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番外編
ハウスメイドの報告③
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そしてこのお屋敷には専属侍従であるロキュスさんと、専属侍女のオフィーリアさんがいらっしゃいます。
このお二人は先日の痛ましい事件で関わりのあった方々です。
ロキュスさんのやらかしにより、とんでもない目に遭ったハルト様。ですが、ロキュスさんが完全に被害者だとしてハルト様がお救いになったのです。ああ、ハルト様はなんてお心の広い方なのでしょう。本当に素敵な方ですわ。
そしてロキュスさんの婚約者であるオフィーリアさん。この方は貴族としては最下層である男爵家の方ですが、下位貴族とは思えないほど素晴らしい淑女でございます。
彼女もまた、あのカルラ様の扱きを受けた――え? とっても優しく指導してくださった、ですって? みなさま、ごめんなさい。少々お待ちになって。
え? なになに? わたくしたちへの教育がとてつもなく厳しかったのは、団長が『あいつらに短期間で仕事を覚えさせるには生半可なことでは到底無理だ。カルラ殿が出来得る最高の特訓を課してほしい』と言ったからですって?
あんのクソ団長ッ! わたくしたちが脳筋の猿だと言いたいのかコラッ! あいつしばく。絶対しばく。
あ、申し訳ございません。少々取り乱してしまいました。
そうそう。そのオフィーリアさんですが、男爵家の方とは思えないほどの淑女でございまして、カルラ様から指導があったもののその立ち居振る舞いは本当に素晴らしいのです。そして心根も大変美しい方でございますのよ。
始めは家格が上のわたくしたちに恐縮していらっしゃいましたが、立場でいえばオフィーリアさんの方が上。わたくしたちはオフィーリアさんを下に見ることはございませんし、オフィーリアさんのお仕事ぶりもわかっています。
休憩時間にいろいろとお話をさせていただき、今ではわたくしたちとっても仲良くなりましたの。そしてオフィーリアさんもハルト様を心から尊敬なさっていて、わたくしたちは同士だとわかりました。
そんな同士であるわたくしたちに、オフィーリアさんはハルト様のことをいろいろと教えてくださるのです。
「本日のハルト様、昼食の後はユリウス様とぴったり横並びでにこやかに談笑されていらっしゃいました。その時にユリウス様がハルト様の腰に腕を回され、ぐっと引き寄せたのです。それに顔を赤くしながらも嬉しそうに微笑まれているハルト様が本当にお可愛らしくて……」
「きゃぁぁぁぁぁ! なにそれ見たい! オフィーリアさんが羨ましすぎるッ!」
「そしてわたくしがお茶のおかわりをご用意しようと背中を向けた途端、チュッと軽い音が鳴りましたの」
「きゃぁぁぁぁぁ! 絶対ちゅーしてるわッ! 見たいッ! 見せろぉぉぉぉぉぉ!」
「なんとかして壁になれないかしら……それか天井裏にでも張り付いて……」
「だめよ、あのユリウス様なら私たちがどこにいるかなんてすぐにわかるわ」
「そうよね。バレたらお終いよね。この仕事、絶対クビになるわ」
「だから私たちはオフィーリアさんの話で我慢するしかないの。いつかはどこかで見れることを待ちましょう!」
「「「ええ、そうね!」」」
その日を夢見てオフィーリアさんのお話を聞き満足する日々です。ですが流石は専属侍女。ハルト様に近い場所にいらっしゃるので貴重な話を聞かせてくださいます。オフィーリアさん、マジ女神。これからも一緒にハルト様とユリウス様を見守っていきましょうね!
そんな毎日を過ごしていたある日、なんと王妃殿下から呼び出しがありました。わたくしは緊張しながらも王妃殿下の元へ向かいます。
「忙しいのにごめんなさいね」
「いえ、とんでもございません」
王妃殿下はとてもお美しくてお優しい方です。国母として国民からも大変慕われていらっしゃる方です。わたくしも当然、尊敬しております。ですが、王妃殿下と関わることは今までにはございませんでした。
なのにこうして呼ばれるということは、わたくしは何かしてしまったのでしょうか。まさか、ハルト様が洗濯場にお持ちになったシーツの匂いを嗅いでいることがバレてしまった、とか?
