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おまけの話
しおりを挟む俺、橙斗はユートと別れた後、中宮大学に進学した
別れる時、生活がすれ違ったからと言ったけど、本当はユートが人の目を気にしていたからだ
外ではなかなか手を繋がせてくれなかった
もちろん、嫌っていう感じではなかった
ただ人の目を気にしていた
俺は
「気にしなくていい」
と言ったけど、ユートは気にしていた
俺が陰で色々言われるのが嫌だったみたいだ
でも陰で言われているのは俺だけじゃない、ユートもだ
俺だってユートが言われるのは嫌だ
だから俺はあのカフェで別れを告た
ユートは
「……分かった。これからは仕事仲間としてよろしく」
と言って受け入れた
思いのほか、あっさりと受け入れられて少し寂しかったけれどユートらしいと思った
「橙斗くん!」
そう呼ばれて振り返るとそこには平木結さんがいた
彼女は走ってかけよってきた
ミスキャンパスに出られるほど可愛らしい彼女は、明るい性格もあり、人気者だ
笑顔がユートに似てる気がする
「次の講義、同じだったと思うから、一緒に行こ?」
そう言って彼女は俺の隣を歩き出した
「あ、橙斗くん!この前の雑誌買ったよ!すごい活躍だね!!」
同じサークルの先輩が声をかけてきた
俺は歌の他にモデルもやり始めた
「ありがとうございます」
街中で撮られた1枚の写真をきっかけに、本格的に活動を始めた
初めは「大斗」という名前でコンパニオンの1人だと公表するつもりだった
でもそれだとユートの素顔もいつかはバレてしまう
ユートは周りにちやほやされたくないと言っていたから俺は本名で活動している
「あのね、橙斗くん。今日の講義終わったら、話したいことがあるの」
平木さんが顔を赤らめて言った
「うん、いいよ」
そう返事をして、席についた
講義後
俺は平木さんに連れられて、公園に来ていた
ベンチに座って空をみた
少し雲がかった天気だ
「あのね、橙斗くんのことずっと好きだったの」
本当は気づいていた
でも気づいていないふりをした
「私と、付き合ってください!」
その顔はまるで、ユートが照れた時の顔に似ていた
空はさらに曇った
まるでこれ以上罪を増やすなといっているかのように
「……いいよ」
気づいたらそう返事をしていた
彼女は満面の笑みで笑った
空は雲で太陽の光を遮っていた
1ヶ月後
このままじゃダメだ
そう思った
彼女に、ちゃんと過去のことを話さないといけないと思った
付き合うことにした時はすぐ飽きると思った
けれど平木さんの心はそんなものじゃなかった
『平木さん、ちょっと話があるんだけど、いいかな?』
そう彼女にメールを送るとすぐに返信が返ってきた
『もちろん!』
俺たちは1週間に1度、必ず行くお店がある
カフェというよりレストランに近いその店に俺は平木さんを呼び出した
外は雨が降っていた
「びっくりした!橙斗くんからのメールってなかなかないもん!それで、話って?」
平木さんは席に着くなり聞いてきた
「これから俺が話すことを聞いて、少しでも嫌だと思ったら言って」
俺はゆっくりと話し始めた
香澄先輩のことを
そして、その事を知っても俺のことを好きになってくれたユートのことも
そのユートに似ていたから平木さんと付き合ったことも
話し終わって俺は平木さんをみた
彼女は俯いていた
「ごめん、こんな彼氏嫌だよね」
俺がそう言うと平木さんは顔を勢いよく上げ、
「そんなはずない!話してくれて、ありがとう」
と言った
俺は意外だった
まさかそんな答えが帰ってくるとは思わなかった
そして彼女の笑顔をみたとき、もうその笑顔はユートと重ならなかった
「愛しい」
心の中でそう思った
さっきまでの雨がうそのように空は晴れていた
それから俺たちは数えきれないほどデートをした
旅行にも何度も行った
衝突したこともあった
社会人になり、すれ違うこともあった
けれどその度にちゃんと向き合った
そうして付き合い始めて3年、5回目の旅行で俺は覚悟を決めた
彼女に跪き、指輪を取り出して
「俺と結婚してください」
とシンプルにプロポーズした
彼女は涙ぐんで頷いてくれた
数ヶ月後
結婚式を挙げた
ユートが来てくれて、嬉しかった
ユートは
「可愛い嫁さんだな」
と言ってくれた
俺はユートを好きになったことを後悔していない
ユートとの日々があったから今の俺がいる
「でしょ」
あの頃と同じ笑顔で俺はこたえた
「……幸せに、なれよ」
「……!はい」
ユートとの日々に感謝して俺は歩いていく
彼女と、結と歩いていく
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とても素敵な作品でした。ありがとうございます!
最初から最後まで楽しく読ませていただきました。
内容は面白かったのですが最後、ユートさんと北山さんがどうなったのかを知りたいです。
続編があるのなら楽しみにしています♪
感想ありがとうございます!
別れた時のユートや大斗の気持ちを詳しくするともっと楽しんでいただけましたでしょうか
本当はハッピーエンドで終わらせる予定だったんですけど「なんの捻りもなくて面白くないな」と思い、少し焦って書いてしまいました
個人的には「もし続編書くならその時でも良いかな」なんて緩い気持ちがありました
続編を書く際はまた楽しんでいただけるよう、頑張りますのでよろしくお願いします!