推しのために、モブの俺は悪役令息に成り代わることに決めました!

華抹茶

文字の大きさ
3 / 17
1巻

1-3

 ペレスも俺が本気で打ち込んでいるとわかって、最初の疑いは完全に晴れたようだ。俺が遅くまで勉強しているのに付き合い、そのせいで家に帰るのも深夜に近い。可愛い妹との時間も少なくなったのに文句の一つも言ったことがない。むしろ俺が「もう帰っていいぞ」と言っても「ほっとけるわけねぇだろ」と最後まで面倒を見てくれる。本当にありがたい存在だ。
 そんなペレスには俺からボーナスを支給している。もちろん俺が渡されている小遣いからだ。ちゃんと頑張ってくれている人に報いるのは当然のこと。初めてボーナスを渡した時のペレスは、感激のあまり「エルバート様! 愛してる!」と力いっぱい抱きしめてきた。俺にそのはないからゾゾゾッと鳥肌が立ったのは言うまでもない。
 先に言っておくが、俺は同性愛者ではない。ではなぜBLゲームなんぞやっていたかといえば腐男子だったからだ。そしてこの世界は魔法があり、男同士であっても魔法で子供が作れる。だから王太子とアルノルト様が婚約を結ぶことが出来たのだ。
 これは『ファシラブ』の設定にもあった内容だが、この世界も差異がない。そのためこちらでは男同士でのカップルや結婚は珍しくもなんともないのだ。
 ちなみに俺はアルノルト様に一目惚れして、アルノルト様を推しとして相当な金をつぎ込んでいたが、リア恋でもガチ恋でもない。アルノルト様は推しでありたっとぶべき神であり俺の命。俺にとってアルノルト様はいろんなものを超越した特別な存在だ。


 毎日毎日、勉強と運動を必死にやっていると時間はあっという間に過ぎていく。いつの間にか一年が経ち、兄上のベンジャミンが学園を卒業して家に帰ってきた。学園がある王都が楽しかったのか、長期休みでも帰ってこなかったから随分と久しぶりに兄上の顔を見た。記憶が戻ってからは初めてだな。

「エルバート!? お前、そんなにやつれて一体どうしたんだ!?」
「……いや、やつれてないし。まだ脂肪付いてるし」

 兄上は相変わらずのおデブちゃんで、むしろ前よりパワーアップしていた。王都でどれだけ美味いものを食ってきたのか。動くのも辛そうだ。服はぴっちぴちだし、実際今もちょっと息上がってるし。しかも手には菓子の袋を持っていて、口の周りにはその食べかすが……汚ねぇな。
 というか授業中にずかずかと入ってくるんじゃない。今はウォーカー先生の授業だったからよかったものの、これがコポック先生だったら嫌味の一つや二つ、いや、百は言われているぞ。

「しかもお前、勉強してるのかよ!? 嘘だろ!? 父上が言ってたこと、本当だったのか……」

 俺が授業をまともに受けている様子を見た兄上は、大袈裟なくらい驚いていた。どうやら俺が優秀クラスを目指していることは聞いていたらしいが、そんな馬鹿なと信じていなかったんだろう。

「お前、頭の出来も悪いくせに勉強したって優秀クラスは無理だろ。諦めろ。ごろごろするのは楽しいぞ~。あ~菓子も美味いなぁ」

 兄上は授業中だとわかっているのに出ていく素振りも見せず、俺を誘惑することにしたようだ。その上、持っていたお菓子を見せつけるようにもりもり食べながら。っておい、部屋に食べかすが落ちたじゃないか! 誰の部屋だと思ってんだ!
 確かに俺の頭じゃ優秀クラスに入るのは至難のわざだ。そんなことわざわざ言われなくてもわかってる。だけど諦める気なんてサラサラないし、アルノルト様のためにも俺はやらなきゃいけないんだ。そんなちんけな誘惑に負けると思うなよ。

「エ、エルバート様は非常に優秀です! 倒れてしまうんじゃないかと思うくらい、毎日頑張っておられます!」

 ウォ、ウォーカー先生っ……! 気弱で大人しい人なのに、ヘイクラフト家の長男に向かって俺を庇ってくれるなんて! やばい……感激しちゃった。勇気を出して言ってくれたんだろう。体はプルプル震えているし、ちょっと涙目にもなっている。
 ヘイクラフト家の人間に向かって反抗的な態度を取るなんて自殺行為だ。何をされるかわかったもんじゃない。それなのに俺を庇ってくれたウォーカー先生。更に好感度爆上がりだ。
 そして兄上は反論されたことがムカついたようで、ウォーカー先生を視線で殺しそうなほど睨みつけている。これからの流れが手に取るようにわかってしまう。兄上は絶対こう言うだろう。

