回るか、それとも短刀で済ませるかどうかっすねえ。短刀は前回試したので、クロスボウの新しい撃ち方を試しても良いっすか?」
相談して作戦を組むことで、フィリッパの意識も変わった。
最初は森の中ではお客様で、リシャールに戦力を貸してやる代わりに自分も実戦データを取るレベルだった。だが相談することで自分の意見を通し、ただのデータではなく、自分にとっても有意義なデータを収集するようになったのだ。その過程で変更することは一つずつに留め、検証するようになったのは良い事だと言えよう。
別にそのこと自体は大した成長ではないのだ。
だが、ダンジョンマスターとして大成するには流されるだけではなく、自分だけの方向性があった方が良い。もちろん他人と似たような事でも良いが、流されて流行りの事をするのではなく、自分のこだわりを重要視すべきと言う事だ。それはダンジョンマスターにならず研究者として進む場合でも同じだろう。
「ではルートの修正を考える必要がありますね。ちなみにどのような方法で?」
「この辺りの……可能な限り高い場所から撃ち降ろすっすよ。これなら二回は撃てるっす」
三回目と本日の昼頃までに色々試した。
ホムンクルス全員が短刀を投げる場合、敵が突撃して来たら割りと良い成果が出る。しかし向かって来ないで逃げる場合は何の役にも立たないのだ。対してクロスボウは当たる場所によっては一気に倒せる上、逃げる場合にも一回は撃てる。腕力を強化したホムンクルスゆえに、人間が撃つよりも装填が早いのが効いているのだろう。
「それなら盾役は少し屈んではいかがでしょう? 射撃の邪魔になりませんし、相手は油断するかもしれません」
「ああ、それは良いっすね。その態勢なら全員に撃たせられるかも」
なお、森でホムンクルスは隠れることができない。
そこで短刀なり代用で他の装備を考えるよりも、クロスボウを何度か撃つという方が建設的だという事になったのだ。以降、フィリッパはどうやったら撃てるかを、リシャールはその状態で相手に逃げられないかを考えるようになっていた。
そこまで話し合った所で、リシャールは改めて俺の方を見上げた。
「運が良ければ全滅させてしまうかもしれません。一体くらいは逃がした方がいいですか?」
「その判断ができるなら問題ない。お前の気が晴れると思っておけ」
「はい! ではフィリッパさんが事前の指示を終えたら出発しましょう」
最初はどうやってゴブリンを倒すか、なんで倒せないと焦っていた。
それが上手くいきそうになったところで、『ゴブリンを怯えさせておく』ということを思い出して心配できるようになったものだ。昼までスムーズにいったことで、自信と言うか、最低限このくらいは行けそうだとの目安が付いたのだろう。ならばここは背中を押しておく方が良い。
なんというか下手に手加減をして失敗したり、逆襲されて大怪我されても困るからな。
「では攻撃しましょう。矢は赤い方を先に使います」
「了解っす。盾持ちは一発だけ、後ろはそのまま撃ち続けるっすよ」
他の改良点として矢の色で指示を変えることになった。
赤い矢は一番最初にやった『狙った相手を撃ち続ける』タイプで、リシャールはリーダーらしき個体を識別した時に使用する。もう一発青い矢というのがあって、そちらは二回目の『目印の周囲に撃ち続ける』タイプだ。この二種類を使いこなすことで、指揮官が精している敵には前者を、そうではない相手には後者を使って混乱させることを考慮できるようになったわけだ。
ホムンクルスは状況を判断できるほどに賢いわけではないが、覚えられる範囲の事は冷静に行う事が出来る。教えている方が混乱して全部忘れさせて最初から……と言う事もあったが、この撃ち訳だけは考案してからずっと続けている。その内にフォーメーションとか地形の利用まで洗練できれば、まさしくタワーディフェンス並に考察できるようになるだろう。
「……当たった! 混乱してる! 矢を変えます!」
「了解っす。盾持ちはそのまま待機、後ろはそのまま撃ち続けるっすよ」
二人は事前の相談通りであるが、そのまま復唱し続けた。
今がどんな状況か、作戦を変えるかを判り易くするためである。こう言っては何だが最初は『このくらい当然相手も判ってくれるはず』と思ってやって居たのだが、僅か数日の付き合いの中で、『他人は所詮他人で言わなきゃわからない』という事を覚えてくれたようだ。なんというか頭の良い奴ほどこういう原則を無視するので凄い助かる気付きである。