「ハルトさんのお屋敷でのお仕事はいかがかしら?」
「はい。とてもやりがいがあり、この仕事に就けていることが誇りでございます」
「そう。もし万が一のことがあったら、ハルトさんをしっかりと守ってちょうだい。ユリウスもいるから大丈夫だとは思うけれど」
「もちろんでございます! ハルト様に指一本触れさせません!」
「ふふふ。頼もしいわ。ところで――」
王妃様はそこで言葉を区切ると、扇子で口元をお隠しになりました。そしてわたくしに近くに寄るように手招きをされます。内心ドキドキとしながらもすすすっとお近くへ参ると、王妃様は扇子を少しずらし小声で尋ねられました。
「ハルトさんとユリウスは、どれくらいの頻度で熱い夜を過ごされているのかしら?」
「……同僚との情報を合わせますと、どうやらほぼ毎日の様です」
「まぁ! 本当に二人は仲がよろしいのね。素敵だわ。ではわたくしの方から滋養強壮にいい食材を差し入れとして手配するわ」
「かしこまりました。ロキュスさんにもお伝えしておきます」
「ええ、お願いね。それから他になにか情報はあるかしら?」
「……おそらくハルト様は、ごにょごにょごにょごにょ――」
「あらやだ! それでそれで?」
「それでですね、あれがこーしてあーなって――」
「きゃぁぁぁぁぁ! 素敵♡」
どうやら王妃様もハルト様のことがいろいろと気になるようで、それからも月に一度、わたくしがこうして『ハルト様報告会』に呼ばれるようになりました。
え? ごにょごにょ言っていた内容が気になるですって? ごめんなさい。それはハルト様の名誉のためにも秘密ですわ。
あら、わたくしもそろそろ仕事に戻る時間ですわね。申し訳ございませんが、今回の報告は以上とさせていただきます。
また次回、機会がありましたらご報告させていただきますわ。
あ、そうそう。みなさま、このお話はどうぞご内密に。そのお胸に留めておいてくださいませね。
ではわたくしは失礼いたしますわ。
ごきげんよう♡
このお二人は先日の痛ましい事件で関わりのあった方々です。
ロキュスさんのやらかしにより、とんでもない目に遭ったハルト様。ですが、ロキュスさんが完全に被害者だとしてハルト様がお救いになったのです。ああ、ハルト様はなんてお心の広い方なのでしょう。本当に素敵な方ですわ。
そしてロキュスさんの婚約者であるオフィーリアさん。この方は貴族としては最下層である男爵家の方ですが、下位貴族とは思えないほど素晴らしい淑女でございます。
彼女もまた、あのカルラ様の扱きを受けた――え? とっても優しく指導してくださった、ですって? みなさま、ごめんなさい。少々お待ちになって。
え? なになに? わたくしたちへの教育がとてつもなく厳しかったのは、団長が『あいつらに短期間で仕事を覚えさせるには生半可なことでは到底無理だ。カルラ殿が出来得る最高の特訓を課してほしい』と言ったからですって?
