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番外編
元カレの末路
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ハルトがいなくなってからの、元カレ流星の話です。
流星のその後が気になるというお声をいくつかいただいていたので、ご用意いたしました。
流星視点で見れば、ただのバッドエンドです(;^_^A ちょっと暗いというか辛い目に遭っているので、ざまぁではありますが、読まれる方はお気をつけてどうぞ……
* * * * * *
「ハッ、チョロい女」
最近相手にするようになった梨花は会社の後輩だ。
まぁまぁ可愛いし、俺に気があるようだったからちょっと声をかけたら簡単に体を開きやがった。簡単すぎてウケる。
最近ずっと男相手だったから、柔らかいおっぱいが久しぶりでそれはよかったんだけど。でもあいつの声キャンキャン煩いから、あと数か月遊んだらポイだな。
ホテルから最寄りの駅で別れて帰宅。時刻は夜の十二時。盛り上がりすぎて疲れたのか、あのまま寝てしまって予定よりも遅くなってしまった。
外で飯を食うだけなのに、こんな時間に帰ったらいくらあいつでも怪しむかな。ま、何か言っても「うるせぇ」と一言言えば黙るし別にいっか。
俺のことが好きすぎて、別れたくないから俺の言うことを聞くだけのbotちゃん。最近正直ウザかったし、何か言われたら「別れる」って言ってやろ。そうしたらあいつは黙るはずだ。
飽きたしウザいけど便利なんだよな。飯も掃除も全部やってくれるし、いなくなったらなったで面倒くさい。梨花はないけど、もっといい奴見つけたらあいつと入れ替えすっか。お、名案!
家であるマンションに到着し、鍵を開けて扉を開ける。だが部屋の中は真っ暗だった。
「あ? あいつ、もう寝たのか?」
まだ十二時だぞ。俺が帰ってくるまで待てなかったのかよ。なんか腹立つな。
ムカムカした気持ちが膨れ上がって、あいつに一言言ってやろうと寝室の扉を開けた。電気をつけて怒鳴ってやろうと息を吸い込んだその時、ベッドには誰もいないことに気が付いた。
「は? あいつどこにいんの?」
更にムカついた俺は、そこらじゅうの電気をつけてあいつを探した。だけど風呂場にもトイレにもどこにもあいつはいなかった。
「クソがっ! どこにいきやがった!」
スマホを取り出し電話をかけるもあいつは出ない。ただコール音だけが鳴り続き、更にイライラとした。
帰ってきたらタダじゃおかねぇ。絶対別れ話突き付けてやる。
そう決めていつものスウェットに着替えるとさっさと寝ようと横になる。だがイライラした気持ちが止まらずなかなか寝付けなかった。
だがそれから数日。あいつは帰ってくることはなかった。
そして俺のスマホには知らない番号からの着信が数回。最初は無視していたが、流石にウザくなって着信拒否にしてやった。これで静かになる。そう思った翌日の夜。
飯を作るのも面倒でコンビニで適当に買って帰宅すると、家の前に知らない男が立っていた。
「……ここ、俺んちなんですけど、なんか用っすか?」
「え……? あの、すみません、こちらに菅野晴翔さんが住んでいらっしゃったかと思うのですが……」
「……同居人っす。それよりアンタは?」
「あ、申し遅れました。わたくし、菅野さんの上司で上野といいます」
そいつが名刺を取り出し上司だと名乗った。名刺に書かれた会社名は、確かにあいつが勤めていた会社の名前だ。じゃあ上司だというのは嘘じゃないんだろう。だがなんでこんなところに。
「先ほど何度かチャイムを鳴らしたのですが……菅野さんはどこかにお出かけなのでしょうか?」
「は? どういうことっすか? あいつなら数日前から帰ってきてないっすよ」
「え? 帰ってきていない?」
どうやらこの上野とかいう奴によると、あいつは会社も無断欠勤していたらしい。ということは誰にも何も言わず、勝手に何処かに行ったってことだ。
そしてここ最近かかってきていた電話は、あいつの会社の番号だったそうだ。緊急連絡先として俺の番号を登録していたらしい。すっかり忘れていたけど、そういやそんなこと言ってたな。
「あの、確か菅野さんってご両親はいらっしゃいませんでしたよね? だから同居人であるあなたの番号を緊急連絡先にしていたはずで……あなたも菅野さんがどこに行かれたのかもご存知じゃないんですね?」
「知らないっすね。まぁでもあいつも大人だし大丈夫っしょ」
「……そうですか。わかりました。ではこれで失礼します」
