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番外編
ハウスメイドの報告②
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そして聖人様のお屋敷が完成し、聖人様のお引越しが始まりました。その日を境にわたくしたちは、騎士団所属はそのままに聖人様専属の使用人として配属されることになりました。ただし、わたくしたちが騎士団の人間だということは、いろんな下衆から狙われているという心労を課さないためにハルト様には内緒だそうです。
その日からは騎士服ではなく使用人用のお仕着せを着用します。なぜかこちらを身にまとうと、自然と背筋が伸びる思いでございました。
「ハルト・スガノです。ハルトと呼んでください。みなさん、これからよろしくお願いします」
ハルト様と初めてこのお屋敷の使用人としてご挨拶をさせていただいたその時。なんとハルト様はご丁寧にご挨拶を返してくださり、しかもお名前を呼ばせていただけるというお許しまでくださったのです! しかもしかぁも! わたくしたちの名前を一人一人訪ねてくださり、握手をしながら目を見て「よろしくお願いします」と直接お言葉を賜ったのです!
あぁぁあぁああぁあ! なんてっ、なんっっっっって慎ましい方なんでしょうッ!! わたくしたちは一瞬にして心を鷲掴みにされましたわッ! 元から鷲掴みにされていましたけどもッ! それ以上にッ! この方をどんなことからもお守りしなくてはッ! という使命感に更に火が付いたのですッ!
もうわたくしたち、ハルト様に誠心誠意お仕えする所存ですわ! っしゃー! やったろやないかいッ!
そんなあいさつの後、当然わたくしたちも聖人様のお引っ越し作業を手伝っていたのですが、流石は聖人様のお屋敷。規模はあまり仰々しくしたくないと仰ったハルト様のご希望に沿うよう少し小さいながらも、高位貴族のお屋敷と見紛うような素晴らしい外観。もちろん内装もそれはそれはご立派なものでございました。
そしてハルト様のお部屋に、ユリウス様の――もう隊長ではございませんからね。ハルト様の専属護衛騎士でございますので今後はユリウス様とお呼びすることにいたします。――以前のご自宅から持ち出した物をお運びする際です。
「あ、すみません。この部屋だけは土足厳禁なんです。ここで靴を脱いで、スリッパを用意したのでそれを使ってください」
と言われてしまい、わたくしたちは全員理解が出来ませんでした。すりっぱ、とは? と困惑しておりましたが、どうやら室内履きの類で、かかと部分がなく足にひっかけるようにして履くもののようです。
ハルト様のいらした世界では、家の中は土足ではなくこういった『すりっぱ』をお召しになる習慣だったそうです。不思議な習慣です。でも確かに靴裏の土などが付きませんし、部屋の中は清潔が保たれます。素晴らしいですわ。
とはいえ、わたくしたちも最初は戸惑いましたが、ハルト様のご希望に沿わないなんて選択肢はございません。喜んで靴を脱ぎ、その綺麗なすりっぱを使わせていただきました。うふふ♡ 今度誰かに自慢しよーっと♪
そしてお引っ越し作業も無事に終わり、本当の意味でハルト様のお屋敷が完成いたしました。もうその時のハルト様、嬉しそうにユリウス様と微笑み合っているんですのよ! 眼福でございました。じゅるり……
それからわたくしたちはハルト様に気持ちよく過ごしていただけるよう、ハルト様の自室以外は毎日毎日ピカピカに磨き上げておりました。自室はハルト様がご自身でお掃除なさるそうですので、わたくしたちは立ち入りません。
それにユリウス様との愛の巣でもございますからね。お邪魔するなどとんでもございません。
ですが、ハルト様の自室から出てきたシーツなどの大物はわたくしたちがお洗濯させていただきます。
ハルト様がシーツ交換をなさり、それを洗い場へとわざわざ持ってきてくださるのです。そして「すみませんが、よろしくお願いします」と優しいお言葉をかけてくださり、ハルト様とユリウス様のお洋服などをご自分でお洗濯なさるのです。
それもわたくしたちでいたしますと申し上げたのですが、「下着もあるから恥ずかしいので……」と真っ赤になって仰ったあの時は、不覚にもあまりの尊さに気を失いそうになりました。
ハルト様はご自分のお洗濯を終わらせると、自室の奥に設置された干場にて干すために自室へと戻られます。ハルト様のお姿が見えなくなってから、わたくしはハルト様のシーツに手をかけるのです。
「ぐふっ……!」
ハルト様の自室のシーツを手に取った瞬間、わたくしは恥ずかしながら鼻血を吹いてしまいました。だってシーツが洗いたてのようにとっても綺麗なんですもの。
ハルト様のお屋敷に勤めることになったわたくしたち使用人一同は、ハルト様の聖人としてのお力が体液にのみ備わっていることを聞いております。絶対にありえませんが、もし万が一のことがあった場合のことを考えてです。
ですのでわたくしたちはハルト様のお力のことも存じているわけです。ということはですよ。使用済みのシーツが洗いたてのように綺麗だということはつまり、昨晩ハルト様とユリウス様は愛し合われたということ! それもかなり激しくッ!
