ライフ・サンクチュアリ ~追放された回復術師の第二の人生~

都一

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第17話:二回戦・闇の気配

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午後、二回戦が始まった。

対戦相手はシルバーウィング。魔法使い中心のギルドで、遠距離攻撃に特化している。

「厄介な相手だな」

トーマが資料を確認しながら呟いた。

「魔法攻撃は防ぎにくい。接近戦に持ち込めるかが鍵だ」

「リア、狙撃で魔法使いを牽制してくれ」

「了解です」

アシュの指示に、リアが頷いた。



試合が始まると、予想通りシルバーウィングは後方から魔法攻撃を仕掛けてきた。

「ファイアボール!」

「アイススピア!」

「ライトニングストライク!」

火、氷、雷——三属性の魔法が、次々と飛んでくる。

「散開!」

トーマとオズワルドが左右に分かれ、魔法を回避する。だが、広範囲攻撃は避けきれない。

「ぐっ......!」

トーマの肩に、ファイアボールが直撃した。

「トーマ!」

「大丈夫だ! アシュ、回復を!」

「ライフ・サンクチュアリ!」

温かい光が、トーマの傷を癒す。火傷の痕が、みるみるうちに消えていった。

「助かる!」

だが、魔法攻撃は止まらない。次々と魔法が放たれ、【ライフ・サンクチュアリ】のメンバーたちを追い詰めていく。

(このままじゃ、ジリ貧だ......)

アシュは、状況を打開する方法を考えた。

(前回みたいに、敵の動きを止める?)

(いや、それだと魔力を使いすぎる)

(別の方法は......)

その時、アシュの脳裏に、新たなアイデアが浮かんだ。

(【ライフ・サンクチュアリ】——生命の法則を操る力)

(なら、味方を強化することもできるんじゃないか?)

「トーマ、オズワルド! 俺の魔法に集中しろ!」

「どういうことだ!?」

「いいから!」

アシュは、ライフ・サンクチュアリを発動させた。

だが今度は、回復ではなく——「強化」を意識した。

温かい光が、トーマとオズワルドを包み込む。

すると——。

「......おお?」

トーマが、自分の体を見た。

「体が......軽い?」

「俺もだ」

オズワルドも、驚いた表情を浮かべた。

「まるで、若返ったみたいだ......」

実際、二人の動きは明らかに速くなっていた。筋力も上がり、反応速度も向上している。

「これなら......行ける!」

トーマが、シルバーウィングの魔法使いたちに向かって突進した。その速さは、先ほどの倍以上だ。

「速い!?」

魔法使いたちが、慌てて魔法を放つ。だが、トーマはすべて回避した。

「もらった!」

トーマの剣が、魔法使いの杖を弾き飛ばす。オズワルドも、別の魔法使いを制圧した。

「ギルドマスター、戦闘不能! ライフ・サンクチュアリの勝利!」

またしても、圧倒的な勝利だった。



試合後、控室に戻ると——。

「......すごいな、アシュ」

トーマが、感心したように言った。

「お前の魔法、回復だけじゃなく、強化もできるのか」

「......みたいだな」

アシュ自身も、驚いていた。

(ライフ・サンクチュアリ——この魔法、どこまでできるんだ?)

回復、蘇生、動き制限、そして強化。

すべて「生命」に関わる能力だ。

(まるで、生命そのものを自由に操れるみたいだ......)

その考えに、アシュは恐怖を覚えた。



だが、その夜——。

宿に戻る途中、アシュは妙な気配を感じた。

(......誰かに見られている?)

アシュは、周囲を警戒しながら歩いた。だが、姿は見えない。

(気のせいか......)

そう思いかけた時、路地裏から声がした。

「アシュ=ルーンフォード」

アシュは振り返った。

そこには——黒いローブを纏った男が立っていた。

「......ヴォイド」

「ご明察。私はヴォイドの幹部、セレン」

男は、フードを外した。三十代前半の、冷たい目つきをした男だ。

「何の用だ」

「用? 決まっているだろう」

セレンは、冷笑した。

「お前の力——ライフ・サンクチュアリを、我々に差し出してもらう」

「断る」

「即答か。だが、選択肢はないぞ」

セレンが指を鳴らすと、周囲の影から複数の人影が現れた。

「今度は、前回のようにはいかない」

「......」

「大人しく来れば、仲間は無事だ」

「......本当に?」

「ああ。我々が欲しいのは、お前の力だけだ」

アシュは、少し考えた。

(ここで戦えば、仲間が危険に晒される)

(だが、捕まるわけにもいかない......)

その時、背後から声がした。

「アシュ、一人で何してる?」

振り返ると、トーマとオズワルドが立っていた。

「トーマ!?」

「お前が戻らないから、心配して探しに来たんだ」

「......ちっ」

セレンが舌打ちした。

「邪魔が入ったか」

「今日のところは引くが——」

セレンは、アシュを睨んだ。

「——次は、確実に捕らえる。覚悟しておけ」

そう言い残し、ヴォイドの構成員たちは闇の中に消えていった。
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