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11 一応成人してます…
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「そういえば、ブレアナさんが当主様なんですね。この世界では女性が継ぐことって普通なんですか?」
「いえ、ほとんどの家は長男が継ぎます。我が公爵家は、私たちが幼い時に両親が亡くなりました。本来ならオースティンが継ぐべきだったのですが、当時この子はまだ8歳。私も13歳と子供でしたがちょっとした事情もあり、弟が継ぐよりも良いかと私が女公爵として継ぐことにいたしました」
「あ……ご両親が亡くなっていたんですね。すみません……」
知らなかったとはいえ、無神経な事聞いてしまった。ブレアナさんは「お気になさらず」と言ってくれたが、余り聞いても良い事じゃないだろう。
「ブレアナさんは凄い、ですね」
普通長男が家を継ぐのなら、ブレアナさんは色々と大変だったんじゃないだろうか。貴族で公爵家。なんて貴族制度が良く分かっていない俺が本当の大変さを理解することは出来ないけど、元の世界でも女性がどんどん社会進出しているとはいえまだまだ厳しい状況だと言われている。
「大切な家族の事を思えば何でも出来るんですよ」
そう言って微笑んだブレアナさんの笑顔は、強くて綺麗だと思った。
「ヒカル様は幼いのにしっかりしていらっしゃるのですね」
「え? 幼い……?」
「え?」
……もしかして、俺って子供だと思われている??
「あの……俺一応、20歳なんで成人済み、です……」
「えっ!?」
「……それは本当か?」
ブレアナさんだけじゃなくオースティンさんも驚いてる。そっと周りを見てみれば双子もその他の使用人の人達も驚いた顔をしていた。
「それは大変な失礼をっ……」
ブレアナさんが慌てて立ち上がって深く頭を下げてしまった。それを見て他の使用人達も一斉に頭を下げている。
「あ、あのっ! 大丈夫です! 気にしてません! えっと、なんて言うか俺の人種は幼く見えてしまうみたいで! えっと、そう思われても仕方ないというか、ですからあのっ……」
アジア人は幼く見られるというのは知っていたし、元の世界でいう白人のようなブレアナさん達にすれば俺は幼く見えてもおかしくない。俺も名前は教えても年齢までは言ってなかったし。
とにかく気にしてないことを力いっぱい説明したお陰で、皆納得してもらえたみたいなので良かった……。
「ヒカル様のご年齢をお聞きしておいて良かった。そうでなければ可愛い服をたくさん仕立てるところでした……」
……偶然とはいえ、年齢を言っておいて本当に良かった。
「ああ、そうだ。この後ヒカル様のご希望に合った講師を紹介しよう」
昨日俺がこの世界の事を教えて欲しいと言ったから、そのための講師を用意してくれたらしい。昨日の今日で仕事が物凄く早い。
「ではヒカル様。私は仕事がございますのでお先に失礼いたします。何かございましたら遠慮なくお申し付けくださいませ」
ブレアナさんはそう言って、ジャックと呼ばれた人と共に食堂を出ていった。公爵家当主だし仕事もたくさんあるんだろう。バリバリのキャリアウーマンって感じで本当にかっこいい人だ。
俺も双子と共に部屋へと戻る。そのまましばらく待っているとオースティンさんが講師と共に部屋へとやって来た。
「ヒカル様、初めまして。俺はランドル・へーリングと申します。本日よりヒカル様の講師兼護衛としてお側に侍りますのでよろしくお願いいたします」
「……護衛?」
この公爵家の中にいても護衛って必要なの? そんな俺の心の声が聞えたのか、ランドルさんはにこやかに答えてくれた。
「このヘインズ公爵家の中にいる限り問題はございませんが、緊急時などのいざという時必要になる場合がございます。双子もそれなりに武器は扱えますが、めっぽう強いわけではございません。不測の事態に備える。それだけですのでご安心ください」
