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第2章 二回目の学園生活
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「アン! おはよう!」
学園へ復帰して五日目。
今朝も馬車を降りるなり殿下の出迎えを受けた。
……婚約者とはいえ王子に毎朝出迎えられるというのもおかしな話だと思うのだけれど。
嬉しそうな殿下の顔を見るとダメともいえない。
「おはようございます、殿下」
「いつも可愛いけど、今日の髪型も可愛いね」
恥ずかしげもなくそんな言葉を口にする殿下は……すごいと思う。
ゲームではワンコ系王子というキャラだったけれど、全身で私への好意を現す殿下は本当に犬のようだ。
最近は殿下のお尻から大きな尻尾がブンブン揺れているような……幻覚が見える気がする。
「ところでアン。明日の休日、王宮に来られる?」
「王宮ですか」
「温室で百合が咲き始めたんだ。お祖母様が、アンに見せたい百合があると言っている」
「冬の百合……!」
聞いたことがある。
王宮の温室では冬でも夏の花を咲かせると。
百合は大好きな花だ。
前世の名前『由莉』も、『リリアン』も、百合から取った名前だ。
――そういえば、前に『冬にも百合が咲けばいいのに』とローズモンドに言ったように思う。
「来られる?」
「はい!是非行きたいですわ」
とっても楽しみだ。
「ああもう、そんなに笑顔で。アンは本当に可愛いな」
言うなり殿下は私を抱きしめた。
途端に周囲から悲鳴やら歓声が聞こえる。
「で、殿下!」
「そんな可愛い顔、他のやつには見せちゃダメだよ」
可愛い顔って……!
この五日間、毎朝繰り広げられる殿下の出迎えは名物のようになってしまっているらしく、日に日に私たちへ送られる視線が増えている。
今日も何人もの生徒がこちらを見ているその中に、ヒロインらしき例の彼女の顔もあった。
「リリアン!会いたかったわ!」
顔を見るなりローズモンドは私を抱きしめてきた。
「ローズ……くるしい……」
六十代とは思えないくらい強い力でぎゅうぎゅうと抱きしめられる。
「ああもう、ホント昔のリリアンのままで可愛いわ……!」
――確かにマリアンヌは可愛いけれど。
私は……ローズモンドに比べれば普通だったと思うのだけれど。
「お祖母様。その辺でアンから離れてください」
むっとした表情の殿下が私とローズモンドを無理やり引き離すと、私の腕を取り自分へと引き寄せた。
「嫉妬深い男は嫌われるわよ、フレデリク」
くすり、とローズモンドは笑みを浮かべた。
「確かにリリアンは可愛いから独り占めしたくなるのも分かるけれどね。学生の時も大変だったのよ」
「え?」
「リリアンはとてもモテたのよ。アルノー様やエドガール様が牽制していたし、貴女鈍いから気づいていなかったでしょうけれど」
――え、そうなの?
「私がモテる?どうして?」
「だって可愛いし。抜けてる所もあるから、男性からすると放っておけないのよね」
抜けてるって!
お兄様もそんなようなことを言っていたらしいけれど……
「……ちゃんとしていたつもりなのだけれど」
「勉強や立ち振る舞いはね。天然っていうのかしら、変な所で油断しているし。特に異性関係には鈍かったわ。人の恋愛のことばかり気にして自分に向けられる目線には全く気付いていなかったでしょう」
それは……私はお助けキャラだったから。
ローズモンドの恋を応援するのが私の役目だったのだ。
私にはアルノーという婚約者もいたし、自分には恋愛なんて必要なかったのだ。
「まあいいわ、温室へ行きましょう」
ローズモンドに促されて私たちは歩き出した。
学園へ復帰して五日目。
今朝も馬車を降りるなり殿下の出迎えを受けた。
……婚約者とはいえ王子に毎朝出迎えられるというのもおかしな話だと思うのだけれど。
嬉しそうな殿下の顔を見るとダメともいえない。
「おはようございます、殿下」
「いつも可愛いけど、今日の髪型も可愛いね」
恥ずかしげもなくそんな言葉を口にする殿下は……すごいと思う。
ゲームではワンコ系王子というキャラだったけれど、全身で私への好意を現す殿下は本当に犬のようだ。
最近は殿下のお尻から大きな尻尾がブンブン揺れているような……幻覚が見える気がする。
「ところでアン。明日の休日、王宮に来られる?」
「王宮ですか」
「温室で百合が咲き始めたんだ。お祖母様が、アンに見せたい百合があると言っている」
「冬の百合……!」
聞いたことがある。
王宮の温室では冬でも夏の花を咲かせると。
百合は大好きな花だ。
前世の名前『由莉』も、『リリアン』も、百合から取った名前だ。
――そういえば、前に『冬にも百合が咲けばいいのに』とローズモンドに言ったように思う。
「来られる?」
「はい!是非行きたいですわ」
とっても楽しみだ。
「ああもう、そんなに笑顔で。アンは本当に可愛いな」
言うなり殿下は私を抱きしめた。
途端に周囲から悲鳴やら歓声が聞こえる。
「で、殿下!」
「そんな可愛い顔、他のやつには見せちゃダメだよ」
可愛い顔って……!
この五日間、毎朝繰り広げられる殿下の出迎えは名物のようになってしまっているらしく、日に日に私たちへ送られる視線が増えている。
今日も何人もの生徒がこちらを見ているその中に、ヒロインらしき例の彼女の顔もあった。
「リリアン!会いたかったわ!」
顔を見るなりローズモンドは私を抱きしめてきた。
「ローズ……くるしい……」
六十代とは思えないくらい強い力でぎゅうぎゅうと抱きしめられる。
「ああもう、ホント昔のリリアンのままで可愛いわ……!」
――確かにマリアンヌは可愛いけれど。
私は……ローズモンドに比べれば普通だったと思うのだけれど。
「お祖母様。その辺でアンから離れてください」
むっとした表情の殿下が私とローズモンドを無理やり引き離すと、私の腕を取り自分へと引き寄せた。
「嫉妬深い男は嫌われるわよ、フレデリク」
くすり、とローズモンドは笑みを浮かべた。
「確かにリリアンは可愛いから独り占めしたくなるのも分かるけれどね。学生の時も大変だったのよ」
「え?」
「リリアンはとてもモテたのよ。アルノー様やエドガール様が牽制していたし、貴女鈍いから気づいていなかったでしょうけれど」
――え、そうなの?
「私がモテる?どうして?」
「だって可愛いし。抜けてる所もあるから、男性からすると放っておけないのよね」
抜けてるって!
お兄様もそんなようなことを言っていたらしいけれど……
「……ちゃんとしていたつもりなのだけれど」
「勉強や立ち振る舞いはね。天然っていうのかしら、変な所で油断しているし。特に異性関係には鈍かったわ。人の恋愛のことばかり気にして自分に向けられる目線には全く気付いていなかったでしょう」
それは……私はお助けキャラだったから。
ローズモンドの恋を応援するのが私の役目だったのだ。
私にはアルノーという婚約者もいたし、自分には恋愛なんて必要なかったのだ。
「まあいいわ、温室へ行きましょう」
ローズモンドに促されて私たちは歩き出した。
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