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1章:安藤日和(クラスの友達を一人作れ)
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翌日。
今日一日、目眩が起こることはなかったが、授業後に保健室を訪れた。
「いらっしゃい。こんな時間に来るとは珍しいな」
先生は相変わらずパソコンの前で作業を行なっている。
「保健だよりは無事に完成しました?」
「保健だより? 一体何のことだ?」
「昨日言ってたじゃないですか。もしかして、完成しなかったから記憶ごと消去したんですか?」
「昨日……ああ、あれのことか。冗談に決まってるだろ。保健だよりなんてとっくの昔に作り終えているよ。私を誰だと思ってる」
「冗談をいう場所ではなかったじゃないですか」
それに、先生が締め切りギリギリに保健だよりを作っていると言っても納得できる話だ。冗談なら、明らかにおかしいことにしてほしい。先月の保健だよりを作っているとか。
「安藤さんがいたからな。お前が下手なことを言わないように、ボケて時間を稼いだんだ」
「実際は何をやっていたんですか?」
「それは秘密? 大人の事情ってやつだ」
「そうですか……」
「で、君の話は何だ? 今話した感じだと目眩があるわけではなさそうだ」
「今日は病気関係ではないです。依頼について報告しようと思いまして」
「ああ。ご苦労。うまく達成できたみたいだな」
僕が結果を報告する前に、四宮先生は先取りして言う。
「知ってたんですか?」
「当たり前だ。保健室の前で喋ってただろ。盗み聞も、盗み見も、やり放題だった。それに、昼頃に安藤さんともう一人の女子が一緒に歩いているところを見た。いい笑顔だったよ。二人の様子を見ただけで仲がいいのは分かった」
「なら良かったです」
「案外難しい依頼だとは思ったが、うまくやってくれたみたいで何よりだ。一週間ほどで達成なのだから時間も申し分ない。それに、君は依頼の根本問題まで解決してくれた」
「根本っていうのは『いじめ』ですか?」
「そうだ。今日安藤さんの担任の先生が言っていたよ。いつもおちゃらけてる奴が今日は大人しかったってな。殺伐とはしていたらしいが」
殺伐としていた。何だか飯塚先輩に申し訳なさを感じる。そういうの嫌いな人だったもんな
「いじめ。それも他クラスのものを君は一時的にも止めたんだ。これは誇っていいことだと思うよ」
「でも、僕は禁じ手を使いましたから。素直には喜べません」
「教師失格、あるいは人間失格かもしれないが、私は暴力による強行突破も時には必要だと思う。話し合いで解決するのは、話し合いができる人間に関してだけだ。それ以外は暴力による執行が一番手っ取り早い。ただし!」
四宮先生は次に言うことが大事と言わんばかりに声を大きくした。
「暴力を続けると、自分自身が話し合いのできない人間になるかもしれないから注意するように。深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いている」
「引用なんて。厨二っぽいですね」
「必要なことは印象に残るように言わないといけないからね」
「しっかりと肝に銘じます」
でないと、桐花姉さんと同じになってしまうからな。僕としては何としても避けたい。なんてったって、僕をサンドバッグと見てる人なんだから。
「素直でよろしい。君の召使をレベル1からレベル2にアップさせてやろう」
「助手って話はどこに行ったんですか?」
「レベル100まで行ったら助手に昇格だ」
「先が長い……」
「はっはっは。私の隣はそんなに楽じゃないよ」
四宮先生は手を机の上に置いてコンコンと叩く。
「次の依頼ができるまでは休息だ。ゆっくり休みたまえ」
「やっぱりまだやるんですね」
「当たり前だ。残るレベル98まではきっちり働いてもらわないとな。それに、私のおかげで君は彼女をゲットしたんだ。感謝の依頼ぐらいしてもらわないとな」
「棚から牡丹餅に肖ろうとしないでください」
「良いだろ。別に。それとも、君から教えてもらったことを安藤さんに話して幻滅させてやろうか」
「それはやめていただきたいです」
幻滅はしないだろうが、日和のキャラが崩壊する恐れがある。理想と現実は区別しておかなければいけない。
「なに照れ笑いを浮かべている。気持ち悪いぞ」
頭で考えていたこととは裏腹に僕は喜んでいるらしい。理想どおりの日和もまた魅力的だと思っている自分がいるみたいだ。
「なーんか、ムカつくな。浮かれ陽キャ擬きめ。爆発させてくれよう」
四宮先生は近くにあったガムテープを手に取る。
これはまさか『ガムテープすね毛取り』をしようと企んでいるのではないだろうか。
「陽キャは爆発しないでしょ」
そう言って、後ろに歩を一歩進める。
「太陽は膨張を続けているんだ。爆発する可能性だってある。なら、陽キャも同じだろ」
逃げようとしているのを察すると、先生は瞬時に立ち上がり、僕との距離を近づけた。
「どう言う理屈ですか?」
「理屈など関係ない。とりあえず、私は君を犯したいんだよ」
「やるならせめて『わいせつ罪』にしてください」
「残念。私が行うのは『傷害罪』と決まっている」
結局、僕は先生に拘束されてガムテープですね毛を取られることとなった。
怖い人だが、この人のおかげで学校生活が充実しているのは確かかもしれない。
次の依頼の間、しばらく休息を取ることになった。
今日一日、目眩が起こることはなかったが、授業後に保健室を訪れた。
「いらっしゃい。こんな時間に来るとは珍しいな」
先生は相変わらずパソコンの前で作業を行なっている。
「保健だよりは無事に完成しました?」
「保健だより? 一体何のことだ?」
「昨日言ってたじゃないですか。もしかして、完成しなかったから記憶ごと消去したんですか?」
「昨日……ああ、あれのことか。冗談に決まってるだろ。保健だよりなんてとっくの昔に作り終えているよ。私を誰だと思ってる」
「冗談をいう場所ではなかったじゃないですか」
それに、先生が締め切りギリギリに保健だよりを作っていると言っても納得できる話だ。冗談なら、明らかにおかしいことにしてほしい。先月の保健だよりを作っているとか。
「安藤さんがいたからな。お前が下手なことを言わないように、ボケて時間を稼いだんだ」
「実際は何をやっていたんですか?」
「それは秘密? 大人の事情ってやつだ」
「そうですか……」
「で、君の話は何だ? 今話した感じだと目眩があるわけではなさそうだ」
「今日は病気関係ではないです。依頼について報告しようと思いまして」
「ああ。ご苦労。うまく達成できたみたいだな」
僕が結果を報告する前に、四宮先生は先取りして言う。
「知ってたんですか?」
「当たり前だ。保健室の前で喋ってただろ。盗み聞も、盗み見も、やり放題だった。それに、昼頃に安藤さんともう一人の女子が一緒に歩いているところを見た。いい笑顔だったよ。二人の様子を見ただけで仲がいいのは分かった」
「なら良かったです」
「案外難しい依頼だとは思ったが、うまくやってくれたみたいで何よりだ。一週間ほどで達成なのだから時間も申し分ない。それに、君は依頼の根本問題まで解決してくれた」
「根本っていうのは『いじめ』ですか?」
「そうだ。今日安藤さんの担任の先生が言っていたよ。いつもおちゃらけてる奴が今日は大人しかったってな。殺伐とはしていたらしいが」
殺伐としていた。何だか飯塚先輩に申し訳なさを感じる。そういうの嫌いな人だったもんな
「いじめ。それも他クラスのものを君は一時的にも止めたんだ。これは誇っていいことだと思うよ」
「でも、僕は禁じ手を使いましたから。素直には喜べません」
「教師失格、あるいは人間失格かもしれないが、私は暴力による強行突破も時には必要だと思う。話し合いで解決するのは、話し合いができる人間に関してだけだ。それ以外は暴力による執行が一番手っ取り早い。ただし!」
四宮先生は次に言うことが大事と言わんばかりに声を大きくした。
「暴力を続けると、自分自身が話し合いのできない人間になるかもしれないから注意するように。深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いている」
「引用なんて。厨二っぽいですね」
「必要なことは印象に残るように言わないといけないからね」
「しっかりと肝に銘じます」
でないと、桐花姉さんと同じになってしまうからな。僕としては何としても避けたい。なんてったって、僕をサンドバッグと見てる人なんだから。
「素直でよろしい。君の召使をレベル1からレベル2にアップさせてやろう」
「助手って話はどこに行ったんですか?」
「レベル100まで行ったら助手に昇格だ」
「先が長い……」
「はっはっは。私の隣はそんなに楽じゃないよ」
四宮先生は手を机の上に置いてコンコンと叩く。
「次の依頼ができるまでは休息だ。ゆっくり休みたまえ」
「やっぱりまだやるんですね」
「当たり前だ。残るレベル98まではきっちり働いてもらわないとな。それに、私のおかげで君は彼女をゲットしたんだ。感謝の依頼ぐらいしてもらわないとな」
「棚から牡丹餅に肖ろうとしないでください」
「良いだろ。別に。それとも、君から教えてもらったことを安藤さんに話して幻滅させてやろうか」
「それはやめていただきたいです」
幻滅はしないだろうが、日和のキャラが崩壊する恐れがある。理想と現実は区別しておかなければいけない。
「なに照れ笑いを浮かべている。気持ち悪いぞ」
頭で考えていたこととは裏腹に僕は喜んでいるらしい。理想どおりの日和もまた魅力的だと思っている自分がいるみたいだ。
「なーんか、ムカつくな。浮かれ陽キャ擬きめ。爆発させてくれよう」
四宮先生は近くにあったガムテープを手に取る。
これはまさか『ガムテープすね毛取り』をしようと企んでいるのではないだろうか。
「陽キャは爆発しないでしょ」
そう言って、後ろに歩を一歩進める。
「太陽は膨張を続けているんだ。爆発する可能性だってある。なら、陽キャも同じだろ」
逃げようとしているのを察すると、先生は瞬時に立ち上がり、僕との距離を近づけた。
「どう言う理屈ですか?」
「理屈など関係ない。とりあえず、私は君を犯したいんだよ」
「やるならせめて『わいせつ罪』にしてください」
「残念。私が行うのは『傷害罪』と決まっている」
結局、僕は先生に拘束されてガムテープですね毛を取られることとなった。
怖い人だが、この人のおかげで学校生活が充実しているのは確かかもしれない。
次の依頼の間、しばらく休息を取ることになった。
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