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第二期ダンジョン経営計画
攻略理由の設定
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●
ブーの弟であるフーは強さ以上に、意外な面で役に立ってくれた。
なんと話を聞かないジャンが素直に従っているのである。どうも武人としては格上であり歴戦である事は間違いがないので、言う事を聞いて居るらしい。予定通りに森での演習を行ったのだが、驚く事しきりだった。
逆説的に言えば俺の言う事を考慮するが従わないのは、指揮官の言う事だから命令には従うが『その詳細は自分が判断する』と言う事らしい。危険になるまで普通に戦うと指示を出した場合は、どこまでが危機かは自分で判断しているということだな。
「坊主。そう勇むな。大抵の奴は斬れば死ぬ」
「そんな事は判ってる。それとガキじゃない!」
こんな風に言葉は得意じゃないので指示は正しくない。
しかし、暴れ回って無理に蹴散らすほどではない、腰を据えて戦うべきだというニュアンス自体は通じている。迫って来る敵を斬り、あるいは殴り倒してしまえばそれで済む。決して森を荒らしてまで走り回る必要はないのだ……と、俺だったら長々と説明しただろう。その上でジャンはその言葉には従わないのだ。
この辺りのやり取りが意訳だとすると、重要なのは何処だろう。
実績なんざ他所から来たフーにあるはずがない。態度と腕っぷしは感じられるが、森での演習に際して軽く戦った程度だったはずだ。やはり武功に焦っているという心情が先であり、同じ目線で諭しているというところなのだろうか? リシャールも俺やブーの言う事は素直に聞くしな。
「こんなところかな? 全滅させられない以上、下手に追い散らすと被害がかえって増える。ここからは『掴んだコツ』や『連携のタイミング』やなんかがあれば試して行ってくれ」
「そうだな。鉄は熱いうちに打てと言う」
「了解した。帰るまでにモノにしてみせる」
森での探索は演習なので必要以上に戦う事はない。
だが武人たちならば修業を兼ねているだろうし、本番の戦いに向けて連携やら技の訓練に使ってくれて良いと言う程度に話して置いた。いちいちダンジョンに追い込んで魔力を収集する為とか言うよりも、『今回は練習だから』と言う方が伝わり易い気がしたのだ。
ひとまず二人とも納得してくれたようで、ゴブリンやオーガを使って試す様な戦い方に納めてくれた。
「今日の感想戦をしたら、食い物と酒は用意するからブーやリシャールたちと合流して宴会でもしててくれ。俺もエレオノーラに報告したら合流する」
「酒は遠慮している。飯はいただこう」
「やはり同じ飯を食って腹を割るのが一番だな」
今までと違ってデータ用の感想戦ではなく、飯を食っての感想会をやる。
息を合わせ易くして、タイミングを合わせ易くする……というか、単純に仲を良くする感じだな。これまでは仕事上の付き合いで、連携して援護しようという面は少なかった。今回はそこを改めて、僅かながらでも仲良く出来るようにしておく。
これで仲間の様子を見てフォローしてくれるならばありがたいし、タイミングを合わせて速攻を掛けようと言う試みをしてくれるならば尚ありがたい。現状ではフーの雇用費用が高いのもあって、これ以上、用意できるモノがないからな。
●
報告は仕事の基本だと思う。これに加えて仲間同士の相談もかな。
本家や行政と往復する事が多くなったエレオノーラが戻って来たので、俺はこのところの報告に向かった。そろそろダンジョン攻略の許可が出るかもハッキリするだろうしな。
「お、今度はちゃんとした許可が出たんだな。おめでとう」
「あんたが用意した言い訳があったじゃない? ゴブリンが増えてるって話。その調査として行くけど、殲滅はしないと言ったら『行政の連中』は二つ返事で許可をくれたわよ」
天然のダンジョンを攻めた時、魔力収支を調べた。
上層しか管理できていないにも関わらず、結構な収入を得て行政にも上納していたのだ。いつか中層も管理するために、外から入り込んでいるゴブリンは可能な限り倒している筈なので、少しばかり多過ぎる気がしたのである。
そして俺たちは巣分けの影響と思われる集団に出くわした。
オールド・キメラの縄張りに入り込んで逃げ出し、半狂乱で俺たちとたたかうことになたのだが……。後から思えば少しばかり増え過ぎな気がしたのだ。そこで戻ってから様子見をするという理由でダンジョン内の再整理を目論んだというわけである。食用になるモンスターが増え易くなっているか、キノコの類が沢山採れているのではないかという初見も加えて。
「行政の連中はって言う事は、親族衆は良い顔をしてない訳だ」
「私があんたに騙されてるとか、今管理してるダンジョンだけではなく、うちのダンジョンも売り払う気なのかもって思ってるらしくってね。その辺もあって分家の連中は出来れば手を出して欲しくないってうるさいのよ」
前にも言っていた事を改めてエレノーラは口に出した。
その事を忘れているのか、それとも愚痴りたくなるほどに言われているのか? 俺に騙されてると言い掛かりをつけてるって事は、俺が情夫として取り入ってると思ってんのかね? 佳い女は好きだが、自分っちの資産をタコが足を食うみたいに切り売りする奴は好かんぞ。そんな事をしないからこそ口説きたくなるわけだが。
「なら次はその辺りも是正していこう。収支を良くする案……」
「だけだと駄目だな。売る時にも使えちまう」
「ここは本家だけでなく分家の連中も加えたダンジョン経営だな」
「とは言え自然にその辺の流れを出さねえと胡散臭いから、間に何かしらの理由を挟んじまおう。判り易い例としては、次の探索に使うエリアを失敗例として組み込んで見るか」
男女関係に関してはなる様にしかならんので口を挟まない。
妙な意識をされても面白くないし、隔意を抱かれるのはもっと困る。口説く時は最高の状態にして、正面から口説きたいもんだ。その上で親戚筋の連中が『表向き』は納得するような計画を立てればいい。親族というくらいだから数は居るんだろうし、その全てが本当に売り飛ばすと思っている訳でも、次期当主の地位を奪いたいわけでもないだろう。
その辺の理由を整える為、ゴブリンが増え過ぎている件を失敗例としてでっちあげることにした。
「失敗例?」
「ゴブリンを増え易くして、定期的に狩る予定だったってのはどうだ? それが他所の地方への遠征だとか、大きな災害で目減りししちまった可能性がある。そう言った問題点を修正すべく、親族衆の強化やなんかも計画に盛り込んでいく」
実際の話、増えているゴブリンだけで上層の収支は大きいのだ。
もし中層から下層を管理できる精鋭部隊が居たり、あるいは転移装置などでコントロールできると仮定しよう。それだったら普通にダンジョン経営でありがちな話だ。実際にその方法を試すとしたら、ゴブリンは増え過ぎる可能性がるからやらないけどな。
だから定期的に巡回か何かを行い、それを分家筋の連中も含めて計画に入れておくのだ。
「もし売り払うなら親族衆の強化や、巡回プランを入れるわきゃねえだろ?」
「あくまで本家を重視するのは当然だが……収益の中から魔剣なりホムンクルスを分家配備する」
「少なくとも表向きにはそれを断るわけがない。それらは各家の利になるからだ」
「この機に利益を欲してるだけの連中はそれで黙る。他家に売り払おうって連中もお前の家が力を取り戻せるなら黙る奴もいる。全員が全員そうじゃないし、中には近隣の貴族から送り込まれたスパイだって居るだろうよ。だが大部分が納得するなら収まるはずだ」
要するに親族衆も含めたお家全体の立て直し計画を用意するのだ。
分家達の利益を確保してやれば、そいつらは表向きは黙るだろう。実際には息子を婿として送り込むことで、自分達こそが本家に成り代わるって連中もいるだろうが、それらは少しずつ実績で黙らせれば良い。エレオノーラの能力への信頼性が低いからこそ、周囲が『うちの倅をぜひ婿に!』なんて横暴が通るのだ。
発言力さえあれば、後はエレオノーラの計画で済む話ということになる。
他所から婿を取ってエレオノーラ主体でやっていくのか、分家から婿を取って内側を強化するのか、あるいは行政なり大きな貴族家に婿を世話される形になるのか。それを決めるのはエレオノーラの目的と見解になるだろう。少なくともダンジョンを再攻略できれば、その芽も出てくるはずである。
