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2話ー新しいパパよー

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音を立てないように下に降りて行って、声の出どころであろうリビングに向かった

ドアが少し開いていて、中を若干覗けるくらいの隙間がある

私はその隙間から中を覗いてみたが、母と男は丁度死角に入っていたため、顔すら見えなかった

(声だけで楽しむか…)

そう判断した私はその場に座り込んだ

「ええ…そうなのよ、フフフ」

「そうか、楽しみだなぁ」

母と男の声が聞こえて来るが



おかしい。



声が色っぽくないぞ?

何やら楽しげだ

「あの子にはまだ秘密なの」

母の声だ

秘密とはどう言う事なのだろうか?

私は秘密と言われると何が何でも知りたくなるタイプだ

開いている隙間に顔をめり込ませるようにして中を覗いた

しかしギリギリの所で何も見えなくて、それが頭に来た私は、後少し!と心の中で叫んで頑張る

そして頑張り過ぎたせいで転んだ

自分でも転ぶ瞬間にベタだなーとコメントを入れて倒れた

勿論母は私に気が付いて驚いた様子で再び死にかけの芋虫のように床に這い蹲る私を見下ろしていた

「伊織ちゃん?!どうしたの?こんな時間に…」

「どうしたのって…下から声がしたから気になって来てみたんだけど…

まずこの状況を説明してよ、その人誰?」

少し威圧した感じで男を睨みながら母に問いかけた

それに少し腹が立ったのか、母はムッとした表情で言った

「こら!伊織ちゃん!そんな失礼な態度取るんじゃありません!

先ずはその芋虫みたいな体制をどうにかしなさい!」

急に説教された私はキョトンとしながらも正座した

「いい?この人は如月賢治さん、あなたの新しいパパになる人よ!」





「…


へ?」



>>第3話ー認めたくないー
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