「お前! この俺に反抗する気か!? 父上に言いつけてやるぞ!」

 ってね。はい、大正解。ウォーカー先生ますます震えちゃったじゃん。ってか勝手に授業中に入ってきておきながら俺のウォーカー先生を脅してんじゃねぇよ。

「そういう兄上はどうなんですか? 学園はどうだったんです? 友人の一人や二人出来ましたか? 婚約者候補は見つかりましたか? まさか後継者なのにどれも出来ていないなんて言いませんよね? まぁその頭と体じゃ無理でしょうけど」

 小馬鹿にするようにそう言ってやると兄上は簡単に挑発に乗ってくれ、顔を真っ赤にして俺を睨みつけた。実に単純で扱いやすい。
 元々兄上との仲は良くも悪くもない。というよりも、本当に小さな頃以外は関わりがなかった。この家の人間は自分の趣味や娯楽を優先するため、たとえ家族であっても必要以上に接することはない。
 父上も母上も子育てなんか乳母うばに任せっきりだし、ずっと俺のことは放置だった。だからか親への情というものは前世と比べるまでもなく薄っぺらいものだ。兄上も同様で自分の好きなことを見つけたら俺の存在なんて忘れていただろう。
 だから今世の俺は家族への気持ちはほとんどない。ただ遺伝子上繋がっているだけの関係だ。むしろいつも俺を気にかけてくれているペレスやウォーカー先生、ドSだがしっかり勉強を教えてくれるコポック先生の方が好感が持てるし大切にしたい存在だ。

「兄に向かってよくもそんなことを言えたな! 別に俺が跡を継いでも他の奴が仕事をするんだから関係ないだろ! 婚約者候補だぁ? そんなものいなくても、その辺にいる平民の女でも男でもさらってはらませれば後継問題は解決だ!」
「ほ……本気で言ってる?」
「当たり前だろう」

 は? はぁぁぁぁぁ!? こ、こいつ、最低すぎだろッ!? 『はらませれば問題ない』だと!? てめぇそれは立派な犯罪だろうがッ! それを堂々と言ってる時点でお前は害悪だ! 害虫だ! いや、虫以下の存在だ! こんな奴と血が繋がっているなんて信じたくない! 気持ち悪すぎる!
 ウォーカー先生も側にいるペレスも嫌悪感が出まくったとんでもない表情になっている。この場にいるお前以外、全員同じ気持ちだぞ。

「ふん。どうせ父上も同じことを言うさ。平民なんぞ、俺達のかてにしかならないんだからな。奴らも俺達の役に立てるならさぞかし嬉しいと思うさ」

 もう無理。こいつと同じ場所にいたくない。同じ空気吸いたくない。視界に入れたくない。ここまで人に対して嫌悪感を抱いたのは初めてだ。これがヘイクラフト家の人間なのか……無理だろ。この家が散々だってことはわかっていたけど、ここまでだったとは……今すぐこいつら全員ぶっ潰してぇ……!
 だが悔しいことに俺は今子供で何もやれることがない。でも俺は学園入学後、アルノルト様に代わって断罪されるために悪役令息になるんだ。その時は、この家が取り潰しになるようめちゃくちゃに暴れてきてやる。せいぜいこの先短い人生を謳歌おうかするんだな。てめぇら全員、ぜってぇ許さねぇ。

「それはそうと兄上。今日はオルトロスの肉が入ったそうですよ。叔父上が討伐したらしいです。ですけどケチな叔父上らしく少量しかくれなかったみたいなので、父上達に全部取られる前に確保した方がいいんじゃないですか?」
「なに!? オルトロスだと!? こうしてはいられない! 今すぐ厨房ちゅうぼうに行ってくる!」