ちょっと不可解そうな顔をして、上野とかいう男は帰っていった。
ってかあいつ、会社も行かずどこほっつき歩いてんだ。俺に迷惑かけんじゃねぇよ。あー、またムカついてきた。
イライラした気持ちのまま、買ってきたコンビニ弁当に口を付ける。最近ずっとこんなモンばっか食ってて飽きてきた。ずっとあいつが飯作ってたし、こんな弁当なんて久しぶりだ。だけど正直あんまり美味くない。
ビールで適当に流し込んで、飯を終わらせた。
そして週末。晴翔がいないから、と梨花を家に呼んでいた時だ。イチャイチャして、いい雰囲気になったし押し倒そうとしたタイミングでチャイムが鳴った。
誰だと思って玄関ののぞき窓から見るとそこにいたのは警察官二人。居留守はヤバいかと思って扉を開けた。
「……なんっすか?」
「突然申し訳ありません。こちら菅野晴翔さんのご自宅でお間違いないですね?」
「……そうっすけど」
どうやらこの警察官は、あいつの会社から捜索願を出されてここを訪ねて来たようだった。
それから質問攻めにあった。あいつがどこに行ったのか本当に知らないのか、最近悩んでいた様子はなかったのか、行きそうなところに心当たりはないか、そんなことをいろいろと聞かれ、挙句に俺があいつに何かしたんじゃないのかなんて疑いまでかけられた。
ふざけんなよ。あいつが勝手にどっか行っただけで、なんで俺が犯人みたいに言われなきゃいけないんだ!
知らぬ存ぜぬを繰り返し、何かわかったことがあれば教えて欲しいと言って、警察官は帰っていった。
「チッ! クソがっ……!」
「……流星、あたし帰るね」
「は? なんでだよ!?」
「じゃあね! ばいばい!」
梨花は鞄を持つとバタバタと急ぎ部屋を出て行った。折角抱いてやろうと思ってたのに。やっぱあいつも使えねぇ。
警察官に質問攻めにあったイライラと、クソ女で発散してやろうと思ってのに出来なくなって更にイライラが募っていく。
「どいつもこいつもふざけんな!」
財布を手に取ると、酒でも買おうとコンビニへ向かった。
それから数日。
「うっそ~! 宮川さんてゲイだったの!?」
「し~っ! 声デカいって!」
「ごめんごめん。ってか梨花、あんたなんでそんなこと知ってんの?」
「実はね、宮川さんと付き合ってたんだけどさ。この前あの人の家に警察が来たんだよね」
「マジで!?」
「同棲していた恋人が男だってことにも驚いたんだけどさ、その人失踪したらしいよ。それで宮川さんが犯人かも知れないって……」
「え……!? なにそれヤバくない!?」
仕事で一区切りついたからと、自販機で何か買おうとオフィスを出た時だ。梨花がぺらぺらと喋っている場に遭遇した。その話を聞いて一気に体が熱くなる。
「おいッ! てめぇ、何勝手なこと言ってやがるッ!」
「きゃっ! み、宮川さんっ……!?」
クソ女の胸倉を掴んでやろうと手を出したら、そのクソ女を庇って別の女が割り込んできた。
「ちょっと!? いきなり何すんの!?」
「どけっ! てめぇに関係ねぇだろうが! おい、梨花! てめぇふざけんなよ!」
「な、なによ! 恋人が女だって嘘ついてたくせに! それに流星が何かしたんじゃないかって警察の人も言ってじゃん!」
「俺は知らねぇって言っただろうが! おい! しかも俺がゲイとか適当なことべらべら喋んじゃねぇッ! くそっ! 邪魔だっ! どけっ!」
「きゃっ!」
「陽子ちゃん! ……ってきゃー! 痛いっ! 放してっ!」
ここ最近ずっとイライラしてて、それがとうとう爆発した。目の前の邪魔な女を突き飛ばし、クソ女の髪を掴む。そのまま上へ引っ張り上げて顎を鷲掴みにした。
「だ、誰かー! 誰か来て! 宮川さんが暴力振るってるっ!」
「おい! クソ女ッ! ふざけんじゃねぇ!」
顎を掴んだ手に力を込めてやった。クソ女はぽろぽろ涙を零し震えてやがった。ふざけんな。こうなったのはお前のせいだろうが。
顎を掴む手でガクガクと揺さぶりをかける。クソ女は苦痛に顔を歪ませた。だが俺はまだ気が晴れない。どいつもこいつも俺をバカにしやがって。
「おい! お前何をやってるっ!」
「ぐあっ……!」
クソ女を甚振ることに夢中になりすぎて、他の社員が来たことにも気が付かなかった。男数人に取り押さえられ、そして俺は警察に連れて行かれた。
取り調べを受け、一晩留置所に入れられ、翌朝家に帰るも俺は会社をクビになった。
「ふざけんなっ! 俺が何をしたっていうんだよ!」
なんでこの俺がこんな目に遭わないといけないっ……! なんでこんなことになったんだ!
「晴翔だ……あいつがいなくなったから……あいつのせいじゃねぇかっ!」
ずっとそのまま放置していたあいつの部屋へと入る。整理整頓されたこの部屋はずっと変わらない。それがあいつらしくて、益々腹が立った。
あいつのベッドや服、パソコンなんかをめちゃくちゃに破壊する。そして二つ並んだ位牌が目に入った。それを鷲掴み、上から思いっきり叩きつける。何度も叩きつけると位牌は割れた。
ハッ、いい気味だ。お前らの息子のせいで俺は散々な目に遭ったんだ。どうしてくれるっ!
それからも手あたり次第、あいつの部屋をめちゃくちゃにしてやった。はぁはぁと息も荒くなったが、気分は幾分か晴れた。
それからしばらくして、俺は小さな会社に就職した。だがそこは前の会社よりかなり酷く、ブラックすぎて辛くて辞めた。
また別の会社に就職するも、今度は給料が低すぎる。また辞めて別の会社に就職した。
だが今度は会社の人間がクソだった。短期間で会社を転々としていたことがバレて、俺の人間性がヤバいとか言われて笑われた。腹が立ってそいつを殴ってしまい、また俺は警察に連れて行かれてしまった。
「クソがッ……! 全部、全部あいつのせいじゃねぇかッ……!」
晴翔っ……! 絶対お前を見付けてやるっ! 俺がこんな目に遭ったのは全部お前のせいだ! 落とし前付けさせてやるっ!
* * * * * * * *
お読みいただきありがとうございました!
自分で書いててメンタルやられそうになりました(笑)
また番外編をあげる予定をしていますが、こちらはハルトのその後のお話です。ほっこり(?)エピソードをご用意しましたので、しばらくお待ちください。
それと『著者近況』のところにも書いたのですが、来月二月に書下ろし書籍が発売されます。
その書影が解禁されたタイミング(恐らく今月末頃)で、次の番外編を公開しようと思います。(著者近況のところだと、画像が載せられないんです……)
超美麗な書影を是非見てやってください!
流星のその後が気になるというお声をいくつかいただいていたので、ご用意いたしました。
流星視点で見れば、ただのバッドエンドです(;^_^A ちょっと暗いというか辛い目に遭っているので、ざまぁではありますが、読まれる方はお気をつけてどうぞ……
* * * * * *
「ハッ、チョロい女」
最近相手にするようになった梨花は会社の後輩だ。
まぁまぁ可愛いし、俺に気があるようだったからちょっと声をかけたら簡単に体を開きやがった。簡単すぎてウケる。
最近ずっと男相手だったから、柔らかいおっぱいが久しぶりでそれはよかったんだけど。でもあいつの声キャンキャン煩いから、あと数か月遊んだらポイだな。
ホテルから最寄りの駅で別れて帰宅。時刻は夜の十二時。盛り上がりすぎて疲れたのか、あのまま寝てしまって予定よりも遅くなってしまった。
外で飯を食うだけなのに、こんな時間に帰ったらいくらあいつでも怪しむかな。ま、何か言っても「うるせぇ」と一言言えば黙るし別にいっか。
俺のことが好きすぎて、別れたくないから俺の言うことを聞くだけのbotちゃん。最近正直ウザかったし、何か言われたら「別れる」って言ってやろ。そうしたらあいつは黙るはずだ。
飽きたしウザいけど便利なんだよな。飯も掃除も全部やってくれるし、いなくなったらなったで面倒くさい。梨花はないけど、もっといい奴見つけたらあいつと入れ替えすっか。お、名案!
家であるマンションに到着し、鍵を開けて扉を開ける。だが部屋の中は真っ暗だった。
「あ? あいつ、もう寝たのか?」
まだ十二時だぞ。俺が帰ってくるまで待てなかったのかよ。なんか腹立つな。
ムカムカした気持ちが膨れ上がって、あいつに一言言ってやろうと寝室の扉を開けた。電気をつけて怒鳴ってやろうと息を吸い込んだその時、ベッドには誰もいないことに気が付いた。
「は? あいつどこにいんの?」
更にムカついた俺は、そこらじゅうの電気をつけてあいつを探した。だけど風呂場にもトイレにもどこにもあいつはいなかった。
「クソがっ! どこにいきやがった!」
スマホを取り出し電話をかけるもあいつは出ない。ただコール音だけが鳴り続き、更にイライラとした。
帰ってきたらタダじゃおかねぇ。絶対別れ話突き付けてやる。
そう決めていつものスウェットに着替えるとさっさと寝ようと横になる。だがイライラした気持ちが止まらずなかなか寝付けなかった。
だがそれから数日。あいつは帰ってくることはなかった。
そして俺のスマホには知らない番号からの着信が数回。最初は無視していたが、流石にウザくなって着信拒否にしてやった。これで静かになる。そう思った翌日の夜。
飯を作るのも面倒でコンビニで適当に買って帰宅すると、家の前に知らない男が立っていた。
「……ここ、俺んちなんですけど、なんか用っすか?」
「え……? あの、すみません、こちらに菅野晴翔さんが住んでいらっしゃったかと思うのですが……」
「……同居人っす。それよりアンタは?」
「あ、申し遅れました。わたくし、菅野さんの上司で上野といいます」
そいつが名刺を取り出し上司だと名乗った。名刺に書かれた会社名は、確かにあいつが勤めていた会社の名前だ。じゃあ上司だというのは嘘じゃないんだろう。だがなんでこんなところに。
「先ほど何度かチャイムを鳴らしたのですが……菅野さんはどこかにお出かけなのでしょうか?」
「は? どういうことっすか? あいつなら数日前から帰ってきてないっすよ」
「え? 帰ってきていない?」
どうやらこの上野とかいう奴によると、あいつは会社も無断欠勤していたらしい。ということは誰にも何も言わず、勝手に何処かに行ったってことだ。
そしてここ最近かかってきていた電話は、あいつの会社の番号だったそうだ。緊急連絡先として俺の番号を登録していたらしい。すっかり忘れていたけど、そういやそんなこと言ってたな。
「あの、確か菅野さんってご両親はいらっしゃいませんでしたよね? だから同居人であるあなたの番号を緊急連絡先にしていたはずで……あなたも菅野さんがどこに行かれたのかもご存知じゃないんですね?」
「知らないっすね。まぁでもあいつも大人だし大丈夫っしょ」
「……そうですか。わかりました。ではこれで失礼します」
ちょっと不可解そうな顔をして、上野とかいう男は帰っていった。
ってかあいつ、会社も行かずどこほっつき歩いてんだ。俺に迷惑かけんじゃねぇよ。あー、またムカついてきた。
イライラした気持ちのまま、買ってきたコンビニ弁当に口を付ける。最近ずっとこんなモンばっか食ってて飽きてきた。ずっとあいつが飯作ってたし、こんな弁当なんて久しぶりだ。だけど正直あんまり美味くない。
ビールで適当に流し込んで、飯を終わらせた。
そして週末。晴翔がいないから、と梨花を家に呼んでいた時だ。イチャイチャして、いい雰囲気になったし押し倒そうとしたタイミングでチャイムが鳴った。
誰だと思って玄関ののぞき窓から見るとそこにいたのは警察官二人。居留守はヤバいかと思って扉を開けた。
「……なんっすか?」
「突然申し訳ありません。こちら菅野晴翔さんのご自宅でお間違いないですね?」
「……そうっすけど」
どうやらこの警察官は、あいつの会社から捜索願を出されてここを訪ねて来たようだった。
それから質問攻めにあった。あいつがどこに行ったのか本当に知らないのか、最近悩んでいた様子はなかったのか、行きそうなところに心当たりはないか、そんなことをいろいろと聞かれ、挙句に俺があいつに何かしたんじゃないのかなんて疑いまでかけられた。
ふざけんなよ。あいつが勝手にどっか行っただけで、なんで俺が犯人みたいに言われなきゃいけないんだ!
