さよならトイトイ~魔法のおもちゃ屋さん~

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おもちゃ屋さんの終活

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 ティッサの五十五歳の誕生日。常連のお客さんがお店の中でお祝いをしてくれて、みんなでケーキを切り分けて食べて、閉店した後のことだった。

「せっかくのお祝いの場でみんなに気に病ませたくなかったし、一番最初はトイトイに相談したいと思って、さっきは言わなかったんだけどね。そろそろ、お店にも飾っている私の宝物を少しずつ、整理していこうと思うの」

 お店には、売り物を飾るための棚と、ティッサの買い集めたおもちゃや人形などの中でも子供達の遊びには向かない高級品や、彼女にとって特別思い入れのある作品を展示するための棚が分かれて設置されている。

 売り物の棚はこれまで通り、だけど個人的な収集品を、少しずつ手放していこう。そう決めたのだという。

「もちろん、全部ではないよ。この子とこの子、これだけは人生の最後まで持っておきたいから。それ以外の子をちょっとずつ、欲しいと思ってくれてる人のところへ渡そうかなって」

「もったいない……ティッサが死んでしまうまで、お店に飾っておいたら? このお店は元々ミモリ様の物件なんだし、お金だけ用意しておけば中のものはまるごと、廃棄業者さんを手配して片付けてもらえるんじゃない?」

 ミモリ様の公認弟子は、彼女の物件を無償で貸してもらえる。正直、このお店の売り上げはティッサの衣食住を維持するくらいしか稼げていないから、店舗の賃料まで必要となると「おもちゃ屋さんを経営する」っていう彼女の子供の頃からの夢は叶わなかっただろう。

「理想でしかないんだけどね……ゴミとして捨てられるのなら、私の次に使ってくれる誰かのところに渡してあげたいの」

 別に、大事にしてくれなくてもいい、もちろん大事にしてくれるならこれ以上に嬉しいことはないけれど。小さな子供におもちゃとして使い倒してもらって、ボロッボロになってしまったっていい。ともかく、自分のところからゴミとして出すということが、ティッサにとっては耐え難いみたいで。

「それにね。人生の終わりには、あなたのことだけを見ていたいのよ。ね、トイトイ」


 その後、しばらく経ってから、ティッサは常連さん達に事情を説明して、気に入ったものがあったら是非持ち帰ってくださいとお勧めし始めた。展示棚にも同じ説明書きと、大きな文字で「ご自由にお持ち帰りください」と書いた紙を貼りつけた。
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