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夜遅く、月が雲に隠れることがあったので、僕はガンさんに「焚火を焚いておきませんか?」と提案した。
「それがいい」
ガンさんが賛同してくれ、僕はウドさんと共に焚火を焚き、砂浜で待つ事にした。
「何かあったのか?」
ウドさんに尋ねられ、僕は「やっぱり、わかりますか?」と、苦笑しつつ答えた。
「そりゃわかるさ。カラが何かをしようと提案する時、単なる思い付きだった時はないからな」
ウドさんに言われ、僕は「今日は、少し思い付きですよ」と言い、自分の考えを少し話すことにした。それはもちろん、お父さんとシキさんの関係だ。
僕が話し終えると、ウドさんは「まあ、どうしようもないな」と、難しい顔つきになった。
「どうしようもないって、どういう事ですか?」
「どうしようもない事はどうしようもないさ。赦す赦さないは、酋長とシキさんが決める事だし。酋長も、自分がカラに嫌われるかもしれないと分かっていても話したんだ。俺がカラに出来ることは無いし、今さら過去に酋長がシキさんに酷い事をしたって、糾弾することも出来ない」
ウドさんのいう事は正しいのだろう。僕がお父さんとシキさんに今出来る事など無いし、お父さんを今さら責めたとしても、何も変わらないだろう。
「それは、わかっています。でも・・」
「でも、か。カラ、お前がやらなきゃいいんだ」
「やらなきゃいいって、どういう事ですか?」
「過去の酋長の様に、誰かに酷い事をしなきゃいいんだ。入江にいるレイって子供も、もしかしたら足が悪い事で仲間外れにされていたかもしれない。そういう事を、お前がしなきゃいい。過去を変える事なんて出来ない。ジンの兄のザシさんも、ずっといじけていたようだった。そんな自分を変えようと、今頑張っているんだ。だからカラ、お前がする事は酋長を嫌う事じゃなくて、酷い事をする事を嫌う事だ」
ウドさんの話を聞き、僕は「そうですね」と、呟くように答えた。
「ウドさん、ウドさんはお父さんの事をどう思っていますか?」
「どう思うって、嫌いではないぞ。若すぎるって大人たちの意見もあったけど、柔軟な意見を取り入れるようになって、是川の村を発展させようとしているからな。もし頭の固い頑固なお爺さんだったら、子供の意見を聞かなかっただろうな。ガンさんも昔は頭が固かった。カラの提案も、右から左に流されていただろうな」
ウドさんは笑いながら言い、僕も少しだけ笑った。そして、僕はすぐに笑いを収めた。
「カラ、どうしたんだ?」
僕は、ウドさんの後ろを見た。
「うむ、ワシの頭は固いか。確かに固いのう。お前さんが小さな子供の時に悪戯をして、ワシが自分の頭でお前さんの頭を叩いた時の事を、今でもよく覚えておる」
ガンさんは自分の頭を拳で叩いた。その音は波の音よりも大きく響き渡った。
「ウドよ。過去に石斧よりも固いと言われたワシの頭を、試してみるか?」
ウドさんは後ろにいるガンさんを見て「固いのは、過去の事です」と言い、後ずさった。
「そう怖がるな。ほれ、帰ってきたようじゃぞ?」
ガンさんは海の方を指し、暗い海上に薄っすらと丸木舟が数漕見えた。
「こっちですよー!」
僕は船に向かって大きな声をあげた。
僕が声をあげると、船の方からも「おーい、帰ったぞー!」と言う、ヤンさんの声が聞こえた。
夜遅く、月が雲に隠れることがあったので、僕はガンさんに「焚火を焚いておきませんか?」と提案した。
「それがいい」
ガンさんが賛同してくれ、僕はウドさんと共に焚火を焚き、砂浜で待つ事にした。
「何かあったのか?」
ウドさんに尋ねられ、僕は「やっぱり、わかりますか?」と、苦笑しつつ答えた。
「そりゃわかるさ。カラが何かをしようと提案する時、単なる思い付きだった時はないからな」
ウドさんに言われ、僕は「今日は、少し思い付きですよ」と言い、自分の考えを少し話すことにした。それはもちろん、お父さんとシキさんの関係だ。
僕が話し終えると、ウドさんは「まあ、どうしようもないな」と、難しい顔つきになった。
「どうしようもないって、どういう事ですか?」
「どうしようもない事はどうしようもないさ。赦す赦さないは、酋長とシキさんが決める事だし。酋長も、自分がカラに嫌われるかもしれないと分かっていても話したんだ。俺がカラに出来ることは無いし、今さら過去に酋長がシキさんに酷い事をしたって、糾弾することも出来ない」
ウドさんのいう事は正しいのだろう。僕がお父さんとシキさんに今出来る事など無いし、お父さんを今さら責めたとしても、何も変わらないだろう。
「それは、わかっています。でも・・」
「でも、か。カラ、お前がやらなきゃいいんだ」
「やらなきゃいいって、どういう事ですか?」
「過去の酋長の様に、誰かに酷い事をしなきゃいいんだ。入江にいるレイって子供も、もしかしたら足が悪い事で仲間外れにされていたかもしれない。そういう事を、お前がしなきゃいい。過去を変える事なんて出来ない。ジンの兄のザシさんも、ずっといじけていたようだった。そんな自分を変えようと、今頑張っているんだ。だからカラ、お前がする事は酋長を嫌う事じゃなくて、酷い事をする事を嫌う事だ」
ウドさんの話を聞き、僕は「そうですね」と、呟くように答えた。
「ウドさん、ウドさんはお父さんの事をどう思っていますか?」
「どう思うって、嫌いではないぞ。若すぎるって大人たちの意見もあったけど、柔軟な意見を取り入れるようになって、是川の村を発展させようとしているからな。もし頭の固い頑固なお爺さんだったら、子供の意見を聞かなかっただろうな。ガンさんも昔は頭が固かった。カラの提案も、右から左に流されていただろうな」
ウドさんは笑いながら言い、僕も少しだけ笑った。そして、僕はすぐに笑いを収めた。
「カラ、どうしたんだ?」
僕は、ウドさんの後ろを見た。
「うむ、ワシの頭は固いか。確かに固いのう。お前さんが小さな子供の時に悪戯をして、ワシが自分の頭でお前さんの頭を叩いた時の事を、今でもよく覚えておる」
ガンさんは自分の頭を拳で叩いた。その音は波の音よりも大きく響き渡った。
「ウドよ。過去に石斧よりも固いと言われたワシの頭を、試してみるか?」
ウドさんは後ろにいるガンさんを見て「固いのは、過去の事です」と言い、後ずさった。
「そう怖がるな。ほれ、帰ってきたようじゃぞ?」
ガンさんは海の方を指し、暗い海上に薄っすらと丸木舟が数漕見えた。
「こっちですよー!」
僕は船に向かって大きな声をあげた。
僕が声をあげると、船の方からも「おーい、帰ったぞー!」と言う、ヤンさんの声が聞こえた。
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