あんのクソ団長ッ! わたくしたちが脳筋の猿だと言いたいのかコラッ! あいつしばく。絶対しばく。
あ、申し訳ございません。少々取り乱してしまいました。
そうそう。そのオフィーリアさんですが、男爵家の方とは思えないほどの淑女でございまして、カルラ様から指導があったもののその立ち居振る舞いは本当に素晴らしいのです。そして心根も大変美しい方でございますのよ。
始めは家格が上のわたくしたちに恐縮していらっしゃいましたが、立場でいえばオフィーリアさんの方が上。わたくしたちはオフィーリアさんを下に見ることはございませんし、オフィーリアさんのお仕事ぶりもわかっています。
休憩時間にいろいろとお話をさせていただき、今ではわたくしたちとっても仲良くなりましたの。そしてオフィーリアさんもハルト様を心から尊敬なさっていて、わたくしたちは同士だとわかりました。
そんな同士であるわたくしたちに、オフィーリアさんはハルト様のことをいろいろと教えてくださるのです。
「本日のハルト様、昼食の後はユリウス様とぴったり横並びでにこやかに談笑されていらっしゃいました。その時にユリウス様がハルト様の腰に腕を回され、ぐっと引き寄せたのです。それに顔を赤くしながらも嬉しそうに微笑まれているハルト様が本当にお可愛らしくて……」
「きゃぁぁぁぁぁ! なにそれ見たい! オフィーリアさんが羨ましすぎるッ!」
「そしてわたくしがお茶のおかわりをご用意しようと背中を向けた途端、チュッと軽い音が鳴りましたの」
「きゃぁぁぁぁぁ! 絶対ちゅーしてるわッ! 見たいッ! 見せろぉぉぉぉぉぉ!」
「なんとかして壁になれないかしら……それか天井裏にでも張り付いて……」
「だめよ、あのユリウス様なら私たちがどこにいるかなんてすぐにわかるわ」
「そうよね。バレたらお終いよね。この仕事、絶対クビになるわ」
「だから私たちはオフィーリアさんの話で我慢するしかないの。いつかはどこかで見れることを待ちましょう!」
「「「ええ、そうね!」」」
その日を夢見てオフィーリアさんのお話を聞き満足する日々です。ですが流石は専属侍女。ハルト様に近い場所にいらっしゃるので貴重な話を聞かせてくださいます。オフィーリアさん、マジ女神。これからも一緒にハルト様とユリウス様を見守っていきましょうね!
そんな毎日を過ごしていたある日、なんと王妃殿下から呼び出しがありました。わたくしは緊張しながらも王妃殿下の元へ向かいます。
「忙しいのにごめんなさいね」
「いえ、とんでもございません」
王妃殿下はとてもお美しくてお優しい方です。国母として国民からも大変慕われていらっしゃる方です。わたくしも当然、尊敬しております。ですが、王妃殿下と関わることは今までにはございませんでした。
なのにこうして呼ばれるということは、わたくしは何かしてしまったのでしょうか。まさか、ハルト様が洗濯場にお持ちになったシーツの匂いを嗅いでいることがバレてしまった、とか?
「ハルトさんのお屋敷でのお仕事はいかがかしら?」
「はい。とてもやりがいがあり、この仕事に就けていることが誇りでございます」
「そう。もし万が一のことがあったら、ハルトさんをしっかりと守ってちょうだい。ユリウスもいるから大丈夫だとは思うけれど」
「もちろんでございます! ハルト様に指一本触れさせません!」
「ふふふ。頼もしいわ。ところで――」
王妃様はそこで言葉を区切ると、扇子で口元をお隠しになりました。そしてわたくしに近くに寄るように手招きをされます。内心ドキドキとしながらもすすすっとお近くへ参ると、王妃様は扇子を少しずらし小声で尋ねられました。
「ハルトさんとユリウスは、どれくらいの頻度で熱い夜を過ごされているのかしら?」
「……同僚との情報を合わせますと、どうやらほぼ毎日の様です」
「まぁ! 本当に二人は仲がよろしいのね。素敵だわ。ではわたくしの方から滋養強壮にいい食材を差し入れとして手配するわ」
「かしこまりました。ロキュスさんにもお伝えしておきます」
「ええ、お願いね。それから他になにか情報はあるかしら?」
「……おそらくハルト様は、ごにょごにょごにょごにょ――」
「あらやだ! それでそれで?」
「それでですね、あれがこーしてあーなって――」
「きゃぁぁぁぁぁ! 素敵♡」
どうやら王妃様もハルト様のことがいろいろと気になるようで、それからも月に一度、わたくしがこうして『ハルト様報告会』に呼ばれるようになりました。
え? ごにょごにょ言っていた内容が気になるですって? ごめんなさい。それはハルト様の名誉のためにも秘密ですわ。
あら、わたくしもそろそろ仕事に戻る時間ですわね。申し訳ございませんが、今回の報告は以上とさせていただきます。
また次回、機会がありましたらご報告させていただきますわ。
あ、そうそう。みなさま、このお話はどうぞご内密に。そのお胸に留めておいてくださいませね。
ではわたくしは失礼いたしますわ。
ごきげんよう♡
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