『潮が満ちたら、会いに行く』

古代の誇大妄想家

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 次の日、僕は班長として、磯部で貝などの魚介類を獲る事になった。
「久しぶりの班長だな。嫌になったら、いつでも代わってやるぞ?」
キドさんに揶揄され、僕は「今まですみませんでした」と、正直に謝った。
「謝るなら、行動で示して下さいよ」
「カラさんの石器で、何処に獲物がいるか示して下さいよ」
 マオとカオが僕の造ったモリを手渡し、「腕はなまっていませんよね?」と、少し挑発的な声色で僕に言った。
「それなら、まずはコシさんの班は岩の間にいるタコなどを探して、僕と一緒に7歳の三人は来てくれ。モリの使い方を見せてやる」
  僕は自信半分不安半分のまま指示を出し、班を二つに分けた。
「僕たちだけで、魚が獲れるのかな?」
 7歳の子の一人が不安そうな声を出したけれど、僕は「大丈夫だ」と、自信を持たせるように言った。
「三人には木の枝で魚を驚かしてもらい、僕の方に寄って来させる。そこを、僕がモリで刺すからな」
 僕はいつも使うモリよりも小さめな物も数本持ってきた。さすがに7歳の子どもがモリを投げて、魚を獲れるとは思わないが、練習させておくにこした事は無いかと思ったからだ。
「ほら、そっちに大きめな魚がいるから、持っている木の枝で驚かせてやれ」
 僕の掛け声で、三人は海面を激しく叩いた。そして、予想通り僕のいる方に向かって魚が泳いできた。
「失敗は、しないさ」
 僕は自分に言い聞かせるようにして呟き、モリを投げた。
 太陽が真上に昇る頃、僕たちは全員集合した。
「カラ、どうして魚がそんなにボロボロなんだ?」
 キドさんが不思議そうに、僕たちの獲って来た魚に注目した。
「カラさんが失敗したの」
 7歳の子の一人が言い、コシさんは「やっぱり、腕が落ちていたのか」と、ボロボロになっている魚を手に取った。
「途中で、手づかみでとれたんじゃないですか?」
ヨウも魚を見て、僕に言った。 
「そうなんだけど、僕が失敗した後に三人が『僕たちもってみる』って言って、みんなでモリを投げ合ったんだ」
 僕の説明にイケが魚を手に取り、地面に置いて口を開いた。
「何度刺されても泳ぎ回る。僕はその魂に、感銘を受けました」
と、呟いた。皆がその言葉遣いに驚いた。
「イケ、それってガンさんが昔言っていた言葉と同じじゃないか」
キドさんがイケの頭に手をやり、イケは「え、そうなんですか?」と驚いた顔をした。
 僕は何だか久しぶりに、子供の仕事を楽しいと感じられた。
「遠くの友人もいいけど、近くの友人もいいだろ?」
イケの頭を抑えているキドさんが、僕に言った。
「そうですね。でも、レイも僕の大事な友人です」
 僕が答えると、キドさんは「なら、レイも僕の弟だな」と言った。
「サキさんが怒りますよ?」
「構わないさ。僕は気の強い女性の方が話しやすいからな」
 キドさんはそう言いつつ、村の方を見た。その方向には、装飾品造りをしているナホさんら女性たちが仕事をしている。

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