うさメンに噛まれてあげる!

真田 真幸

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親友の暴露とハロウィンパーティーへの招待状

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『私…アンタが“君嶋ゆこ”だった事をバラしちゃった!』

貴子の思わぬ告白に、私は明らかに発作以外の理由で目眩を覚えていた。

 元々、私が全否定したところで、“君嶋ゆこ”と完全に別人だと彼を思わせられたとは、いくらなんでも思っていなかった。

限り無く黒に近いグレー…。

私が認めないから“君嶋ゆこ”だと断定できない。

彼はそんな風に思っていたと思う。

 最初はキミちゃんを貴子が叱りつけてるのを聞かれたという全くの不可抗力だったとはいえ、“最後は誤魔化すのが面倒になって、全部話してしまった”と言って貴子は、あっけらかんと開き直っていた。

「仁彦から柚子と宇佐美さん、なかなか良い雰囲気になりかけてたって聞いたよ?それなら丁度良いじゃない?“本気で彼が好きなのは“誰”なのか?”を確認出来るし。付き合ってから“やっぱり違う…”なんて言われて柚子が傷つく前に分かると思えばさ。」

「そういう問題じゃ…」

「遅かれ早かれな問題じゃない?だったら早い方が良いに決まってる!」

「貴子!」

「それに…アンタ、“君嶋ゆこ”を知っている人を好きになるの初めてでしょ?」

「!?」

「意図的に避けていたのか…それとも偶然か?どちらか分からないけど、一方的に“君嶋ゆこ”のファンに好かれることがあっても、アンタが“君嶋ゆこ”を知っている人間を好きになったことは…私の記憶が正しければ、なかったと思うんだけど?」

多くはない歴代の彼氏を思い出して考える…。

「…確かに…なかったかも…。」

「今度、宇佐美さんに会うまでにどっちに転んでも良いように腹を括っておくことね。」

貴子は退院手続きをしてくると言って、病室を出て行った。

一人になると、やたら自分の心臓の音が大きく聞こえて落ち着かない気持ちになった。

私はそれを振り払うようにベッドから起き上がり、帰り支度を始めた。





 あれから数日が過ぎ10月も末に差し掛かった頃、彼のインタビュー記事の入稿も無事に終わり、私は次号の特集記事の準備に追われていた。

忙しい毎日は変わらない。

だけど、気が付くと彼のことを考えていた。

私が無事に退院したことは、キミちゃんによって彼に連絡されていた。

「樹は暫くはイベントやらで忙しいらしい。台湾に呼ばれてるとか言ってた。」

そう言ってキミちゃんが、時折、何気なく彼の話をしてくるからというのもある。

私から心配かけてしまったことを謝りたいと思っていたのだけど…未だに出来ていない。

 私から彼に連絡するだけのことなのだが、いざ、今日こそは電話をかけよう!メールを打とう!と決意してスマホと向き合っても、何を話せば良いのか分からなくなり、何度も心折れて、結局は臆病な私は敵前逃亡を繰り返していた。

 そんな、ある日のランチタイム。

代休だった貴子から連絡があり、会社近くのビストロで一緒にランチを摂ることになった。

「くじ引きコスプレ・ハロウィンナイト?」

「うん、事前にくじ引きを引いて、そこに書いてあるキャラのコスプレをするの。大人になるとハロウィンとはいえコスプレするって、気恥ずかしいじゃない?思いっきり楽しむために、主催者で仁彦の友達のスタイリストがあえてくじ引きにしたらしい。」

「へぇ…」

「“へぇ…”じゃないわよ!アンタも参加するのよ!コレ、アンタの招待状!」

「はぁ!?」

差し出された招待状を見て、思わず声を上げ貴子を見ると、ニヒヒ…と企み顔で笑っていた。

「毎日仕事に没頭してプライベートを忘れてるWorkaholicワーカーホリックなアンタには丁度良いイベントだと思うわ。非現実を楽しんで少しは発散しないとね!ちなみに、私も仁彦もアンタもエントリー済み。当日くじ引きして本格的にメイクもしてもらうからそのつもりでね!」

「わ、私、その日は…「丁度、予定無いでしょ?仁彦がアンタにリサーチ済み!」」

逃げ道を求めて目線を空にさ迷わせ、やっと声を出した私だったが、被ってきた貴子の言葉によって完全に逃げ道を塞がれてしまった。

「諦めて楽しみましょ?ゆ・ず・こ!」

私は両手で頭を抱えたが、結局は貴子に強制的に了承させられ、10月の最終週の土曜日に私はハロウィンナイトに参加することになった。





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