ブーの弟であるフーは強さ以上に、意外な面で役に立ってくれた。
なんと話を聞かないジャンが素直に従っているのである。どうも武人としては格上であり歴戦である事は間違いがないので、言う事を聞いて居るらしい。予定通りに森での演習を行ったのだが、驚く事しきりだった。
逆説的に言えば俺の言う事を考慮するが従わないのは、指揮官の言う事だから命令には従うが『その詳細は自分が判断する』と言う事らしい。危険になるまで普通に戦うと指示を出した場合は、どこまでが危機かは自分で判断しているということだな。
「坊主。そう勇むな。大抵の奴は斬れば死ぬ」
「そんな事は判ってる。それとガキじゃない!」
こんな風に言葉は得意じゃないので指示は正しくない。
しかし、暴れ回って無理に蹴散らすほどではない、腰を据えて戦うべきだというニュアンス自体は通じている。迫って来る敵を斬り、あるいは殴り倒してしまえばそれで済む。決して森を荒らしてまで走り回る必要はないのだ……と、俺だったら長々と説明しただろう。その上でジャンはその言葉には従わないのだ。
この辺りのやり取りが意訳だとすると、重要なのは何処だろう。
実績なんざ他所から来たフーにあるはずがない。態度と腕っぷしは感じられるが、森での演習に際して軽く戦った程度だったはずだ。やはり武功に焦っているという心情が先であり、同じ目線で諭しているというところなのだろうか? リシャールも俺やブーの言う事は素直に聞くしな。
「こんなところかな? 全滅させられない以上、下手に追い散らすと被害がかえって増える。ここからは『掴んだコツ』や『連携のタイミング』やなんかがあれば試して行ってくれ」
「そうだな。鉄は熱いうちに打てと言う」
「了解した。帰るまでにモノにしてみせる」
森での探索は演習なので必要以上に戦う事はない。
だが武人たちならば修業を兼ねているだろうし、本番の戦いに向けて連携やら技の訓練に使ってくれて良いと言う程度に話して置いた。いちいちダンジョンに追い込んで魔力を収集する為とか言うよりも、『今回は練習だから』と言う方が伝わり易い気がしたのだ。
ひとまず二人とも納得してくれたようで、ゴブリンやオーガを使って試す様な戦い方に納めてくれた。
「今日の感想戦をしたら、食い物と酒は用意するからブーやリシャールたちと合流して宴会でもしててくれ。俺もエレオノーラに報告したら合流する」
「酒は遠慮している。飯はいただこう」
「やはり同じ飯を食って腹を割るのが一番だな」
今までと違ってデータ用の感想戦ではなく、飯を食っての感想会をやる。
息を合わせ易くして、タイミングを合わせ易くする……というか、単純に仲を良くする感じだな。これまでは仕事上の付き合いで、連携して援護しようという面は少なかった。今回はそこを改めて、僅かながらでも仲良く出来るようにしておく。
これで仲間の様子を見てフォローしてくれるならばありがたいし、タイミングを合わせて速攻を掛けようと言う試みをしてくれるならば尚ありがたい。現状ではフーの雇用費用が高いのもあって、これ以上、用意できるモノがないからな。
●
報告は仕事の基本だと思う。これに加えて仲間同士の相談もかな。
本家や行政と往復する事が多くなったエレオノーラが戻って来たので、俺はこのところの報告に向かった。そろそろダンジョン攻略の許可が出るかもハッキリするだろうしな。
「お、今度はちゃんとした許可が出たんだな。おめでとう」
「あんたが用意した言い訳があったじゃない? ゴブリンが増えてるって話。その調査として行くけど、殲滅はしないと言ったら『行政の連中』は二つ返事で許可をくれたわよ」
天然のダンジョンを攻めた時、魔力収支を調べた。
上層しか管理できていないにも関わらず、結構な収入を得て行政にも上納していたのだ。いつか中層も管理するために、外から入り込んでいるゴブリンは可能な限り倒している筈なので、少しばかり多過ぎる気がしたのである。
そして俺たちは巣分けの影響と思われる集団に出くわした。