「流石に全滅は想定が甘過ぎだったようです。生意気な事を言ってすみません」
「いや、十分だ。結果的にはこの方が作戦通りだしな。しかし、良い結果だし、全体の工程を修正しようか。お前さんらが同じように続けたいなら別だがな」
やがて何度か射撃を繰り返したが、敵が逃げ出して終わった。
リーダーがさっさと死んだことで逃げ越しになったのが大きいだろう。かといってゴブリンは劣勢に成ったら直ぐに逃げるので、手加減したら良かったかというと微妙ではある。
ただ、成果としては四日目の終盤の段階で悪くない所まで来た。この後で同じことを繰り返しても良いが、少しアレンジするとしようか。
「明日は見つかっても良いから一気に行く。その上で地図を描いて残すことを重視する。もちろんその地図はリシャールに預ける、他所者に見せるかはお前が決めろ」
「はい! 少なくともフィリッパさんが研究する時は許可を出すつもりです!」
「それはありがたいっすねえ。どんな作戦を建てたら良いか参考になるっす」
こうして予定を速めに切り上げ、ゴブリン退治を兼ねた探索では無く、森の観測へと切り替えて今回の演習を終えたのである。
タワーディフェンスという言葉がある。
ダンジョンを守る為の経験から特化した物で名前の通り、主に塔のような施設の防衛に使われる戦術の考察である。塔型はダンジョニアにあるダンジョンの中でも得意な部類で、その特性をここでは説明しないが、タワーディフェンスと独自に語られるほどに重要な点が一つあった。
それは迷宮構造をしていない為、基本的に同じルートを必ず通る。
同じ局面の防御を何度も繰り返すという意味では、迷宮型のダンジョンよりもその研究頻度と熟練頻度が段違いという点にあった。何が言いたいかと言うと、同じシチュエーションを何度も研究し、熟練して行くというのは人や部隊を鍛え易いということだ。
「向こう側の経験が活かされているようだな」
「……散々失敗しましたからね。以前は実例も見ていたのに、こんなことも思いつかなかったほどです」
三回目の探索を終え感想戦を終えた。
その上でツッコミどころのある所を一通り説明し、ダンジョンの向こう側で改めて探索を行ったのだ。まっさらで無警戒な状態であり、リシャールは三度の経験を経ている。これで成功するなと言う方が嘘であろう。
見て来た地形の地図を地面に描きながらリシャールは苦笑する。
そう、俺はダンジョンとその周囲の構造と、どういう風に探索するのかということを何度も地面に描いて説明してきた。それなのにリシャールは感想戦でツッコミを入れるまで、自分が斥候として見て来た地形の説明のみで終わらせていたのだ。森のデータを他人に渡したくないなら、地形の説明もせずに『ついて来い』というべきなので、中途半端だったと言える。
「これがゴブリンが居る場所になります。真っ直ぐ進むと此処に出るんですが……」
「なるほど。クロスボウを撃つのに起伏が邪魔っすね。ということはこっちに回るか、それとも短刀で済ませるかどうかっすねえ。短刀は前回試したので、クロスボウの新しい撃ち方を試しても良いっすか?」
相談して作戦を組むことで、フィリッパの意識も変わった。
最初は森の中ではお客様で、リシャールに戦力を貸してやる代わりに自分も実戦データを取るレベルだった。だが相談することで自分の意見を通し、ただのデータではなく、自分にとっても有意義なデータを収集するようになったのだ。その過程で変更することは一つずつに留め、検証するようになったのは良い事だと言えよう。
別にそのこと自体は大した成長ではないのだ。
だが、ダンジョンマスターとして大成するには流されるだけではなく、自分だけの方向性があった方が良い。もちろん他人と似たような事でも良いが、流されて流行りの事をするのではなく、自分のこだわりを重要視すべきと言う事だ。それはダンジョンマスターにならず研究者として進む場合でも同じだろう。
「ではルートの修正を考える必要がありますね。ちなみにどのような方法で?」
「この辺りの……可能な限り高い場所から撃ち降ろすっすよ。これなら二回は撃てるっす」
三回目と本日の昼頃までに色々試した。
