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第3章 惹かれる心
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「…え…」
突然の言葉にルーチェは息を飲んだ。
「魔力…私に?」
「我がフラーウム家は五家の調和を維持するのが役目。僅かな魔力も感知する能力がある」
ルーチェを見つめてランドは言った。
「部屋に入って来た時から気になっていた。君の魔力は五家のものとはまた違う…初めて感じる種類のものだ」
「私は…しがない子爵家の娘で…」
「子爵?君、名前は」
「———ルーチェ・ソレイユです…」
「ルーチェ、ね」
ランドはロゼを見た。
「この間渡り人の王妃の話をしたよね」
「あ、はい…」
「その王妃もね、五家とは違う魔力を持っていて、名前が〝ルーチェ〟と言うんだ」
「え…」
「それにこの髪の色」
ランドはルーチェに視線を戻した。
「魔力は髪色に現れる。先祖の日記によると、その王妃の髪色は花のような薄紅色だったそうだよ。君と同じだね」
「ルーチェ…」
ロゼはルーチェを見た。
「…ランド様に話しましょう」
「でも…」
「偶然だと思えないもの」
「ロゼ。君は何か知っているのか」
目線を合わせて、ルーチェが小さく頷いたのを見て、ロゼはランドに向いた。
「ルーチェは…私が飛ばされた世界で出会った友人なんです」
「飛ばされた世界で?…つまり君は渡り人なのか」
「…いえ」
ルーチェは緩く首を振った。
「渡り人というか…私は、この世界に転生したんです」
「転生?」
「雫…ロゼ様がいなくなってから半年くらい経った頃に、突然光に包まれて…。白い、人の形をしたものに…この世界に転生しないかと聞かれて。それを受け入れたんです」
「白い人の形…」
「もしかして…それが女神?」
ロゼは首を傾げた。
「どうかしら…何も名乗らなかったから」
「女性の声だったのでしょう?」
「そうだけど…」
「ふうむ。面白いな」
ランドはその顔に笑みを浮かべた。
「今の話で仮説を立てるならば。かつて五家に魔力を与えた女神が再び〝光の乙女〟をこの国に降臨させたという事になるが。問題は何故そうする必要があるかだな」
ロゼとルーチェは顔を見合わせた。
「もう少し二百年前の事を探ってみる必要があるな」
楽しそうな表情でランドは言った。
「ランド様って…研究熱心というか、学者って感じですね」
二人は宰相室へと戻る廊下を歩いていた。
「…大学の細田先生を思い出すの」
「あー分かる!やだ懐かしいー」
納得したように大きく頷いたルーチェに、ロゼは安堵の笑みを浮かべた。
「ごめんね。勝手にひかりの事、ランド様に明かしてしまって」
「…いいの、言い逃れできそうになかったし」
ランドの知識があれば、ルーチェが疑問に思っている事、不安な事が解決できるかもしれない。
ルーチェは立ち止まるとロゼに向いた。
「雫…いえ、ロゼ様はヴァイス様の事が好きなのですか?」
「…え?!」
唐突な問いにロゼは大きく目を見開いた。
「す…かどうかは分からないけれど…」
みるみるその頬が赤く染まっていく。
「……もっと…知りたいと…一緒にいたいと思うわ」
「———そうですか」
ひかりの知る限り、雫が誰かを好きになった事はなかったはずだ。
これが恋なのかはまだ分かっていないのだろうけれど、ヴァイスを見つめるロゼの表情は明らかに恋する女性のそれだった。
「明後日のデート、楽しみですね」
「…え、デート?」
「———二人で出掛けるのだからデートでしょう」
「っ!」
大きな瞳がますます大きく身開かれた。
「デ…デート…」
「…もしかして自覚していなかったんですか」
あからさまにうろたえ始めたロゼに思わずため息が漏れる。
「だ、だって…どうしよう」
涙目になるとロゼはルーチェの腕を掴んだ。
「ねえルーチェ、あなたも一緒に…」
「行くわけないでしょう。…そもそも私は王宮の侍女なんですよ」
ロゼが王宮に来る時は側にいるよう命じられているけれど。
本来ならばルーチェは宰相の執務室が仕事場なのだ。
「…だけど…」
「初デートなんですから、ヴァイス様に全てお任せすればいいんです」
ヴァイスにロゼを任せる事に、一抹の不安はあるけれど。
———ロゼは〝ヒロイン〟ではないし…ヴァイスのロゼへの眼差しを見る限り、ルーチェが不安に感じるような事は起きないはず。
何よりも、あの二人が一緒にいる時の顔やその間に流れる空気を見てしまったら———反対など出来るはずもない。