オールド・キメラの縄張りに入り込んで逃げ出し、半狂乱で俺たちとたたかうことになたのだが……。後から思えば少しばかり増え過ぎな気がしたのだ。そこで戻ってから様子見をするという理由でダンジョン内の再整理を目論んだというわけである。食用になるモンスターが増え易くなっているか、キノコの類が沢山採れているのではないかという初見も加えて。
「行政の連中はって言う事は、親族衆は良い顔をしてない訳だ」
「私があんたに騙されてるとか、今管理してるダンジョンだけではなく、うちのダンジョンも売り払う気なのかもって思ってるらしくってね。その辺もあって分家の連中は出来れば手を出して欲しくないってうるさいのよ」
前にも言っていた事を改めてエレノーラは口に出した。
その事を忘れているのか、それとも愚痴りたくなるほどに言われているのか? 俺に騙されてると言い掛かりをつけてるって事は、俺が情夫として取り入ってると思ってんのかね? 佳い女は好きだが、自分っちの資産をタコが足を食うみたいに切り売りする奴は好かんぞ。そんな事をしないからこそ口説きたくなるわけだが。
「なら次はその辺りも是正していこう。収支を良くする案……」
「だけだと駄目だな。売る時にも使えちまう」
「ここは本家だけでなく分家の連中も加えたダンジョン経営だな」
「とは言え自然にその辺の流れを出さねえと胡散臭いから、間に何かしらの理由を挟んじまおう。判り易い例としては、次の探索に使うエリアを失敗例として組み込んで見るか」
男女関係に関してはなる様にしかならんので口を挟まない。
妙な意識をされても面白くないし、隔意を抱かれるのはもっと困る。口説く時は最高の状態にして、正面から口説きたいもんだ。その上で親戚筋の連中が『表向き』は納得するような計画を立てればいい。親族というくらいだから数は居るんだろうし、その全てが本当に売り飛ばすと思っている訳でも、次期当主の地位を奪いたいわけでもないだろう。
その辺の理由を整える為、ゴブリンが増え過ぎている件を失敗例としてでっちあげることにした。
「失敗例?」
「ゴブリンを増え易くして、定期的に狩る予定だったってのはどうだ? それが他所の地方への遠征だとか、大きな災害で目減りししちまった可能性がある。そう言った問題点を修正すべく、親族衆の強化やなんかも計画に盛り込んでいく」
実際の話、増えているゴブリンだけで上層の収支は大きいのだ。
もし中層から下層を管理できる精鋭部隊が居たり、あるいは転移装置などでコントロールできると仮定しよう。それだったら普通にダンジョン経営でありがちな話だ。実際にその方法を試すとしたら、ゴブリンは増え過ぎる可能性がるからやらないけどな。
だから定期的に巡回か何かを行い、それを分家筋の連中も含めて計画に入れておくのだ。
「もし売り払うなら親族衆の強化や、巡回プランを入れるわきゃねえだろ?」
「あくまで本家を重視するのは当然だが……収益の中から魔剣なりホムンクルスを分家配備する」
「少なくとも表向きにはそれを断るわけがない。それらは各家の利になるからだ」
「この機に利益を欲してるだけの連中はそれで黙る。他家に売り払おうって連中もお前の家が力を取り戻せるなら黙る奴もいる。全員が全員そうじゃないし、中には近隣の貴族から送り込まれたスパイだって居るだろうよ。だが大部分が納得するなら収まるはずだ」
要するに親族衆も含めたお家全体の立て直し計画を用意するのだ。
分家達の利益を確保してやれば、そいつらは表向きは黙るだろう。実際には息子を婿として送り込むことで、自分達こそが本家に成り代わるって連中もいるだろうが、それらは少しずつ実績で黙らせれば良い。エレオノーラの能力への信頼性が低いからこそ、周囲が『うちの倅をぜひ婿に!』なんて横暴が通るのだ。
発言力さえあれば、後はエレオノーラの計画で済む話ということになる。
他所から婿を取ってエレオノーラ主体でやっていくのか、分家から婿を取って内側を強化するのか、あるいは行政なり大きな貴族家に婿を世話される形になるのか。それを決めるのはエレオノーラの目的と見解になるだろう。少なくともダンジョンを再攻略できれば、その芽も出てくるはずである。
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