『潮が満ちたら、会いに行く』

古代の誇大妄想家

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 次の日の朝、僕は二人の大きな声で目が覚めた。
「イケ、カニを取ってくれ」
「え、そんなに動かれると取れませんよ」
 どうやらウドさんのお尻を、カニが挟んだようだ。
「どうして、ウドさんはカニに挟まれているんでしょうか?」 
 僕は眠たい目を擦り、身体に乗っかっているお兄ちゃんの足を退かしてから、二人の様子を眺めていたロウさんに尋ねた。
「きっと、ウドさんには土の臭い、ミミズや虫か何かの臭いが付いているんだろうな」
 ロウさんの言葉を聞き、僕はミミズをエサにして、レイとカニや小エビを釣った事を思い出した。
「ウドの臭いって、カニの好物なのか?」
 ラドさんも起き出し、二人の様子を眺めた。
 朝食はウドさんを鋏んだカニと、イケが新たに捕まえたカニを茹でて食べた。鳥の燻製もあったが、すぐに腐ることは無いので、念のためにとっておくことにした。
「さあ、早く行くぞ」
 ロウさんが少し早めに腰を上げた。
「どうして、そんなに急ぐんですか?」
 カニの殻を、最後まで噛んでいたイケがロウさんに尋ねた。
「去年聞いたんだが、今年の二ッ森の人たちは海の近くではなく、山の奥に住むことにしたらしいんだ」
 僕が行った時は海の近くに住んでおり、湖の水も海水が混じり、しょっぱかった事を覚えている。
「山奥って、どれくらいですか?」
 僕が尋ねると、ロウさんは「迷うほどの奥ではないが、湖の水が土にしみ込んで泥濘があるから、時間がかかるそうだ」と言い、コシさんの顔を曇らせた。
「イケ、履物を固く結んでおけよ」
 ウドさんがイケに言い、僕も履物が脱げないよう、きつく結んだ。

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