 兄上は今までの怒りを忘れて頭の中が『肉』で埋め尽くされたようだ。巨体の割には素早い動きでドタドタと部屋を出ていった。兄上がいなくなると、俺の口からはぁ、と大きなため息が勝手にれる。
 オルトロスは頭が二つある狼型の魔物のことだ。滅多に現れる魔物ではない上に、かなり強いので討伐するのも一苦労らしい。ゲームでも出てきた覚えがあるな。
 このオルトロスの肉は高級肉とされていて、一度食べるとあまりの美味しさに忘れられないと言われているそうだ。それがうちの領地で討伐され、叔父上が今朝届けてくれたのだとか。
 ケチなのに珍しいなと思ったら、どうやら自慢しに来たそうだ。それで『少しだけなら分けてやってもいい』と置いていった。
 どうしてそんなことを知っているのかと言えば、使用人の話を聞いたペレスが教えてくれた。ただ一人前くらいしか肉を置いていかなかったらしく、父上と母上で喧嘩けんかしているらしい。そこに兄上も参戦する、と。うーん、想像しただけで吐きそうだ。
 俺は別に興味ないからどうでもいいし、兄上をこの部屋から追い出せてちょうどよかった。もう二度とこの部屋に来ることはないだろうが、今度からは念のために鍵をちゃんとかけておこう。

「ペレスにウォーカー先生。めちゃくちゃ不快な思いさせてごめん」

 俺ですら気分が悪くなったんだから、この二人は尚更だろう。相手が平民だろうと他人を好き勝手に扱っていいはずがないのに、この家の人間は皆それが当たり前だ。俺もほとんど使ってないとはいえ、小遣い貰ったりしているし他人事じゃないんだよな。本当にごめんなさい……

「エルバート様が謝ることじゃないだろ」
「そうですよ。我々はエルバート様がそうじゃないと知っていますから大丈夫です」
「……ありがとう」

 ペレスには頭をくしゃって撫でられて、ウォーカー先生はにこにこ笑ってくれて。ちょっと安心した。


 猛勉強な毎日を過ごしてあっという間に更に三年の月日が流れた。あと一年後には、俺は王都へと向かい王立学園に入学する。この頃の俺はコポック先生のドSという名の献身的な教育のお陰で、遅れを取り戻せただけではなくかなり余裕を持てている。「はぁ……面白くない。いつか泣いてすがってくるかと思っていたのに」と不満を言わせることに成功した。ふっふっふ。勝った。
 体も当然、昔の面影おもかげなど微塵みじんもない。かなりスリムになり、筋肉もほどよく付いてくれた。これでアルノルト様の視界に入ったとしても安心だ。「でも痩せても顔は残念な結果だったな」とはペレスのげん。俺の顔は平凡の域を出ない、立派なモブ顔だった。
 貴族の血というのは優秀なのか、整った顔や美しい髪色、綺麗な瞳の色をしている人が多いという。だが俺は平凡な薄茶の髪にこげ茶の目。平民と言われた方がしっくりくる見た目だった。とはいえ俺はこの見た目に不満はない。モテたいなどとまったく思ってないし、俺の目的はアルノルト様の代わりに『悪役令息に成り代わる』ことだからだ。
 悪役令息としてヒロインの邪魔をし、暴言を吐く。そして最後はアルノルト様の代わりに断罪されて王都追放処分を受ける。このミッションを達成出来るのであれば、俺の見た目がどうであろうと関係ない。

「そうだ、ペレス。俺は来年学園に入学するために王都へ行く。その後はこの領地に戻るつもりがないと知っておいてくれ」
「どういうことだ?」

 入学まであと一年と迫った今、これからの計画を詰めておく必要がある。俺はこのヘイクラフト家がどうなろうと関係ないが、この家に関わった無実の使用人達、特にペレスに迷惑をかけるつもりはサラサラない。