ホムンクルス全員が短刀を投げる場合、敵が突撃して来たら割りと良い成果が出る。しかし向かって来ないで逃げる場合は何の役にも立たないのだ。対してクロスボウは当たる場所によっては一気に倒せる上、逃げる場合にも一回は撃てる。腕力を強化したホムンクルスゆえに、人間が撃つよりも装填が早いのが効いているのだろう。
「それなら盾役は少し屈んではいかがでしょう? 射撃の邪魔になりませんし、相手は油断するかもしれません」
「ああ、それは良いっすね。その態勢なら全員に撃たせられるかも」
なお、森でホムンクルスは隠れることができない。
そこで短刀なり代用で他の装備を考えるよりも、クロスボウを何度か撃つという方が建設的だという事になったのだ。以降、フィリッパはどうやったら撃てるかを、リシャールはその状態で相手に逃げられないかを考えるようになっていた。
そこまで話し合った所で、リシャールは改めて俺の方を見上げた。
「運が良ければ全滅させてしまうかもしれません。一体くらいは逃がした方がいいですか?」
「その判断ができるなら問題ない。お前の気が晴れると思っておけ」
「はい! ではフィリッパさんが事前の指示を終えたら出発しましょう」
最初はどうやってゴブリンを倒すか、なんで倒せないと焦っていた。
それが上手くいきそうになったところで、『ゴブリンを怯えさせておく』ということを思い出して心配できるようになったものだ。昼までスムーズにいったことで、自信と言うか、最低限このくらいは行けそうだとの目安が付いたのだろう。ならばここは背中を押しておく方が良い。
なんというか下手に手加減をして失敗したり、逆襲されて大怪我されても困るからな。
「では攻撃しましょう。矢は赤い方を先に使います」
「了解っす。盾持ちは一発だけ、後ろはそのまま撃ち続けるっすよ」
他の改良点として矢の色で指示を変えることになった。
赤い矢は一番最初にやった『狙った相手を撃ち続ける』タイプで、リシャールはリーダーらしき個体を識別した時に使用する。もう一発青い矢というのがあって、そちらは二回目の『目印の周囲に撃ち続ける』タイプだ。この二種類を使いこなすことで、指揮官が精している敵には前者を、そうではない相手には後者を使って混乱させることを考慮できるようになったわけだ。
ホムンクルスは状況を判断できるほどに賢いわけではないが、覚えられる範囲の事は冷静に行う事が出来る。教えている方が混乱して全部忘れさせて最初から……と言う事もあったが、この撃ち訳だけは考案してからずっと続けている。その内にフォーメーションとか地形の利用まで洗練できれば、まさしくタワーディフェンス並に考察できるようになるだろう。
「……当たった! 混乱してる! 矢を変えます!」
「了解っす。盾持ちはそのまま待機、後ろはそのまま撃ち続けるっすよ」
二人は事前の相談通りであるが、そのまま復唱し続けた。
今がどんな状況か、作戦を変えるかを判り易くするためである。こう言っては何だが最初は『このくらい当然相手も判ってくれるはず』と思ってやって居たのだが、僅か数日の付き合いの中で、『他人は所詮他人で言わなきゃわからない』という事を覚えてくれたようだ。なんというか頭の良い奴ほどこういう原則を無視するので凄い助かる気付きである。
「流石に全滅は想定が甘過ぎだったようです。生意気な事を言ってすみません」
「いや、十分だ。結果的にはこの方が作戦通りだしな。しかし、良い結果だし、全体の工程を修正しようか。お前さんらが同じように続けたいなら別だがな」
やがて何度か射撃を繰り返したが、敵が逃げ出して終わった。
リーダーがさっさと死んだことで逃げ越しになったのが大きいだろう。かといってゴブリンは劣勢に成ったら直ぐに逃げるので、手加減したら良かったかというと微妙ではある。
ただ、成果としては四日目の終盤の段階で悪くない所まで来た。この後で同じことを繰り返しても良いが、少しアレンジするとしようか。
「明日は見つかっても良いから一気に行く。その上で地図を描いて残すことを重視する。もちろんその地図はリシャールに預ける、他所者に見せるかはお前が決めろ」
「はい! 少なくともフィリッパさんが研究する時は許可を出すつもりです!」
「それはありがたいっすねえ。どんな作戦を建てたら良いか参考になるっす」
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