「わかり、ました……」
いや、本当はよくわからないけどわかったことにしておく。何かあった時の為に備えておく。保険みたいなものと思っておけばいいか。
「神子であるヒカル様の命を守ることは全てにおいて最優先されることだ。その為に腕の立つ者を側に置いておく。それだけのこと。ヒカル様は何も考えなくてもいい。それとランドルはヘインズ公爵家の血縁者だ。貴方の絶対的な味方でもあるから安心して欲しい」
ランドルさんはそんなオースティンさんの言葉にこくりと頷いた。俺は俺の顔を見ても嫌がらないのならそれでいいから、オースティンさんが決めたことに何も言う事はない。
「ヒカル様。ランドル様は剣の腕は勿論ですが、秀才でいらっしゃるので講師としても申し分ないお方です」
「そうなんだ。ランドルさん、よろしくお願いします」
そう言ってぺこりと頭を下げたらやめてくださいと言われてしまった。双子と同様、呼び捨てで、かつ敬語も不要だと。ランドルさんも年上っぽいからちょっと気が引けるが、そうしてくれないと困ると言われ渋々従う事にする。
わかったと返事をすればあからさまにほっとした表情をされてしまった。
「あ、ランドルにお願いがあるんだけど。魔力の扱い方を最初に教えて欲しい」
これは早急に何とかしたい案件だ。そうじゃなければ俺はずっと双子の手助けが無ければ水を出すことが出来ない。風呂どころか手を洗う事も出来ないのだ。
「それでしたらオースティン様の方が適任かもしれませんね」
そう言ってランドルがオースティンさんに視線をやれば「そうだな」と頷き俺に近づいてきた。そのまま手をそっと持ち上げられる。
「魔力を感じることが出来ればすぐに感覚を掴むことが出来るだろう。今から私の魔力を流す」
すると繋がれた手からじんわりと何か温かなものが体の中に広がっていく。それは指先から腕を通り上半身へ広がり、そして下半身へと流れていく。
「身の内にあるものを感じるんだ。私の魔力とは違う、別の力を感じるはずだ」
オースティンさんに促され、目を閉じて集中してみる。オースティンさんの魔力がぐるぐると体内を巡っていてすごく気持ちが良い。だけどその暖かな優しい力とは別の、もう一つの魔力らしきものを見つけた。それはオースティンさんの魔力に押し出されるように引き上げられるようにして動いていく。
「そのもう一つの魔力を自らの意思で動かしてみろ」
オースティンさんの言われるがままその魔力を自分でぐるぐると回すようにしてみる。するとゆっくり巡っていた魔力は段々と早くなり、俺の体内を勢いよく駆け巡った。
「自分の魔力を掴めたようだな。それと流石は神子というべきか。膨大な魔力は勿論だが質が素晴らしい。このような壮麗な魔力を持つ者は神子だけだろう」
こうして俺は自分の魔力というものを感じることに成功した。
「いえ、ほとんどの家は長男が継ぎます。我が公爵家は、私たちが幼い時に両親が亡くなりました。本来ならオースティンが継ぐべきだったのですが、当時この子はまだ8歳。私も13歳と子供でしたがちょっとした事情もあり、弟が継ぐよりも良いかと私が女公爵として継ぐことにいたしました」
「あ……ご両親が亡くなっていたんですね。すみません……」
知らなかったとはいえ、無神経な事聞いてしまった。ブレアナさんは「お気になさらず」と言ってくれたが、余り聞いても良い事じゃないだろう。
「ブレアナさんは凄い、ですね」
普通長男が家を継ぐのなら、ブレアナさんは色々と大変だったんじゃないだろうか。貴族で公爵家。なんて貴族制度が良く分かっていない俺が本当の大変さを理解することは出来ないけど、元の世界でも女性がどんどん社会進出しているとはいえまだまだ厳しい状況だと言われている。
「大切な家族の事を思えば何でも出来るんですよ」
そう言って微笑んだブレアナさんの笑顔は、強くて綺麗だと思った。
「ヒカル様は幼いのにしっかりしていらっしゃるのですね」
「え? 幼い……?」
「え?」
……もしかして、俺って子供だと思われている??
