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2章:千丈真奈(部員を5人集めよ)
Re部活勧誘
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「が、が、が、頑張るね!」
千丈先輩は声を震わせながら拳を握った。昨日と同じ状況に不安を覚える。
いつもの僕なら「まずは大きく息を吐いてからゆっくり息を吸い込みましょう」と言って彼女を落ち着かせただろう。しかし、昨日行った時に緊張のあまり吐きそうになっていたので、やめるべきだろう。
「頑張ってください!」
だから僕は彼女に念を送るように両肩を叩いて気合いを注入した。
千丈先輩は目を大きくし、微動だにしなくなった。
「どうかしましたか?」
「えっ! あ、いや。こんなところひよちゃんに見られたらまずいなって」
「何か言った?」
お化けのように背後から日和がそっと姿を現す。
「ひ、ひよちゃん! ち、違うの! これは最上くんが私に気合いを入れようとしれてたの!」
千丈先輩は慌てふためきながら弁解する。僕はそんなにまずいことをしてしまったのだろうか。
「ふふっ。分かってるよ」
日和は笑顔で答える。怖さはなく、純粋な笑みだった。
千丈先輩はほっと一息つく。杞憂だったことに安堵している様子だ。
「さて、時間もないので、最初のクラスに行きましょう」
話が終わったところで千丈先輩に声をかけ、最初に部活勧誘を行うクラスへと向かった。辿り着くや否や彼女の背中を押して、躊躇させないようにする。
「い、いってきます!」
空元気のような絡まった声音で告げると、戦場である教室に足を運んでいった。
昨日と同様、前の扉や中間地点の窓から教室の雰囲気を伺う。数人が入ってきた見ず知らずの生徒に興味を示している。
「今日の日和は随分と機嫌がいいようだけど、昨日私たちが帰ってきた後に何かあった?」
横では飯塚先輩が日和に話しかけていた。彼女もまた千丈先輩を気にして来てくれたらしい。でも、今は日和のご機嫌な様子が気になっているみたいだ。
「そ、そうかな~。いつも通りだと思うけど」
「はっはーん。日和は嘘が下手だな。何か隠していることがバレバレだよ?」
「何も隠してないよ。昨日はただ一緒にご飯食べただけだし」
僕も加わるべきところだろうが、今は千丈先輩の行く末を見守りたい。飯塚先輩の相手は日和に任せて、僕は千丈先輩を注視する。
千丈先輩は相変わらずロボットのようなぎこちない動きをしていた。
機械的な動きをしながらクラス全体を見渡す。動きはどんどん大きくなって僕を向いた。助けて欲しいらしい。
僕は部員ではないため加わることはできない。ただ、応援なら可能だ。千丈先輩の顔を見て、頑張ってという意味を込めて大きく頷いた。
千丈先輩は息を呑み、顔を引き締める。
胸に手を当て口から息を吸う。そして、ほのかに聞こえる音量で息を吸った。
「わ、私は……こ、言遊部の千丈真奈と申します」
初めて第一声を言うことができた。十分な進歩だ。
教室では「言遊部って何?」「そんな部活あったっけ?」などの声が聞こえてくる。部活勧誘はせず、ポスターは学年だよりと同化していたのだから無理もない。
「言遊部は言葉を使って遊んだり、議論したりする部活です」
第一声が言えたことで緊張が吹き飛んだのかスラスラと話せるようになった。
教室では「面白いのかな……」「部活って感じではなさそう」と言った否定的な意見が飛び交っている。
「現在、部員は私一人で、このままでは廃部になる可能性があります。もし、少しでも興味のある方がいれば図書室左の部屋に来ていただけるとありがたいです。よろしくお願いします」
千丈先輩は願いを込めて深く一礼した。
教室では「部員一人とか可哀想」「一人で言葉遊びって壁とキャッチボールしてるのかな?」と嘲笑う声が聞こえた。流石に腹が立つ。
「すみませーん!」
すると、一人の女子生徒が大きく手を挙げる。
茶髪ポニーテール。華奢な体。朗らかな様子は飯塚先輩に似ているところがある。インドアというよりもアウトドアなイメージが似合う少女だが言遊部に興味を持ってくれたのか。
「は、はい! 何かありましたか?」
「言葉で遊ぶって具体的に何をやるんですか?」
「えっとですね……例えば『カタカナ禁止ゲーム』だったり『SNSで話題になっている投稿について意味を考える』だったり『街中を散策して、言葉の意味を人の動作から連想したり』とか色々ですね」
「へー、必ずしも部屋で行うわけではないんですね」
「言葉を扱うなら何でもありです。新しく作ってくれたって構いません。私もまだ活動については試行錯誤中ですから」
「わかりました。丁寧に答えてくれてありがとうございます」
「はい! では、みなさんありがとうございました」
一人の女子生徒が食いついてくれたおかげで千丈先輩はすっかり元気になったみたいだ。機械的な動きは一切排除された滑らかな動きで教室を後にする。
「はー、緊張したー」
「お疲れ様です。いい演説でしたよ」
「ありがとう。興味を持ってくれた子が居て何よりだった。この調子で次のクラスに行こう」
気合い十分といった様子で両拳を握る。
「それなんですけど、少しだけお暇させてもらってもいいですか?」
「え? う、うん。いいけど」
「私たちがいるから安心して」
僕たちの話を聞いていたのか日和が声をかけた。飯塚先輩は腰を下ろして爪先を押さえている。しつこかったから武力行使に出たみたいだ。可哀想だが、自業自得だな。
「あとはよろしく。千丈先輩、さっきの調子で頑張ってください」
「うん! 絶対に成功させてみせるよ」
千丈先輩は僕に向けて親指を立てる。その様子から心配はいらないと悟った。
頷き、その場を後にする。先ほど千丈先輩が通った扉を潜り抜けた。
せっかく興味を持ってくれた人がいるのだ。今話さない手はない。
千丈先輩は声を震わせながら拳を握った。昨日と同じ状況に不安を覚える。
いつもの僕なら「まずは大きく息を吐いてからゆっくり息を吸い込みましょう」と言って彼女を落ち着かせただろう。しかし、昨日行った時に緊張のあまり吐きそうになっていたので、やめるべきだろう。
「頑張ってください!」
だから僕は彼女に念を送るように両肩を叩いて気合いを注入した。
千丈先輩は目を大きくし、微動だにしなくなった。
「どうかしましたか?」
「えっ! あ、いや。こんなところひよちゃんに見られたらまずいなって」
「何か言った?」
お化けのように背後から日和がそっと姿を現す。
「ひ、ひよちゃん! ち、違うの! これは最上くんが私に気合いを入れようとしれてたの!」
千丈先輩は慌てふためきながら弁解する。僕はそんなにまずいことをしてしまったのだろうか。
「ふふっ。分かってるよ」
日和は笑顔で答える。怖さはなく、純粋な笑みだった。
千丈先輩はほっと一息つく。杞憂だったことに安堵している様子だ。
「さて、時間もないので、最初のクラスに行きましょう」
話が終わったところで千丈先輩に声をかけ、最初に部活勧誘を行うクラスへと向かった。辿り着くや否や彼女の背中を押して、躊躇させないようにする。
「い、いってきます!」
空元気のような絡まった声音で告げると、戦場である教室に足を運んでいった。
昨日と同様、前の扉や中間地点の窓から教室の雰囲気を伺う。数人が入ってきた見ず知らずの生徒に興味を示している。
「今日の日和は随分と機嫌がいいようだけど、昨日私たちが帰ってきた後に何かあった?」
横では飯塚先輩が日和に話しかけていた。彼女もまた千丈先輩を気にして来てくれたらしい。でも、今は日和のご機嫌な様子が気になっているみたいだ。
「そ、そうかな~。いつも通りだと思うけど」
「はっはーん。日和は嘘が下手だな。何か隠していることがバレバレだよ?」
「何も隠してないよ。昨日はただ一緒にご飯食べただけだし」
僕も加わるべきところだろうが、今は千丈先輩の行く末を見守りたい。飯塚先輩の相手は日和に任せて、僕は千丈先輩を注視する。
千丈先輩は相変わらずロボットのようなぎこちない動きをしていた。
機械的な動きをしながらクラス全体を見渡す。動きはどんどん大きくなって僕を向いた。助けて欲しいらしい。
僕は部員ではないため加わることはできない。ただ、応援なら可能だ。千丈先輩の顔を見て、頑張ってという意味を込めて大きく頷いた。
千丈先輩は息を呑み、顔を引き締める。
胸に手を当て口から息を吸う。そして、ほのかに聞こえる音量で息を吸った。
「わ、私は……こ、言遊部の千丈真奈と申します」
初めて第一声を言うことができた。十分な進歩だ。
教室では「言遊部って何?」「そんな部活あったっけ?」などの声が聞こえてくる。部活勧誘はせず、ポスターは学年だよりと同化していたのだから無理もない。
「言遊部は言葉を使って遊んだり、議論したりする部活です」
第一声が言えたことで緊張が吹き飛んだのかスラスラと話せるようになった。
教室では「面白いのかな……」「部活って感じではなさそう」と言った否定的な意見が飛び交っている。
「現在、部員は私一人で、このままでは廃部になる可能性があります。もし、少しでも興味のある方がいれば図書室左の部屋に来ていただけるとありがたいです。よろしくお願いします」
千丈先輩は願いを込めて深く一礼した。
教室では「部員一人とか可哀想」「一人で言葉遊びって壁とキャッチボールしてるのかな?」と嘲笑う声が聞こえた。流石に腹が立つ。
「すみませーん!」
すると、一人の女子生徒が大きく手を挙げる。
茶髪ポニーテール。華奢な体。朗らかな様子は飯塚先輩に似ているところがある。インドアというよりもアウトドアなイメージが似合う少女だが言遊部に興味を持ってくれたのか。
「は、はい! 何かありましたか?」
「言葉で遊ぶって具体的に何をやるんですか?」
「えっとですね……例えば『カタカナ禁止ゲーム』だったり『SNSで話題になっている投稿について意味を考える』だったり『街中を散策して、言葉の意味を人の動作から連想したり』とか色々ですね」
「へー、必ずしも部屋で行うわけではないんですね」
「言葉を扱うなら何でもありです。新しく作ってくれたって構いません。私もまだ活動については試行錯誤中ですから」
「わかりました。丁寧に答えてくれてありがとうございます」
「はい! では、みなさんありがとうございました」
一人の女子生徒が食いついてくれたおかげで千丈先輩はすっかり元気になったみたいだ。機械的な動きは一切排除された滑らかな動きで教室を後にする。
「はー、緊張したー」
「お疲れ様です。いい演説でしたよ」
「ありがとう。興味を持ってくれた子が居て何よりだった。この調子で次のクラスに行こう」
気合い十分といった様子で両拳を握る。
「それなんですけど、少しだけお暇させてもらってもいいですか?」
「え? う、うん。いいけど」
「私たちがいるから安心して」
僕たちの話を聞いていたのか日和が声をかけた。飯塚先輩は腰を下ろして爪先を押さえている。しつこかったから武力行使に出たみたいだ。可哀想だが、自業自得だな。
「あとはよろしく。千丈先輩、さっきの調子で頑張ってください」
「うん! 絶対に成功させてみせるよ」
千丈先輩は僕に向けて親指を立てる。その様子から心配はいらないと悟った。
頷き、その場を後にする。先ほど千丈先輩が通った扉を潜り抜けた。
せっかく興味を持ってくれた人がいるのだ。今話さない手はない。
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