想像するだけであまりのいやらしさ神々しさに鼻血を吹くのは致し方ございません。だってあのユリウス様がハルト様を求められ、ハルト様もユリウス様を求められているということですもの。
ああぁぁぁぁあああぁぁぁああッ! 尊いッ!! 尊いですわッ!!
鼻にハンカチを詰め、はぁはぁと息が荒くなりながらもハルト様のシーツのお洗濯が終わりました。皺をしっかりと伸ばし、綺麗に干場へとかけます。風にたなびいて実に気持ちよさそうです。
お洗濯も終わりましたら、一度使用人の作業部屋へと向かいます。するとそこには事務仕事や針仕事など、それぞれの仕事をしている同僚がおりました。彼女たちはわたくしの姿を見ると一目散にわたくしの元に集まります。
「ど、どうだった!? シーツは綺麗だった!?」
「ええ。今日のシーツも、とっても綺麗だったわ」
「きゃぁぁぁぁぁ♡」
わたくしの報告を聞いた彼女たちは嬉しそうに声を上げます。彼女たちもハルト様を心からお慕いし、尊敬しているのです。そんな愛する主が、恋人である精悍なユリウス様との激しい情事を思わせるのです。萌えるなという方が無理でしょうッ!
ですがわたくしたちがこうして毎日盛り上がっていることは、愛する主であるハルト様にはもちろん内緒でございます。わたくしたちのちょっとしたご褒美ですもの。ぐふふ♡
その日からは騎士服ではなく使用人用のお仕着せを着用します。なぜかこちらを身にまとうと、自然と背筋が伸びる思いでございました。
「ハルト・スガノです。ハルトと呼んでください。みなさん、これからよろしくお願いします」
ハルト様と初めてこのお屋敷の使用人としてご挨拶をさせていただいたその時。なんとハルト様はご丁寧にご挨拶を返してくださり、しかもお名前を呼ばせていただけるというお許しまでくださったのです! しかもしかぁも! わたくしたちの名前を一人一人訪ねてくださり、握手をしながら目を見て「よろしくお願いします」と直接お言葉を賜ったのです!
あぁぁあぁああぁあ! なんてっ、なんっっっっって慎ましい方なんでしょうッ!! わたくしたちは一瞬にして心を鷲掴みにされましたわッ! 元から鷲掴みにされていましたけどもッ! それ以上にッ! この方をどんなことからもお守りしなくてはッ! という使命感に更に火が付いたのですッ!
もうわたくしたち、ハルト様に誠心誠意お仕えする所存ですわ! っしゃー! やったろやないかいッ!