「楽しんできて下さいね」
ルーチェはロゼの手をぎゅっと握りしめた。
突然の言葉にルーチェは息を飲んだ。
「魔力…私に?」
「我がフラーウム家は五家の調和を維持するのが役目。僅かな魔力も感知する能力がある」
ルーチェを見つめてランドは言った。
「部屋に入って来た時から気になっていた。君の魔力は五家のものとはまた違う…初めて感じる種類のものだ」
「私は…しがない子爵家の娘で…」
「子爵?君、名前は」
「———ルーチェ・ソレイユです…」
「ルーチェ、ね」
ランドはロゼを見た。
「この間渡り人の王妃の話をしたよね」
「あ、はい…」
「その王妃もね、五家とは違う魔力を持っていて、名前が〝ルーチェ〟と言うんだ」
「え…」
「それにこの髪の色」
ランドはルーチェに視線を戻した。
「魔力は髪色に現れる。先祖の日記によると、その王妃の髪色は花のような薄紅色だったそうだよ。君と同じだね」
「ルーチェ…」
ロゼはルーチェを見た。
「…ランド様に話しましょう」
「でも…」
「偶然だと思えないもの」
「ロゼ。君は何か知っているのか」
目線を合わせて、ルーチェが小さく頷いたのを見て、ロゼはランドに向いた。
「ルーチェは…私が飛ばされた世界で出会った友人なんです」
「飛ばされた世界で?…つまり君は渡り人なのか」
「…いえ」
ルーチェは緩く首を振った。
「渡り人というか…私は、この世界に転生したんです」
「転生?」
「雫…ロゼ様がいなくなってから半年くらい経った頃に、突然光に包まれて…。白い、人の形をしたものに…この世界に転生しないかと聞かれて。それを受け入れたんです」
「白い人の形…」
「もしかして…それが女神?」
ロゼは首を傾げた。
「どうかしら…何も名乗らなかったから」
「女性の声だったのでしょう?」
「そうだけど…」
「ふうむ。面白いな」
ランドはその顔に笑みを浮かべた。
「今の話で仮説を立てるならば。かつて五家に魔力を与えた女神が再び〝光の乙女〟をこの国に降臨させたという事になるが。問題は何故そうする必要があるかだな」
ロゼとルーチェは顔を見合わせた。
「もう少し二百年前の事を探ってみる必要があるな」
楽しそうな表情でランドは言った。
「ランド様って…研究熱心というか、学者って感じですね」
二人は宰相室へと戻る廊下を歩いていた。
「…大学の細田先生を思い出すの」
「あー分かる!やだ懐かしいー」
納得したように大きく頷いたルーチェに、ロゼは安堵の笑みを浮かべた。
「ごめんね。勝手にひかりの事、ランド様に明かしてしまって」
「…いいの、言い逃れできそうになかったし」
ランドの知識があれば、ルーチェが疑問に思っている事、不安な事が解決できるかもしれない。
ルーチェは立ち止まるとロゼに向いた。
「雫…いえ、ロゼ様はヴァイス様の事が好きなのですか?」
「…え?!」
唐突な問いにロゼは大きく目を見開いた。
「す…かどうかは分からないけれど…」
みるみるその頬が赤く染まっていく。
「……もっと…知りたいと…一緒にいたいと思うわ」
「———そうですか」
ひかりの知る限り、雫が誰かを好きになった事はなかったはずだ。
これが恋なのかはまだ分かっていないのだろうけれど、ヴァイスを見つめるロゼの表情は明らかに恋する女性のそれだった。
「明後日のデート、楽しみですね」
「…え、デート?」
「———二人で出掛けるのだからデートでしょう」
「っ!」
大きな瞳がますます大きく身開かれた。
「デ…デート…」
「…もしかして自覚していなかったんですか」
あからさまにうろたえ始めたロゼに思わずため息が漏れる。
「だ、だって…どうしよう」
涙目になるとロゼはルーチェの腕を掴んだ。
「ねえルーチェ、あなたも一緒に…」
「行くわけないでしょう。…そもそも私は王宮の侍女なんですよ」
ロゼが王宮に来る時は側にいるよう命じられているけれど。
本来ならばルーチェは宰相の執務室が仕事場なのだ。
「…だけど…」
「初デートなんですから、ヴァイス様に全てお任せすればいいんです」
ヴァイスにロゼを任せる事に、一抹の不安はあるけれど。
———ロゼは〝ヒロイン〟ではないし…ヴァイスのロゼへの眼差しを見る限り、ルーチェが不安に感じるような事は起きないはず。
何よりも、あの二人が一緒にいる時の顔やその間に流れる空気を見てしまったら———反対など出来るはずもない。
「楽しんできて下さいね」
ルーチェはロゼの手をぎゅっと握りしめた。
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