「俺は来年、学園に入り『悪役令息』として立ち振舞うつもりだ」

 学園の入学式は、元が日本のゲームらしく四月だ。そして入学式から数ヵ月後にヒロインは入学してくる。ヒロインは子爵家の人間だが、養子だ。その子爵家には跡継ぎがおらず、遠縁の子を隣国から迎えたという設定になっていた。
 隣国とこの国では知っておくべき事柄が違う。主に学園で関わることになる貴族の子息子女についてや常識などだ。国が違えばいろいろと勝手が違うからな。それらを勉強してから入学するため、ヒロインだけは遅れて学園へ通う。
 そのせいか、ヒロインは入学してから非常に目立つ存在となる。容姿も貴族らしくとても整った美少年だ。淡いオレンジの髪にくりっとした琥珀色こはくいろの目、色白かつ小柄で非常に可愛らしい印象だ。そしてよく笑い快活で、誰からも好かれるような性格。攻略対象者達との会話の中にも、『君といると元気になれる気がするよ』といったものがある。
 けれど俺はどうしてもそうは思えなかった。俺にはヒロインがぶりっこに見えて仕方なかったのだ。リアクションは大袈裟なくらいだし、「やっちゃった♡」と自分の頭にこつんと可愛く拳骨げんこつをしてみたり、「○○様~! 助けてぇ~!」とよく誰かに甘えたり、「そうかな~?」と悩む仕草の時は人差し指を頬に当てて首を傾げたり、「僕、頑張るね!」と気合を入れる時は両手で拳を作って笑顔だ。
 ゲームファンからは「可愛い!」という声が圧倒的に多かったし、そういったのが好きな人もいるだろう。だが俺は非常に苦手なタイプだった。だからゲーム中もよく『キッツ……』と思っていた。それにどう見ても八方美人にしか見えず、やり方が汚いなんて思ってもいた。しかもヒロインはれっきとした『泥棒ネコ』だ。こんな奴、俺にしてみれば好きになれる要素など皆無だった。
 第一、俺が好きなのはアルノルト様だ。アルノルト様はクールで人を寄せ付けない性格ではあるが、一本芯の通ったようなりんとした強さがある。見た目の神々しさと相まって、とてもとてもカッコいいのだ。俺がぶりっこで八方美人なヒロインを好きになれるはずがない。
 ヒロインは、選んだ攻略対象者と恋に落ちる。その中でも一番人気だったストーリーが王太子ルートだった。婚約者のいる王太子との恋に葛藤するヒロイン。そして婚約者であるアルノルト様からの妨害に暴言。それでも最後に王太子はヒロインを選び、後の王妃となるシンデレラストーリー。
 胸糞悪いわ! なーにがシンデレラストーリーだ馬鹿野郎!! 美しくて魔力量も多くて優秀なアルノルト様という、素敵すぎる婚約者がいるくせにぽっと出のヒロインにうつつを抜かした浮気者なだけじゃねぇか!
 同じ男としてそれはそれは腹が立った、俺が一番嫌いなストーリーだ。だが王太子推しが非常に多く、この王太子ルートが大人気だった。二次創作でもよくこのカプの物語を目にしたものだ。
 しかしいくら人気のストーリーであろうとも、婚約者を捨てて浮気をした王太子を許せるわけがない。アルノルト様がヒロインに対し、妨害したり暴言を吐いたりしたのは至極当たり前のことだ。だって自分の婚約者が浮気してるんだぞ!? それを笑顔で見守れるわけがねぇだろうが!!
 アルノルト様を自分に置き換えてみれば、その辛さや悲しみ、悔しさがわかるってもんだ。王太子とヒロインを見ていたアルノルト様の気持ちを考えるとそれだけで泣ける。涙が止まらない。挙句にヒロインに対する態度が行きすぎていると、最後には婚約破棄に王都追放処分。そしてアルノルト様の家であるブレイズフォード公爵家の爵位降格処分まで。
 前世の俺はもう怒りに怒りまくった。浮気をしていた奴が、婚約者を捨ててその家まで断罪するとか正気じゃねぇってな。
 アルノルト様推し以外から見たアルノルト様は、それは立派な悪役だっただろう。最後に『ざまぁ』されて気分がよかったはずだ。だがアルノルト様推しの俺や腐女子の皆様は相当なお怒りだったさ。そんなアルノルト様推しの腐女子の皆様は、王太子とヒロインを逆断罪するという二次創作を作り出し、俺はその話を喜んで読んでいた。
 そしてこれが現実になればいいのに、どうしてアルノルト様が断罪されなければならないのかと悔しくて悔しくて仕方がなかった。
 しかし俺はこの世界に転生した。俺が望む、アルノルト様が断罪されない未来を作り出せるんだ。
 俺が悪役令息に成り代わりヒロインの妨害をすれば、断罪されるのは俺になる。その結果ゲームの通りなら俺は王都追放に。家も何かしらの処分を受けるだろう。俺の家はあくどい領地運営を行っているし、使用人の弱みを握って脅す非人道的なことを平気でやるようなところだ。降格処分じゃなくてお家取り潰しになる可能性だって考えられる。むしろそうなってくれればありがたい。こんな家、とっとと潰れてしまえばいいのだ。
 俺の状況はまさに悪役にうってつけ。至極真っ当に生きているアルノルト様と、アルノルト様の家の代わりに断罪されるにはちょうどいい。
 だから俺は学園に入学した後は領地に戻るつもりはないし、断罪された後はヘイクラフト家にも何かしらの処分が下るだろう。そうなった時のために、ペレスには心構えをしておいてほしかった。

「つまり。エルバート様はアルノルト様の代わりに悪役になって、最後は断罪され王都追放になる。領地に戻ることは出来るが、あんたはヘイクラフト家を捨ててどこかへ行く。そしてヘイクラフト家も処分を受けることで、最悪お取り潰しになるかもしれない、と。そういうことだな」
「ああ、そうだ。だからペレスもそのつもりでいてくれ。いつでもここを捨てて逃げられる準備をしておいてほしい」
「それも天啓ってやつか?」
「そうだ。この未来は必ず起こることになる」
「……そんな未来を信じろっていう方が無理があるが、今までのあんたを見ていれば嘘や冗談じゃないんだろうな。わかった。信じるよ」

 ペレスには事情を話すことが出来た。こいつのことだから後は自分でなんとかするだろう。
 それから俺は断罪された後について考えなければならない。王都追放になり、ヘイクラフト家にも戻らない。家を捨てて平民になってどこかで生きていくつもりだ。
 どこへ行くのかは後々考えても大丈夫だろう。一番肝心なのは、俺に何も財産がないことだ。追放された後、一人で生きていくためにはどうしたって金がいる。家から小遣いを貰っているが、断罪された後その金は全て没収されるだろう。そうなると移動するにもものを買うにも、仕事が見つかるまでの間に必要な金がなくなる。そうなっては本末転倒。俺は断罪されるために動くが、そこで死ぬつもりは毛頭ない。
 だから俺が断罪された後の資金を、学園に通っている間に用意する必要がある。それをどうするか……
 そんな時、ふと部屋の中に置かれていたぬいぐるみが目に入った。それもまったく可愛くもない不気味でリアルな魔物のぬいぐるみが。
 なぜかこの世界のぬいぐるみはこのリアルすぎて可愛さの欠片かけらもない不気味なものしかない。他にもっといろんなものがあってもいいと思うが、ぬいぐるみといえばこの魔物のぬいぐるみだ。確か今よりもっと小さい時にこのぬいぐるみを貰って、その時はあまりの怖さにギャン泣きした気がする。
 ただこの不気味なぬいぐるみは貴族平民関係なく、子供が必ずと言っていいほど買い与えられるものだ。そしてこれを使って『魔物討伐ごっこ』をして遊ぶ。俺も兄上とこのごっこ遊びをやった覚えがあるが、その時は兄上の身勝手に振り回されてボッコボコにされたんだよな。「悪い魔物はこうだ!」って言いながら、ぬいぐるみじゃなくて俺が殴られて泣いた記憶がある。
 確か当時はまだ三歳とかそれくらいだったはず。六つ上の兄にかなうわけもなく、されるがままで一日中悔しくて泣いていた。思い出したら腹が立ってきたぞ。
 まぁそんな嫌な思い出があるが、子供がごっこ遊びをする理由がちゃんとあって、平民は魔物を討伐してくれる貴族をたっとぶ心を養うため、そして貴族は誇りを持って魔物討伐の義務を果たすため。この二つを子供の時に覚えさせるためだ。それもあって、あれほどケチな父上だが魔物討伐に関してはちゃんと金を使っている。こう思うと子供の時の教育って大事だよな……

「あー! いいこと思いついた!」
「うお!? いきなり大声出すなよ! びっくりすんだろうが!」

 側にいたペレスがびくぅ! とビクつき、俺に悪態をつく。ペレスには悪いが、ひらめいてしまったのだから仕方ない。

「ペレス! 俺は王都に行ったら事業を始めるぞ!」

 俺は天才かもしれない。あまりのことにぞくぞくと武者震いを起こしている。
 この世界に可愛さの欠片かけらもない不気味なぬいぐるみしかないのなら、前世の世界にあったような超絶可愛いぬいぐるみを俺が作ればいいじゃないか!
 前世じゃ当たり前だった可愛いぬいぐるみは、この世界じゃ革命を起こすぞ! ねこちゃんやわんちゃん、くまさんにうさぎさんのぬいぐるみは、あっという間に人気が出るに違いない! どう考えたって不気味なぬいぐるみより、可愛いぬいぐるみの方が貰って嬉しいし部屋に飾っていても心がなごむ。
 そうと決まれば早速デザイン画を描くぞ! 紙とペンを取り出し、前世の記憶を頼りにぬいぐるみのデザイン画を描き出した。スラスラとペンを走らせ思いつく限り次々と描き起こしていたが、その一枚の紙を手にしたペレスが首を傾げた。

「……これ、なんの絵?」
「何って、ねこちゃんに決まってるだろうが」
「ねこちゃん……? え、エルバート様って絵がクッソ下手だな」
「な、なんだと……!?」

 俺は自分の絵を手にし、じっと見つめる。今俺が描いていたのはくまちゃんのぬいぐるみの絵だ。だがそこにあったのはまるで宇宙人のようなおぞましい何か。
 忘れてた……俺、絵がクッソ下手だったわ。
 アルノルト様を布教しようと二次創作で漫画を描こうとしたことがあるが、あまりの絵心のなさに断念した過去がある。

「これ、どんなものを描こうとしてたんだ?」

 ペレスにそう言われて、俺の頭の中にあるイメージを伝えられるだけ伝えた。するとおもむろにペンを持ったペレスが紙にサラサラと描いていく。こ、こいつっ……! 絵が上手い!
 ここはこうして、ここはこう。俺は指示を出し、そのたびにペレスは訂正して新たに描いていく。するとほどなくして俺が思い描いていた可愛いねこちゃんのぬいぐるみのデザイン画が出来上がった。

「ペレス、お前意外な才能があったんだな」
「いや、あんたが下手すぎなだけだろ」

 ペレスが失礼なことを言うのはいつものことだ。それを無視して、ペレスが描き上げたデザイン画をまじまじと見る。これならどういったものを作りたいと思っているか伝えやすいこと間違いない。ついでにうさぎさんやくまさんのぬいぐるみのデザイン画も、俺の指示のもと、ペレスに描いてもらった。
 お陰で俺が思い描いていた絵が全て揃ってしまった。これは大事に保管して、王都へ行く時に持っていこう。

「で、これをどうするんだ?」

 まだ俺の天才的ひらめきを知らないペレスに質問された。ふっふっふ。聞いて驚け。そして俺を敬いあがたてまつれ。

「このデザイン画を元に、可愛いぬいぐるみを作るんだ。それを王都で販売する」
「ぬいぐるみ?」
「そう。こんな不気味で恐ろしいぬいぐるみじゃなくて、誰しもが貰って嬉しい可愛いぬいぐるみだ」
「なるほどねぇ……実物を見てみないとわからねぇが、確かに斬新だと思うぜ」

 絵だけじゃなかなか伝わり切らないこともあるだろう。だが出来上がったこのぬいぐるみを見れば、ペレスも絶対欲しくなるはずだ。妹にあげたいから買わせてくれと、俺に懇願こんがんする姿が目に浮かぶ。
 王都に行ったらすぐにこのぬいぐるみを作ってくれるところを探そう。そしてそれを販売すれば、断罪後の資金を稼げる。

「これ、貴族平民関係なく売るのか?」
「え?」

 ペレスに何気なくそう聞かれて返答に困ってしまった。貴族に売るのは決定事項だったが、平民に売ることは考えてなかった。

「貴族用には金かけて豪華に作って、平民にはそれなりで作ったらどうだ?」
「なるほど! 差別化するのか! それなら貴族用には大きさも様々なものを作ったらよさそうだな!」

 前世の世界にもあったが、巨大なぬいぐるみというのもアリだ。子供が全身で抱き付ける大きさのぬいぐるみも、貴族なら問題なく買うだろう。平民用には生地を安いものにして、大きさも少し小さめのものを。高いぬいぐるみも展示しておけば、裕福な平民だったら買うはずだ。

「ペレス! お前天才だな!」
「今頃気付いたのかよ」

 購買意欲を刺激するように、限定商品を作るのもいい。貴族用にはいい生地だけじゃなく、リボンやレース、宝石を付けるのもアリだ。それをカスタマイズ出来る仕様もあったら、自分だけのぬいぐるみが作れるという触れ込みで更に人気が出るぞ!
 ああヤバい! アイディアが次々に湧いて止まらない! 忘れないよう今思いついたことは全てメモに残しておこう。
 よし! これはいけるぞ! ぬいぐるみの制作を請け負ってくれるところが見つかれば、俺の資金稼ぎに関しての悩みはクリアだな。売れなきゃ意味ないが多分大丈夫だろう。
 ペレスにはくれぐれもこの件をヘイクラフト家の人間にらすことのないよう釘を刺しておいた。「当たり前だろ」と言っていたから大丈夫だろう。この話がバレたら強欲な父上達のことだ。売り上げをごっそり持っていかれるのは目に見えている。そんなことにさせてたまるか。
 それから俺は悪役らしく振舞うための練習も始めた。俺は凶悪顔でもなんでもない。おまけにアルノルト様のように鋭い視線を送れるわけでもない。だから悪役らしい表情を研究する必要があった。

「んー……違うな。うーん……これも違うな」
「エルバート様、さっきから鏡の前で何やってんだ?」
「悪役令息として相応ふさわしい表情の練習だ。俺のこの顔じゃなかなか恐れおののかれるような表情にならなくて」
「まーた不思議なことやって……」

 ペレスは呆れていたが、これは必要なことだ。口でいくら暴言を放ったとしても、表情が緩いと怖さがない。あいつやべぇぞ、という悪役らしい表情を作れなければならないのだ。

「んー……お? これはなかなかいいんじゃないか? ペレス、ちょっと見てくれるか?」

 ペレスに向かって、なかなかいい出来だと思った悪役らしい表情を作る。すると。

「え、きも。怖っ」
「そうか! お前がそう言うなら成功だな!」
「いや、褒めてねぇよ」

 ペレスに怖いと言われたのなら大丈夫だろう。もう一度鏡の前でその表情を作る。鏡の中には『ニタァ……』と厭味いやみったらしく笑う俺の気持ち悪い顔が映し出されていた。これでヒロインに近付けば、あいつもさぞかし嫌だろう。ふふふ、これはいいぞ。

「いや、本気で気持ちわりぃって」

 ペレスにそんな褒め言葉を貰ったが俺は油断などしない。いつでもこの表情が作れるよう、毎日のルーティンの中にその練習も組み込んだ。


「これで僕の授業は終わりです」
「先生、ありがとうございました」
「はぁ……楽しいのは最初だけでした。泣いてわめいて暴れることを期待したんですがねぇ。最後までそれは叶いませんでしたよ」

 王立学園の入学まで残り三ヵ月となった今日。コポック先生の授業が最後を迎えた。
 五年前、やってくるなりのドSな授業と課題で死にそうになったが、今となってはいい思い出だ。あの地獄のようなしごきがあったからこそ、俺は遅れを取り戻しただけじゃなく優秀クラスに入れるほどの学力をつけることが出来た。

「これでなんの心配もなく王都へ向かえます。先生には感謝してますよ」
「この僕がこれだけ教えたんですから、ちゃんと優秀クラスに入ってくださいね。落ちたらお仕置きですので覚悟しておくように」
「そうはなりませんよ。きっとね。それにヘイクラフト家の俺が優秀クラスに入ったら、先生は引っ張りだこになるんじゃないですか? 俺がそうしてみせますよ。ただしその時はもっと優しく教えてあげてくださいね」

 後から知ったことなのだが、コポック先生がうちの家庭教師を引き受けた理由は、余所よそでドSすぎる授業をやったことで、ことごとく契約を打ち切りにされて仕事がなかったかららしい。あんな授業、俺以外に耐えられる人はごくわずかだろう。
 王都でもコポック先生の鬼畜な授業は有名になり、どこからも依頼が来なくなってしまった。そんな時、父上がコポック先生に俺の家庭教師になるよう依頼した。ヘイクラフト家と知って最初は断ろうとしたが、逆にこの家の人間なら好きなだけドSな授業をしても大丈夫だろうと引き受けたのだとか。
 結局俺は最後までやり遂げ、コポック先生からも「優秀クラスに入れるだけの知識は身についたでしょう」とお墨付きを貰うまでになった。ヘイクラフト家は悪い噂が絶えない家だが、そんな家の子供がコポック先生の授業を受けて優秀クラスに入ったとなれば、コポック先生の腕は相当高いということを知らしめることが出来る。
 そうすればコポック先生の今までの評判は塗り替わり、引く手あまたの教師となるだろう。

