9 / 18
親友の暴露とハロウィンパーティーへの招待状
しおりを挟む
『私…アンタが“君嶋ゆこ”だった事をバラしちゃった!』
貴子の思わぬ告白に、私は明らかに発作以外の理由で目眩を覚えていた。
元々、私が全否定したところで、“君嶋ゆこ”と完全に別人だと彼を思わせられたとは、いくらなんでも思っていなかった。
限り無く黒に近いグレー…。
私が認めないから“君嶋ゆこ”だと断定できない。
彼はそんな風に思っていたと思う。
最初はキミちゃんを貴子が叱りつけてるのを聞かれたという全くの不可抗力だったとはいえ、“最後は誤魔化すのが面倒になって、全部話してしまった”と言って貴子は、あっけらかんと開き直っていた。
「仁彦から柚子と宇佐美さん、なかなか良い雰囲気になりかけてたって聞いたよ?それなら丁度良いじゃない?“本気で彼が好きなのは“誰”なのか?”を確認出来るし。付き合ってから“やっぱり違う…”なんて言われて柚子が傷つく前に分かると思えばさ。」
「そういう問題じゃ…」
「遅かれ早かれな問題じゃない?だったら早い方が良いに決まってる!」
「貴子!」
「それに…アンタ、“君嶋ゆこ”を知っている人を好きになるの初めてでしょ?」
「!?」
「意図的に避けていたのか…それとも偶然か?どちらか分からないけど、一方的に“君嶋ゆこ”のファンに好かれることがあっても、アンタが“君嶋ゆこ”を知っている人間を好きになったことは…私の記憶が正しければ、なかったと思うんだけど?」
多くはない歴代の彼氏を思い出して考える…。
「…確かに…なかったかも…。」
「今度、宇佐美さんに会うまでにどっちに転んでも良いように腹を括っておくことね。」
貴子は退院手続きをしてくると言って、病室を出て行った。
一人になると、やたら自分の心臓の音が大きく聞こえて落ち着かない気持ちになった。
私はそれを振り払うようにベッドから起き上がり、帰り支度を始めた。
あれから数日が過ぎ10月も末に差し掛かった頃、彼のインタビュー記事の入稿も無事に終わり、私は次号の特集記事の準備に追われていた。
忙しい毎日は変わらない。
だけど、気が付くと彼のことを考えていた。
私が無事に退院したことは、キミちゃんによって彼に連絡されていた。
「樹は暫くはイベントやらで忙しいらしい。台湾に呼ばれてるとか言ってた。」
そう言ってキミちゃんが、時折、何気なく彼の話をしてくるからというのもある。
私から心配かけてしまったことを謝りたいと思っていたのだけど…未だに出来ていない。
私から彼に連絡するだけのことなのだが、いざ、今日こそは電話をかけよう!メールを打とう!と決意してスマホと向き合っても、何を話せば良いのか分からなくなり、何度も心折れて、結局は臆病な私は敵前逃亡を繰り返していた。
そんな、ある日のランチタイム。
代休だった貴子から連絡があり、会社近くのビストロで一緒にランチを摂ることになった。
「くじ引きコスプレ・ハロウィンナイト?」
「うん、事前にくじ引きを引いて、そこに書いてあるキャラのコスプレをするの。大人になるとハロウィンとはいえコスプレするって、気恥ずかしいじゃない?思いっきり楽しむために、主催者で仁彦の友達のスタイリストがあえてくじ引きにしたらしい。」
「へぇ…」
「“へぇ…”じゃないわよ!アンタも参加するのよ!コレ、アンタの招待状!」
「はぁ!?」
差し出された招待状を見て、思わず声を上げ貴子を見ると、ニヒヒ…と企み顔で笑っていた。
「毎日仕事に没頭してプライベートを忘れてるWorkaholicなアンタには丁度良いイベントだと思うわ。非現実を楽しんで少しは発散しないとね!ちなみに、私も仁彦もアンタもエントリー済み。当日くじ引きして本格的にメイクもしてもらうからそのつもりでね!」
「わ、私、その日は…「丁度、予定無いでしょ?仁彦がアンタにリサーチ済み!」」
逃げ道を求めて目線を空にさ迷わせ、やっと声を出した私だったが、被ってきた貴子の言葉によって完全に逃げ道を塞がれてしまった。
「諦めて楽しみましょ?ゆ・ず・こ!」
私は両手で頭を抱えたが、結局は貴子に強制的に了承させられ、10月の最終週の土曜日に私はハロウィンナイトに参加することになった。
貴子の思わぬ告白に、私は明らかに発作以外の理由で目眩を覚えていた。
元々、私が全否定したところで、“君嶋ゆこ”と完全に別人だと彼を思わせられたとは、いくらなんでも思っていなかった。
限り無く黒に近いグレー…。
私が認めないから“君嶋ゆこ”だと断定できない。
彼はそんな風に思っていたと思う。
最初はキミちゃんを貴子が叱りつけてるのを聞かれたという全くの不可抗力だったとはいえ、“最後は誤魔化すのが面倒になって、全部話してしまった”と言って貴子は、あっけらかんと開き直っていた。