そんなあいさつの後、当然わたくしたちも聖人様のお引っ越し作業を手伝っていたのですが、流石は聖人様のお屋敷。規模はあまり仰々しくしたくないと仰ったハルト様のご希望に沿うよう少し小さいながらも、高位貴族のお屋敷と見紛うような素晴らしい外観。もちろん内装もそれはそれはご立派なものでございました。
そしてハルト様のお部屋に、ユリウス様の――もう隊長ではございませんからね。ハルト様の専属護衛騎士でございますので今後はユリウス様とお呼びすることにいたします。――以前のご自宅から持ち出した物をお運びする際です。
「あ、すみません。この部屋だけは土足厳禁なんです。ここで靴を脱いで、スリッパを用意したのでそれを使ってください」
と言われてしまい、わたくしたちは全員理解が出来ませんでした。すりっぱ、とは? と困惑しておりましたが、どうやら室内履きの類で、かかと部分がなく足にひっかけるようにして履くもののようです。
ハルト様のいらした世界では、家の中は土足ではなくこういった『すりっぱ』をお召しになる習慣だったそうです。不思議な習慣です。でも確かに靴裏の土などが付きませんし、部屋の中は清潔が保たれます。素晴らしいですわ。
とはいえ、わたくしたちも最初は戸惑いましたが、ハルト様のご希望に沿わないなんて選択肢はございません。喜んで靴を脱ぎ、その綺麗なすりっぱを使わせていただきました。うふふ♡ 今度誰かに自慢しよーっと♪
そしてお引っ越し作業も無事に終わり、本当の意味でハルト様のお屋敷が完成いたしました。もうその時のハルト様、嬉しそうにユリウス様と微笑み合っているんですのよ! 眼福でございました。じゅるり……
それからわたくしたちはハルト様に気持ちよく過ごしていただけるよう、ハルト様の自室以外は毎日毎日ピカピカに磨き上げておりました。自室はハルト様がご自身でお掃除なさるそうですので、わたくしたちは立ち入りません。
それにユリウス様との愛の巣でもございますからね。お邪魔するなどとんでもございません。
ですが、ハルト様の自室から出てきたシーツなどの大物はわたくしたちがお洗濯させていただきます。
ハルト様がシーツ交換をなさり、それを洗い場へとわざわざ持ってきてくださるのです。そして「すみませんが、よろしくお願いします」と優しいお言葉をかけてくださり、ハルト様とユリウス様のお洋服などをご自分でお洗濯なさるのです。
それもわたくしたちでいたしますと申し上げたのですが、「下着もあるから恥ずかしいので……」と真っ赤になって仰ったあの時は、不覚にもあまりの尊さに気を失いそうになりました。
ハルト様はご自分のお洗濯を終わらせると、自室の奥に設置された干場にて干すために自室へと戻られます。ハルト様のお姿が見えなくなってから、わたくしはハルト様のシーツに手をかけるのです。
「ぐふっ……!」
ハルト様の自室のシーツを手に取った瞬間、わたくしは恥ずかしながら鼻血を吹いてしまいました。だってシーツが洗いたてのようにとっても綺麗なんですもの。
ハルト様のお屋敷に勤めることになったわたくしたち使用人一同は、ハルト様の聖人としてのお力が体液にのみ備わっていることを聞いております。絶対にありえませんが、もし万が一のことがあった場合のことを考えてです。
ですのでわたくしたちはハルト様のお力のことも存じているわけです。ということはですよ。使用済みのシーツが洗いたてのように綺麗だということはつまり、昨晩ハルト様とユリウス様は愛し合われたということ! それもかなり激しくッ!
想像するだけであまりのいやらしさ神々しさに鼻血を吹くのは致し方ございません。だってあのユリウス様がハルト様を求められ、ハルト様もユリウス様を求められているということですもの。
ああぁぁぁぁあああぁぁぁああッ! 尊いッ!! 尊いですわッ!!
鼻にハンカチを詰め、はぁはぁと息が荒くなりながらもハルト様のシーツのお洗濯が終わりました。皺をしっかりと伸ばし、綺麗に干場へとかけます。風にたなびいて実に気持ちよさそうです。
お洗濯も終わりましたら、一度使用人の作業部屋へと向かいます。するとそこには事務仕事や針仕事など、それぞれの仕事をしている同僚がおりました。彼女たちはわたくしの姿を見ると一目散にわたくしの元に集まります。
「ど、どうだった!? シーツは綺麗だった!?」
「ええ。今日のシーツも、とっても綺麗だったわ」
「きゃぁぁぁぁぁ♡」
わたくしの報告を聞いた彼女たちは嬉しそうに声を上げます。彼女たちもハルト様を心からお慕いし、尊敬しているのです。そんな愛する主が、恋人である精悍なユリウス様との激しい情事を思わせるのです。萌えるなという方が無理でしょうッ!
ですがわたくしたちがこうして毎日盛り上がっていることは、愛する主であるハルト様にはもちろん内緒でございます。わたくしたちのちょっとしたご褒美ですもの。ぐふふ♡
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