10 / 21
あなただけの人形を作りたい
しおりを挟む
その「トイトイ」を求めてくれるお客さんが現れてそれを作るっていうのは、ティッサにとって光栄なことではないんだろうか。想像しようとしても、ぼくにはちっともわからないんだ。
「まさか。私にとってトイトイはいっちばん大事な作品だから、欲しいって言ってくれる人がいるっていうのは本当に嬉しいし、作業だって楽しみよ?」
「だったら、何を思ってそんな顔してるのさ」
「本当はね……私にトイトイがいるように、お客さんの希望する『世界でひとつ、その人のためだけの人形』を受注して作るのが、私の夢なのよ。でもまだまだ、お客さんの望みを完璧に再現した人形を作れる技術も自信も、私にはなくってね……」
「そうだったんだ……」
フィオ君が気に入ってくれたトイトイをもうひとつ作るんじゃなく、例えばフィオ君自身に「こんな人形が欲しい」って絵でも描いてもらって、同じ人形を作る。それが、ティッサの夢のひとつだったんだね。
「その夢も、いつか叶うといいね」
「そうねぇ~……だけど、『自分が好きだから』で作るのと、『より多くの人が求めるから』でものを作るのって、これがまた難しくってねぇ~……」
なんだか微妙に、さっき言ってた話とずれちゃった? 個人の受注の話から、自分の好きなものが売れ筋じゃない悩みの方向に変わってる気がする。それだけ、何かを作る人間の悩みは種類が豊富ってことなのかも。
ぼくは作られる側の立場で、多くの人に見られたいなんて願望ないからぜーんぜん関係ない、気楽な立場。そりゃあ、たくさんのお客さんが遊んでくれるのだって楽しんでるけど、極論を言えばぼくを見てくれるのがティッサひとりだけだとしても、それはそれでおもちゃにとっては幸せなことだよ。
フィオ君がこれから暮らすノエリアックでもうひとりのトイトイをぼくみたいに話せるようにするためには、ティッサも一度現地に行ってそこの魔力溜まりを調べて必要な紋を刻まなければならない。当然、出張費用も必要な旅費も、かかる経費は全てフィオ君のご両親が負担してくれる約束になっている。数日かけてぼくと全く同じトイトイの人形を作って、それを持ってティッサは旅立った。
ぼくはといえば、無理にティッサについていったところで、フィラディノートを出た瞬間には動けないただの人形になってしまう。つまり同行する意味もないので、留守番してお店を守ることにした。ティッサの留守中も作業台を使いたいお客さんもおもちゃで遊びたい子供達も、売り場のおもちゃを買ってくれるお客さんもいた。ぼくがお店を開けることでちゃーんと売り上げに結び付いたので、ぼくは大満足だった。
「まさか。私にとってトイトイはいっちばん大事な作品だから、欲しいって言ってくれる人がいるっていうのは本当に嬉しいし、作業だって楽しみよ?」
「だったら、何を思ってそんな顔してるのさ」
「本当はね……私にトイトイがいるように、お客さんの希望する『世界でひとつ、その人のためだけの人形』を受注して作るのが、私の夢なのよ。でもまだまだ、お客さんの望みを完璧に再現した人形を作れる技術も自信も、私にはなくってね……」
「そうだったんだ……」
フィオ君が気に入ってくれたトイトイをもうひとつ作るんじゃなく、例えばフィオ君自身に「こんな人形が欲しい」って絵でも描いてもらって、同じ人形を作る。それが、ティッサの夢のひとつだったんだね。
「その夢も、いつか叶うといいね」
「そうねぇ~……だけど、『自分が好きだから』で作るのと、『より多くの人が求めるから』でものを作るのって、これがまた難しくってねぇ~……」
なんだか微妙に、さっき言ってた話とずれちゃった? 個人の受注の話から、自分の好きなものが売れ筋じゃない悩みの方向に変わってる気がする。それだけ、何かを作る人間の悩みは種類が豊富ってことなのかも。
ぼくは作られる側の立場で、多くの人に見られたいなんて願望ないからぜーんぜん関係ない、気楽な立場。そりゃあ、たくさんのお客さんが遊んでくれるのだって楽しんでるけど、極論を言えばぼくを見てくれるのがティッサひとりだけだとしても、それはそれでおもちゃにとっては幸せなことだよ。
フィオ君がこれから暮らすノエリアックでもうひとりのトイトイをぼくみたいに話せるようにするためには、ティッサも一度現地に行ってそこの魔力溜まりを調べて必要な紋を刻まなければならない。当然、出張費用も必要な旅費も、かかる経費は全てフィオ君のご両親が負担してくれる約束になっている。数日かけてぼくと全く同じトイトイの人形を作って、それを持ってティッサは旅立った。
ぼくはといえば、無理にティッサについていったところで、フィラディノートを出た瞬間には動けないただの人形になってしまう。つまり同行する意味もないので、留守番してお店を守ることにした。ティッサの留守中も作業台を使いたいお客さんもおもちゃで遊びたい子供達も、売り場のおもちゃを買ってくれるお客さんもいた。ぼくがお店を開けることでちゃーんと売り上げに結び付いたので、ぼくは大満足だった。
0
あなたにおすすめの小説
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
未来スコープ ―この学園、裏ありすぎなんですけど!? ―
米田悠由
児童書・童話
「やばっ!これ、やっぱ未来見れるんだ!」
平凡な女子高生・白石藍が偶然手にした謎の道具「未来スコープ」。
それは、未来を“見る”だけでなく、“触れたものの行く末を映す”装置だった。
好奇心旺盛な藍は、未来スコープを通して、学園に潜む都市伝説や不可解な出来事の真相に迫っていく。
旧校舎の謎、転校生・蓮の正体、そして学園の奥深くに潜む秘密。
見えた未来が、藍たちの運命を大きく揺るがしていく。
未来スコープが映し出すのは、甘く切ないだけではない未来。
誰かを信じる気持ち、誰かを疑う勇気、そして真実を暴く覚悟。
藍は「信じるとはどういうことか」を問われていく。
この物語は、好奇心と正義感、友情と疑念の狭間で揺れながら、自分の軸を見つけていく少女の記録です。
感情の揺らぎと、未来への探究心が交錯するSFラブストーリー、シリーズ第3作。
読後、きっと「誰かを信じるとはどういうことか」を考えたくなる一冊です。
おっとりドンの童歌
花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。
意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。
「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。
なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。
「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。
その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。
道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。
その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。
みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。
ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。
ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。
ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?
ふしぎなえんぴつ
八神真哉
児童書・童話
テストが返ってきた。40点だった。
お父さんに見つかったらげんこつだ。
ぼくは、神さまにお願いした。
おさいせんをふんぱつして、「100点取らせてください」と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる