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3 波乱
3 波乱
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3.波乱
芹名との一夜は、その満足感とは裏腹にとんでもない騒動を引き起こした。
芹名を見送った夕方、遙華からメールが届いた。
“あの女、誰かしら?”
え? 芹名のことか?
遙華はなんで知ってるんだろう。
ドキドキしながら遙華に電話をかけた。
「あのメールはどういう意味?」
「文面のとおりよ。それ以上でもそれ以下でもないわ」
「もっと詳しく説明してくれないかなぁ」
「心当たりがあるでしょう?」
「う~ん、そうだなぁ、もしかしたらホテルでのことなのかな?」
仕方なく答えた。
「そうよ、心当たりあるでしょ?」
「遙華ちゃん、なんで知ってるの?」
「ホテルで同窓会に出席してたの。そしたら槙人さんにそっくりな人が、きれいな女といい感じで寄り添って歩いていたわ」
「それが俺だってこと?」
「間違いないわよね。それで誰なの?」
見られていたのなら仕方ない。
「うん、俺の幼なじみの女性なんだよ。十何年ぶりかで会いに来てくれて、あのホテルに泊まってたんだ」
「うん、それで?」
「食事しただけだよ」
「ウソつきっ!!」
遙華はいきなり電話を切ってしまった。
遙華はどこまで見ていたんだろう。
<まずいな。正直に言ったほうがいいのかな? でも…かなり怒ってるような…>
悩ましい限りだ。
それから一週間ほど遙華から連絡が来なかった。
繰り返しメールを送っていると、久しぶりに遙華から返信が来た。
“何か言いたいことがあるの?”
<仲直りするつもりがあるのかな?>
俺はすぐに遙華に電話した。
「遙華ちゃん、機嫌直った?」
「他に何か言うことはないの?」
「俺が浮気したって思ったの?」
「直接会って話を聞くわ」
夕方、急いで仕事を片付けて約束したコーヒーショップに行くと、遙華はすでに待っていた。
そして俺が椅子に腰を下ろす間もなく、遙華は俺を正面からじっと見つめて言った。
「正直に答えて」
「うん」
「エッチしたんでしょ?」
「いや、誤解させることをして悪かったよ。それは申し訳ないと思う」
国会の答弁を見習って、ここは適当に言葉を濁して、あくまでも白を切るしかないと思っていた。
「してないの?」
「うん、俺の記憶の中ではしてない…と思う」
「ほんとに?」
「うん、そういう記憶はない…ような気がする」
「ほんとにほんとね?」
「うん、ほんとにほんと」
「ふ~ん、わかったわ。もうあんなことしないでね」
「うん、誤解させて申し訳なかった。次は遙華ちゃんと一緒に会うことにする」
「じゃ、いいわ」
「信じてくれたんだね、ありがとう」
なんとか乗り切れたようだ。
一時はどうなることかと思った。一安心だ。
しかし遙華はしぶとかった。
「最後にもう一回聞くわね。ちゃんと私の目を見てっ! …したでしょうっ!」
なんとか言い逃れできたかとホッとした隙をつかれ、遙華の勢いに負けてつい小さく頷いていた。
しまった!
「やっと白状したわね。あなたはウソをつけない人なのよ。さっきからずっと目が泳いでいたわ。私、あなた達がいい雰囲気で肩を抱いてエレベーターに乗るところまでつけて行ったの。そしたら六階で停まってずっと動かなかった。つまり二人で六階のお部屋に入ったってことよね。」
俺は下を向いたまま、黙って小さく頷いた。
「あくまでも白を切ってたらほんとにお別れするつもりだったけど、もう二度と浮気しないって誓ったら今度だけは許してあげる」
「すまない、もう二度としない」
俺はしかたなく頭を下げた。年下の遙華の方が一枚上手だった。
「私もあなたがモテるのは嬉しいのよ。でも、浮気はこれを最後にしてね」
「うん、ごめんなさい」
テーブルに手をついて、再度深々と頭を下げた。
芹名との一夜は、その満足感とは裏腹にとんでもない騒動を引き起こした。
芹名を見送った夕方、遙華からメールが届いた。
“あの女、誰かしら?”
え? 芹名のことか?
遙華はなんで知ってるんだろう。
ドキドキしながら遙華に電話をかけた。
「あのメールはどういう意味?」
「文面のとおりよ。それ以上でもそれ以下でもないわ」
「もっと詳しく説明してくれないかなぁ」
「心当たりがあるでしょう?」
「う~ん、そうだなぁ、もしかしたらホテルでのことなのかな?」
仕方なく答えた。
「そうよ、心当たりあるでしょ?」
「遙華ちゃん、なんで知ってるの?」
「ホテルで同窓会に出席してたの。そしたら槙人さんにそっくりな人が、きれいな女といい感じで寄り添って歩いていたわ」
「それが俺だってこと?」
「間違いないわよね。それで誰なの?」
見られていたのなら仕方ない。
「うん、俺の幼なじみの女性なんだよ。十何年ぶりかで会いに来てくれて、あのホテルに泊まってたんだ」
「うん、それで?」
「食事しただけだよ」
「ウソつきっ!!」
遙華はいきなり電話を切ってしまった。
遙華はどこまで見ていたんだろう。
<まずいな。正直に言ったほうがいいのかな? でも…かなり怒ってるような…>
悩ましい限りだ。
それから一週間ほど遙華から連絡が来なかった。
繰り返しメールを送っていると、久しぶりに遙華から返信が来た。
“何か言いたいことがあるの?”
<仲直りするつもりがあるのかな?>
俺はすぐに遙華に電話した。
「遙華ちゃん、機嫌直った?」
「他に何か言うことはないの?」
「俺が浮気したって思ったの?」
「直接会って話を聞くわ」
夕方、急いで仕事を片付けて約束したコーヒーショップに行くと、遙華はすでに待っていた。
そして俺が椅子に腰を下ろす間もなく、遙華は俺を正面からじっと見つめて言った。
「正直に答えて」
「うん」
「エッチしたんでしょ?」
「いや、誤解させることをして悪かったよ。それは申し訳ないと思う」
国会の答弁を見習って、ここは適当に言葉を濁して、あくまでも白を切るしかないと思っていた。
「してないの?」
「うん、俺の記憶の中ではしてない…と思う」
「ほんとに?」
「うん、そういう記憶はない…ような気がする」
「ほんとにほんとね?」
「うん、ほんとにほんと」
「ふ~ん、わかったわ。もうあんなことしないでね」
「うん、誤解させて申し訳なかった。次は遙華ちゃんと一緒に会うことにする」
「じゃ、いいわ」
「信じてくれたんだね、ありがとう」
なんとか乗り切れたようだ。
一時はどうなることかと思った。一安心だ。
しかし遙華はしぶとかった。
「最後にもう一回聞くわね。ちゃんと私の目を見てっ! …したでしょうっ!」
なんとか言い逃れできたかとホッとした隙をつかれ、遙華の勢いに負けてつい小さく頷いていた。
しまった!
「やっと白状したわね。あなたはウソをつけない人なのよ。さっきからずっと目が泳いでいたわ。私、あなた達がいい雰囲気で肩を抱いてエレベーターに乗るところまでつけて行ったの。そしたら六階で停まってずっと動かなかった。つまり二人で六階のお部屋に入ったってことよね。」
俺は下を向いたまま、黙って小さく頷いた。
「あくまでも白を切ってたらほんとにお別れするつもりだったけど、もう二度と浮気しないって誓ったら今度だけは許してあげる」
「すまない、もう二度としない」
俺はしかたなく頭を下げた。年下の遙華の方が一枚上手だった。
「私もあなたがモテるのは嬉しいのよ。でも、浮気はこれを最後にしてね」
「うん、ごめんなさい」
テーブルに手をついて、再度深々と頭を下げた。
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