「言われなくてもわかっていますよ。僕のやり方が異常だったことくらい。でもいじめるのって楽しいんですよね。これからはほどほどにしておきますからご安心を」

 ……全っ然わかってねぇよ。その言葉のどこに安心出来る要素があるというんだ……
 まぁ確かに鬼畜だし何度も死にそうにはなったが、確実に実力をつけられたことは間違いない。耐えられる生徒が出てきてくれることを祈るのみだ。
 コポック先生の最後の授業はウォーカー先生も一緒に聞いていた。ウォーカー先生にとってもコポック先生から教われる最後の日だ。そしてこの家での家庭教師の仕事も最後となる。ヘイクラフト家に俺より下の兄弟はいないからな。

「エルバート様、今までよく頑張りましたね。学園に入学してもお元気で」
「ウォーカー先生もありがとうございました。次の勤め先でも頑張ってくださいね」

 ウォーカー先生は次の仕事先が決まっている。うちよりももっとストレスの少ないところのはずだからのびのびと授業をしてもらいたい。コポック先生からいろいろと教えてもらったお陰もあって、ウォーカー先生の授業もとてもわかりやすくなって楽しかった。きっと次の家では「ウォーカー先生に来てもらえてよかった」と言われることだろう。
 先生達を見送った後、俺は王都に向かう準備を始めた。入学まであと三ヵ月。この半月で荷物をまとめて引っ越しの準備を進める。この家を出たらもう二度と戻ってくるつもりはないから、ある程度整理しておくつもりだ。それが終わり次第、すぐに王都へとつ。半月かけて王都へと向かい、すぐに入学試験だ。結果が出るのは三週間後。そしてその一ヵ月後に入学式となる。


感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!? ※表紙のイラストはたかだ。様 ※エブリスタ、pixivにも掲載してます ◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」もあります。そちらも気になったら覗いてみてください。 ◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います

【完結】転生した悪役令息は、お望み通り近付きません

カシナシ
BL
「お前など、愛す価値もない」 ディディア・ファントム侯爵令息が階段から落ちる時見たのは、婚約者が従兄弟を抱きしめている姿。 (これって、ディディアーーBLゲームの悪役令息じゃないか!) 妹の笑顔を見るためにやりこんでいたBLゲーム。引くほどレベルを上げた主人公のスキルが、なぜかディディアに転生してそのまま引き継いでいる。 スキルなしとして家族に『失敗作』と蔑まれていたのは、そのスキルのレベルが高すぎたかららしい。 スキルと自分を取り戻したディディアは、婚約者を追いかけまわすのを辞め、自立に向けて淡々と準備をする。 もちろん元婚約者と従兄弟には近付かないので、絡んでこないでいただけます? 十万文字程度。 3/7 完結しました! ※主人公:マイペース美人受け ※女性向けHOTランキング1位、ありがとうございました。完結までの12日間に渡り、ほとんど2〜5位と食い込めた作品となりました!あああありがとうございます……!。゚(゚´Д`゚)゚。 たくさんの閲覧、イイね、エール、感想は、作者の血肉になります……!(o´ω`o)ありがとうございます!(●′ω`人′ω`●)

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

悪役令息を引き継いだら、愛が重めの婚約者が付いてきました

ぽんちゃん
BL
 双子が忌み嫌われる国で生まれたアデル・グランデは、辺鄙な田舎でひっそりと暮らしていた。  そして、双子の兄――アダムは、格上の公爵子息と婚約中。  この婚約が白紙になれば、公爵家と共同事業を始めたグランデ侯爵家はおしまいである。  だが、アダムは自身のメイドと愛を育んでいた。  そこでアダムから、人生を入れ替えないかと持ちかけられることに。  両親にも会いたいアデルは、アダム・グランデとして生きていくことを決めた。  しかし、約束の日に会ったアダムは、体はバキバキに鍛えており、肌はこんがりと日に焼けていた。  幼少期は瓜二つだったが、ベッドで生活していた色白で病弱なアデルとは、あまり似ていなかったのだ。  そのため、化粧でなんとか誤魔化したアデルは、アダムになりきり、両親のために王都へ向かった。  アダムとして平和に暮らしたいアデルだが、婚約者のヴィンセントは塩対応。  初めてのデート(アデルにとって)では、いきなり店前に置き去りにされてしまい――!?  同性婚が可能な世界です。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。  ※ 感想欄はネタバレを含みますので、お気をつけください‼︎(><)

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。