知らぬ存ぜぬを繰り返し、何かわかったことがあれば教えて欲しいと言って、警察官は帰っていった。
「チッ! クソがっ……!」
「……流星、あたし帰るね」
「は? なんでだよ!?」
「じゃあね! ばいばい!」
梨花は鞄を持つとバタバタと急ぎ部屋を出て行った。折角抱いてやろうと思ってたのに。やっぱあいつも使えねぇ。
警察官に質問攻めにあったイライラと、クソ女で発散してやろうと思ってのに出来なくなって更にイライラが募っていく。
「どいつもこいつもふざけんな!」
財布を手に取ると、酒でも買おうとコンビニへ向かった。
それから数日。
「うっそ~! 宮川さんてゲイだったの!?」
「し~っ! 声デカいって!」
「ごめんごめん。ってか梨花、あんたなんでそんなこと知ってんの?」
「実はね、宮川さんと付き合ってたんだけどさ。この前あの人の家に警察が来たんだよね」
「マジで!?」
「同棲していた恋人が男だってことにも驚いたんだけどさ、その人失踪したらしいよ。それで宮川さんが犯人かも知れないって……」
「え……!? なにそれヤバくない!?」
仕事で一区切りついたからと、自販機で何か買おうとオフィスを出た時だ。梨花がぺらぺらと喋っている場に遭遇した。その話を聞いて一気に体が熱くなる。
「おいッ! てめぇ、何勝手なこと言ってやがるッ!」
「きゃっ! み、宮川さんっ……!?」
クソ女の胸倉を掴んでやろうと手を出したら、そのクソ女を庇って別の女が割り込んできた。
「ちょっと!? いきなり何すんの!?」
「どけっ! てめぇに関係ねぇだろうが! おい、梨花! てめぇふざけんなよ!」
「な、なによ! 恋人が女だって嘘ついてたくせに! それに流星が何かしたんじゃないかって警察の人も言ってじゃん!」
「俺は知らねぇって言っただろうが! おい! しかも俺がゲイとか適当なことべらべら喋んじゃねぇッ! くそっ! 邪魔だっ! どけっ!」
「きゃっ!」
「陽子ちゃん! ……ってきゃー! 痛いっ! 放してっ!」
ここ最近ずっとイライラしてて、それがとうとう爆発した。目の前の邪魔な女を突き飛ばし、クソ女の髪を掴む。そのまま上へ引っ張り上げて顎を鷲掴みにした。
「だ、誰かー! 誰か来て! 宮川さんが暴力振るってるっ!」
「おい! クソ女ッ! ふざけんじゃねぇ!」
顎を掴んだ手に力を込めてやった。クソ女はぽろぽろ涙を零し震えてやがった。ふざけんな。こうなったのはお前のせいだろうが。
顎を掴む手でガクガクと揺さぶりをかける。クソ女は苦痛に顔を歪ませた。だが俺はまだ気が晴れない。どいつもこいつも俺をバカにしやがって。
「おい! お前何をやってるっ!」
「ぐあっ……!」
クソ女を甚振ることに夢中になりすぎて、他の社員が来たことにも気が付かなかった。男数人に取り押さえられ、そして俺は警察に連れて行かれた。
取り調べを受け、一晩留置所に入れられ、翌朝家に帰るも俺は会社をクビになった。
「ふざけんなっ! 俺が何をしたっていうんだよ!」
なんでこの俺がこんな目に遭わないといけないっ……! なんでこんなことになったんだ!
「晴翔だ……あいつがいなくなったから……あいつのせいじゃねぇかっ!」
ずっとそのまま放置していたあいつの部屋へと入る。整理整頓されたこの部屋はずっと変わらない。それがあいつらしくて、益々腹が立った。
あいつのベッドや服、パソコンなんかをめちゃくちゃに破壊する。そして二つ並んだ位牌が目に入った。それを鷲掴み、上から思いっきり叩きつける。何度も叩きつけると位牌は割れた。
ハッ、いい気味だ。お前らの息子のせいで俺は散々な目に遭ったんだ。どうしてくれるっ!
それからも手あたり次第、あいつの部屋をめちゃくちゃにしてやった。はぁはぁと息も荒くなったが、気分は幾分か晴れた。
それからしばらくして、俺は小さな会社に就職した。だがそこは前の会社よりかなり酷く、ブラックすぎて辛くて辞めた。
また別の会社に就職するも、今度は給料が低すぎる。また辞めて別の会社に就職した。
だが今度は会社の人間がクソだった。短期間で会社を転々としていたことがバレて、俺の人間性がヤバいとか言われて笑われた。腹が立ってそいつを殴ってしまい、また俺は警察に連れて行かれてしまった。
「クソがッ……! 全部、全部あいつのせいじゃねぇかッ……!」
晴翔っ……! 絶対お前を見付けてやるっ! 俺がこんな目に遭ったのは全部お前のせいだ! 落とし前付けさせてやるっ!
* * * * * * * *
お読みいただきありがとうございました!
自分で書いててメンタルやられそうになりました(笑)
また番外編をあげる予定をしていますが、こちらはハルトのその後のお話です。ほっこり(?)エピソードをご用意しましたので、しばらくお待ちください。
それと『著者近況』のところにも書いたのですが、来月二月に書下ろし書籍が発売されます。
その書影が解禁されたタイミング(恐らく今月末頃)で、次の番外編を公開しようと思います。(著者近況のところだと、画像が載せられないんです……)
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