「仁彦から柚子と宇佐美さん、なかなか良い雰囲気になりかけてたって聞いたよ?それなら丁度良いじゃない?“本気で彼が好きなのは“誰”なのか?”を確認出来るし。付き合ってから“やっぱり違う…”なんて言われて柚子が傷つく前に分かると思えばさ。」
「そういう問題じゃ…」
「遅かれ早かれな問題じゃない?だったら早い方が良いに決まってる!」
「貴子!」
「それに…アンタ、“君嶋ゆこ”を知っている人を好きになるの初めてでしょ?」
「!?」
「意図的に避けていたのか…それとも偶然か?どちらか分からないけど、一方的に“君嶋ゆこ”のファンに好かれることがあっても、アンタが“君嶋ゆこ”を知っている人間を好きになったことは…私の記憶が正しければ、なかったと思うんだけど?」
多くはない歴代の彼氏を思い出して考える…。
「…確かに…なかったかも…。」
「今度、宇佐美さんに会うまでにどっちに転んでも良いように腹を括っておくことね。」
貴子は退院手続きをしてくると言って、病室を出て行った。
一人になると、やたら自分の心臓の音が大きく聞こえて落ち着かない気持ちになった。
私はそれを振り払うようにベッドから起き上がり、帰り支度を始めた。
あれから数日が過ぎ10月も末に差し掛かった頃、彼のインタビュー記事の入稿も無事に終わり、私は次号の特集記事の準備に追われていた。
忙しい毎日は変わらない。
だけど、気が付くと彼のことを考えていた。
私が無事に退院したことは、キミちゃんによって彼に連絡されていた。
「樹は暫くはイベントやらで忙しいらしい。台湾に呼ばれてるとか言ってた。」
そう言ってキミちゃんが、時折、何気なく彼の話をしてくるからというのもある。
私から心配かけてしまったことを謝りたいと思っていたのだけど…未だに出来ていない。
私から彼に連絡するだけのことなのだが、いざ、今日こそは電話をかけよう!メールを打とう!と決意してスマホと向き合っても、何を話せば良いのか分からなくなり、何度も心折れて、結局は臆病な私は敵前逃亡を繰り返していた。
そんな、ある日のランチタイム。
代休だった貴子から連絡があり、会社近くのビストロで一緒にランチを摂ることになった。
「くじ引きコスプレ・ハロウィンナイト?」
「うん、事前にくじ引きを引いて、そこに書いてあるキャラのコスプレをするの。大人になるとハロウィンとはいえコスプレするって、気恥ずかしいじゃない?思いっきり楽しむために、主催者で仁彦の友達のスタイリストがあえてくじ引きにしたらしい。」
「へぇ…」
「“へぇ…”じゃないわよ!アンタも参加するのよ!コレ、アンタの招待状!」
「はぁ!?」
差し出された招待状を見て、思わず声を上げ貴子を見ると、ニヒヒ…と企み顔で笑っていた。
「毎日仕事に没頭してプライベートを忘れてるWorkaholicなアンタには丁度良いイベントだと思うわ。非現実を楽しんで少しは発散しないとね!ちなみに、私も仁彦もアンタもエントリー済み。当日くじ引きして本格的にメイクもしてもらうからそのつもりでね!」
「わ、私、その日は…「丁度、予定無いでしょ?仁彦がアンタにリサーチ済み!」」
逃げ道を求めて目線を空にさ迷わせ、やっと声を出した私だったが、被ってきた貴子の言葉によって完全に逃げ道を塞がれてしまった。
「諦めて楽しみましょ?ゆ・ず・こ!」
私は両手で頭を抱えたが、結局は貴子に強制的に了承させられ、10月の最終週の土曜日に私はハロウィンナイトに参加することになった。
0
あなたにおすすめの小説
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
恋と首輪
山猫
恋愛
日本屈指の名門・城聖高校には、生徒たちが逆らえない“首輪制度”が存在する。
絶対的支配者・東雲財閥の御曹司、東雲 蓮の「選んだ者」は、卒業まで彼の命令に従わなければならない――。
地味で目立たぬ存在だった月宮みゆは、なぜかその“首輪”に選ばれてしまう。
冷酷非情と思っていた蓮の、誰にも見せない孤独と優しさに触れた時、みゆの心は静かに揺れはじめる。
「おめでとう、今日から君は俺の所有物だ。」
イケメン財閥御曹司
東雲 蓮
×
「私はあなたが嫌いです。」
訳あり平凡女子
月宮 みゆ
愛とか恋なんて馬鹿らしい。 愚かな感情だ。
訳ありのふたりが、偽りだらけの学園で紡ぐカーストラブ。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
一条さん結婚したんですか⁉︎
あさとよる
恋愛
みんなの憧れハイスペックエリートサラリーマン『一条 美郷(※超イケメン)』が、結婚してしまった⁉︎
嫁ラブの旦那様と毒舌地味嫁(花ちゃん)....とっ!その他大勢でお送りしますっ♡
((残念なイケメンの一途過ぎる溺愛♡))のはじまりはじまり〜
⭐︎本編は完結しております⭐︎
⭐︎番外編更新中⭐︎
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる