保健室の先生に召使にされた僕はお悩み解決を通して学校中の女子たちと仲良くなっていた

結城 刹那

文字の大きさ
68 / 138
2章:千丈真奈(部員を5人集めよ)

お泊まりデート2

しおりを挟む
 日和の部屋は以前来た時とほとんど変わっていなかった。
 当たり前だ。最後に来たのは二週間ほど前なのだから。この前の休日は僕たちと遊んでいたし、模様替えする暇はない。

 ただ、一つだけ変わっていた点があった。
 飯塚さんとゲームセンターに行った時に取ったウサギのぬいぐるみ。それが勉強机の右端に置かれていた。

 目につく場所に置いてくれていることを嬉しく感じた。

「お待たせ~」

 部屋の中を見回っていると、日和がお盆片手に入ってくる。お盆には二つの緑茶が置かれていた。

「何していたの?」

 日和はそう尋ねながらお盆をテーブルの上に置く。
 おそらく荷物も置かずに立っていたから気になっていたのだろう。

「いや。特には。ただ、部屋を見回してただけ」

「もしかして、変なものでも探そうとしてた?」

 不敵な笑みを浮かべて僕を見る。
 先ほど紅潮する様子を見られたお返しだろうか。

「変なものとは?」

 回答はせず、おうむ返しする。
 日和は目を大きくさせてから唇を尖らせてこちらを覗いた。

「私の口から言わせようとするなんて文也は卑猥だね」

「僕が卑猥になるのは日和が卑猥なことを考えていたからでしょ」
 
「っ!」

 図星を突かれたためか、再び頬のあたりを赤く染めた。

「ひとまず! ご飯を食べよう! お腹すいた!」

 強引に話題を変える。いつもの穏やかさはなくなり、子供のように怒る。二人きりだと怖さは可愛さに変わるらしい。

 二人分の鞄を置いてから、スーパーで買ったお寿司やら惣菜を置く。

 いただきますと二人で唱えて互いに適当に食にありつく。買ってきたものは独り占めせず、共有することになっていた。僕も日和もお腹が空いていたからか無言で黙々と食べ、すぐに空っぽになった。

「イベントの開催にあたって場所とタイムスケジュールはどうしようか?」

 お茶を飲んで一息つきながら今日決めた内容を元に次のことを考える。
 問いかけたものの日和から返事はなかった。どうしたのだろうと彼女を見ると、ジト目をこちらに向けている。

「何かあった?」

「別に。文也って『私と仕事、どっちが大事なの?』って聞いたら仕事って答えそうだなと思って」

「え? どうして?」

「はあ……」

 察せられなかったためか日和はため息を漏らす。
 中学時代、結花にも同じようなことをされたなと昔を思い出す。

「せっかく恋人同士二人っきりになれたんだから自分たちの話をしようよ」

「ああ、なるほど。それもそうか」

「もちろん。言遊部の存続は大事なことだよ。私もできる限り真奈ちゃんには報われて欲しいから。でも……」

 一度口を閉じ、自分の髪を弄ぶ。

「それ以上に私のことを大事にしてほしい」

 唇を震わせながら恥ずかしそうに言う。
 僕は時間が止まったように動けなくなった。穏やかな様子から何も隠していないと思っていたが、大きなものを抱え込んでいたらしい。

「ごめん。ただ、日和のことは一番大事だと思っている。嘘じゃない」

 彼女の目を直視する。
 潤った瞳が綺麗に輝く。感情が動いているように感じられた。
 しかし、瞬きをした途端に瞳から一切の純情さが消える。

「なんだか嘘っぽい。クズ男の特徴に該当しそう」

「なんでそうなるんだよ」

 結構面倒臭いかもしれない。日和の言動に心の中で頭を抱える。

「けど、文也を信じる。だって文也が好きだから」

 返された言葉に、心の中の僕は消え去った。
 日和にはいつもの穏やかさが戻っていた。いや、いつも以上に心が清らかになった穏やかさだ。

 どうやら僕の言葉は届いたらしい。やっぱり結構面倒くさいかも。

「ご、ご飯食べたばっかりだけど、お風呂に入ってくるね」

 いつまでも穏やかなままではいられなかったらしい。
 自身の発言の痛さに羞恥心を抱えたのか、僕をずっと見てくれた視線が嘘だったかのように、全く視線を合わせずに部屋を出ていった。

 僕としてもありがたい。
 今になって心臓の鼓動が高まり始めた。
 先ほどのやりとりがフラッシュバックする。二人とも芝居を打っているのではないかと思えるほど、発言に台詞感が否めなかった。

 とりあえず、気持ちを落ち着けることに専念する。
 気持ちを整理する間に色々なことが頭をよぎった。特によぎったのは、日和の言った「変なものでも探そうとしてた?」だ。

 そういえば、風呂に入ってくると言ったわりには何も持たずに出ていったな。
 下着類はこの部屋にはないのか。もし、この部屋にあった場合、日和は全裸で戻ってくることになるのではないか。

 不安が頭をよぎる。
 合法的とはいえ、裸を見るのは憚られる。避けた方がいい。

 部屋に下着がないかを確認するため、僕は再び部屋に視線を走らせた。
 下着をしまっているとしたら、棚か、あるいはベッドの下か。

 候補が見つかったなら、すぐに行動に移すべし。
 腰を上げ、一番近くにあったベッド下の引き出しに手を伸ばす。
 なんだか疾しさを感じる。でも、仕方がない。探さなければ、もっと疾しい結果を迎えることがあるのだ。

 恐る恐るベッド下の引き出しを開ける。

「こ、これは……」

 僕は思わず絶句した。
 ベッドの下には『電気マッサージ機』が置かれていたのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

処理中です...