「あの……俺一応、20歳なんで成人済み、です……」
「えっ!?」
「……それは本当か?」
ブレアナさんだけじゃなくオースティンさんも驚いてる。そっと周りを見てみれば双子もその他の使用人の人達も驚いた顔をしていた。
「それは大変な失礼をっ……」
ブレアナさんが慌てて立ち上がって深く頭を下げてしまった。それを見て他の使用人達も一斉に頭を下げている。
「あ、あのっ! 大丈夫です! 気にしてません! えっと、なんて言うか俺の人種は幼く見えてしまうみたいで! えっと、そう思われても仕方ないというか、ですからあのっ……」
アジア人は幼く見られるというのは知っていたし、元の世界でいう白人のようなブレアナさん達にすれば俺は幼く見えてもおかしくない。俺も名前は教えても年齢までは言ってなかったし。
とにかく気にしてないことを力いっぱい説明したお陰で、皆納得してもらえたみたいなので良かった……。
「ヒカル様のご年齢をお聞きしておいて良かった。そうでなければ可愛い服をたくさん仕立てるところでした……」
……偶然とはいえ、年齢を言っておいて本当に良かった。
「ああ、そうだ。この後ヒカル様のご希望に合った講師を紹介しよう」
昨日俺がこの世界の事を教えて欲しいと言ったから、そのための講師を用意してくれたらしい。昨日の今日で仕事が物凄く早い。
「ではヒカル様。私は仕事がございますのでお先に失礼いたします。何かございましたら遠慮なくお申し付けくださいませ」
ブレアナさんはそう言って、ジャックと呼ばれた人と共に食堂を出ていった。公爵家当主だし仕事もたくさんあるんだろう。バリバリのキャリアウーマンって感じで本当にかっこいい人だ。
俺も双子と共に部屋へと戻る。そのまましばらく待っているとオースティンさんが講師と共に部屋へとやって来た。
「ヒカル様、初めまして。俺はランドル・へーリングと申します。本日よりヒカル様の講師兼護衛としてお側に侍りますのでよろしくお願いいたします」
「……護衛?」
この公爵家の中にいても護衛って必要なの? そんな俺の心の声が聞えたのか、ランドルさんはにこやかに答えてくれた。
「このヘインズ公爵家の中にいる限り問題はございませんが、緊急時などのいざという時必要になる場合がございます。双子もそれなりに武器は扱えますが、めっぽう強いわけではございません。不測の事態に備える。それだけですのでご安心ください」
「わかり、ました……」
いや、本当はよくわからないけどわかったことにしておく。何かあった時の為に備えておく。保険みたいなものと思っておけばいいか。
「神子であるヒカル様の命を守ることは全てにおいて最優先されることだ。その為に腕の立つ者を側に置いておく。それだけのこと。ヒカル様は何も考えなくてもいい。それとランドルはヘインズ公爵家の血縁者だ。貴方の絶対的な味方でもあるから安心して欲しい」
ランドルさんはそんなオースティンさんの言葉にこくりと頷いた。俺は俺の顔を見ても嫌がらないのならそれでいいから、オースティンさんが決めたことに何も言う事はない。
「ヒカル様。ランドル様は剣の腕は勿論ですが、秀才でいらっしゃるので講師としても申し分ないお方です」
「そうなんだ。ランドルさん、よろしくお願いします」
そう言ってぺこりと頭を下げたらやめてくださいと言われてしまった。双子と同様、呼び捨てで、かつ敬語も不要だと。ランドルさんも年上っぽいからちょっと気が引けるが、そうしてくれないと困ると言われ渋々従う事にする。
わかったと返事をすればあからさまにほっとした表情をされてしまった。
「あ、ランドルにお願いがあるんだけど。魔力の扱い方を最初に教えて欲しい」
これは早急に何とかしたい案件だ。そうじゃなければ俺はずっと双子の手助けが無ければ水を出すことが出来ない。風呂どころか手を洗う事も出来ないのだ。
「それでしたらオースティン様の方が適任かもしれませんね」
そう言ってランドルがオースティンさんに視線をやれば「そうだな」と頷き俺に近づいてきた。そのまま手をそっと持ち上げられる。
「魔力を感じることが出来ればすぐに感覚を掴むことが出来るだろう。今から私の魔力を流す」
すると繋がれた手からじんわりと何か温かなものが体の中に広がっていく。それは指先から腕を通り上半身へ広がり、そして下半身へと流れていく。
「身の内にあるものを感じるんだ。私の魔力とは違う、別の力を感じるはずだ」
オースティンさんに促され、目を閉じて集中してみる。オースティンさんの魔力がぐるぐると体内を巡っていてすごく気持ちが良い。だけどその暖かな優しい力とは別の、もう一つの魔力らしきものを見つけた。それはオースティンさんの魔力に押し出されるように引き上げられるようにして動いていく。
「そのもう一つの魔力を自らの意思で動かしてみろ」
オースティンさんの言われるがままその魔力を自分でぐるぐると回すようにしてみる。するとゆっくり巡っていた魔力は段々と早くなり、俺の体内を勢いよく駆け巡った。
「自分の魔力を掴めたようだな。それと流石は神子というべきか。膨大な魔力は勿論だが質が素晴らしい。このような壮麗な魔力を持つ者は神子だけだろう」
こうして俺は自分の魔力というものを感じることに成功した。
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