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風の章
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「そもそも精霊って何なんだ?」
ルキウスの言葉にアリアとサラマンダーは顔を見合わせた。
三人はガーランド領へ向かう馬車に乗っていた。
『何だとはなんだ』
「精霊って光の玉なんだろう?だけど喋ったり不思議な力を使ったりするし…人間や他の動物とは全然違うから」
『ではそもそも人間とは何だ』
「え?…ええと…」
『それと同じだ。そういうものとして存在している、聞かれても知らん』
「じゃあ光の玉と今の人間の姿と、どっちが本当の姿なんだ?」
『本当の姿はどちらでもない』
「え?」
ルキウスとアリアは声を揃えて聞き返した。
『見たいか?』
二人はこくこくと頷いた。
サラマンダーの身体が赤い光に包まれた。
光が消えるとそこには翼を生やした、犬くらいの大きさの、一体のトカゲに似た赤い生き物がいた。
「わあ…」
『馬車が壊れるからこれも本当の大きさではないがな』
「ふわふわしてる…」
アリアが手を伸ばし、毛の生えた頭を撫でるとサラマンダーは気持ちよさそうにその目を細めた。
「可愛い…」
呟いて尖った鼻の頭にキスを落とした。
「っアリア何してるの!」
ルキウスは慌ててアリアをサラマンダーから引き離した。
「何って…」
「キスなんかするなよ!」
「だって可愛いんだもの」
「可愛いって…これサラマンダーだよ?」
『これくらいで妬くな』
サラマンダーは丸くなると呆れたようにため息をついた。
「…もう人間の姿に戻っていいよ」
『この姿が楽なんだ』
「私も…こっちの方が可愛くて好きだわ」
「———何でいつもは人間の姿になってるんだ?」
長い尾をパタパタと振るサラマンダーをアリアが触りたそうにうずうずしているのを察して、その手を握りしめながらルキウスは尋ねた。
『この姿で王宮内をウロウロしていたら皆が驚くだろう』
「…他の精霊もそういう形が本当の姿なのか?」
『シルフやウンディーネは人と同じ姿だな。ノームは全身緑色の小人だ』
「小さい光の玉の精霊は?」
『あれは力が弱い精霊だ。意志はあるが何かの姿にはなれない』
「…じゃあ———いや、いいや」
ルキウスは何か言いたげにアリアをちらと見て、首を振った。
「ねえルキウス…サラマンダーを膝に乗せていい?」
「は?膝…?」
「ダメ…?」
上目遣いで懇願され、ルキウスはぐっと息を飲んだ。
「……少しだよ」
「ありがとう」
アリアは顔を輝かせるとサラマンダーに手を伸ばした。
翼を羽ばたかせたサラマンダーはアリアの膝の上にふわり、と着地した。
「ふふ」
アリアはゆっくりとサラマンダーの頭を撫でた。
「サラマンダーは普段この姿にはならないの?」
『自分の塔にいる時は元に戻っている。人の形を取るのは人間の前だけだな』
王宮の一角に精霊の塔と呼ばれる高い塔が建っている。
そこはサラマンダーや精霊達の住む場所とされ、人間は入れない事になっていた。
「どうして王宮に住んでいるの?」
鱗の生えた背中を撫ぜながらアリアは尋ねた。
「他の精霊は森とか自然の中に住んでいて人間とはあまり関わらないのに、サラマンダーは人間と一緒に暮らしているのね」
『ルキウスの先祖———初代の王と約束したからだ』
「約束?」
『あれが死んだ後も王都と一族を護ると』
「…初めて聞いた」
『古い話だ』
「ずっと約束を守っているのね」
『友人だからな』
目を閉じてサラマンダーは答えた。
ルキウスの言葉にアリアとサラマンダーは顔を見合わせた。
三人はガーランド領へ向かう馬車に乗っていた。
『何だとはなんだ』
「精霊って光の玉なんだろう?だけど喋ったり不思議な力を使ったりするし…人間や他の動物とは全然違うから」
『ではそもそも人間とは何だ』
「え?…ええと…」
『それと同じだ。そういうものとして存在している、聞かれても知らん』
「じゃあ光の玉と今の人間の姿と、どっちが本当の姿なんだ?」
『本当の姿はどちらでもない』
「え?」
ルキウスとアリアは声を揃えて聞き返した。
『見たいか?』
二人はこくこくと頷いた。
サラマンダーの身体が赤い光に包まれた。
光が消えるとそこには翼を生やした、犬くらいの大きさの、一体のトカゲに似た赤い生き物がいた。
「わあ…」
『馬車が壊れるからこれも本当の大きさではないがな』
「ふわふわしてる…」
アリアが手を伸ばし、毛の生えた頭を撫でるとサラマンダーは気持ちよさそうにその目を細めた。
「可愛い…」
呟いて尖った鼻の頭にキスを落とした。
「っアリア何してるの!」
ルキウスは慌ててアリアをサラマンダーから引き離した。
「何って…」
「キスなんかするなよ!」
「だって可愛いんだもの」
「可愛いって…これサラマンダーだよ?」
『これくらいで妬くな』
サラマンダーは丸くなると呆れたようにため息をついた。
「…もう人間の姿に戻っていいよ」
『この姿が楽なんだ』
「私も…こっちの方が可愛くて好きだわ」
「———何でいつもは人間の姿になってるんだ?」
長い尾をパタパタと振るサラマンダーをアリアが触りたそうにうずうずしているのを察して、その手を握りしめながらルキウスは尋ねた。
『この姿で王宮内をウロウロしていたら皆が驚くだろう』
「…他の精霊もそういう形が本当の姿なのか?」
『シルフやウンディーネは人と同じ姿だな。ノームは全身緑色の小人だ』
「小さい光の玉の精霊は?」
『あれは力が弱い精霊だ。意志はあるが何かの姿にはなれない』
「…じゃあ———いや、いいや」
ルキウスは何か言いたげにアリアをちらと見て、首を振った。
「ねえルキウス…サラマンダーを膝に乗せていい?」
「は?膝…?」
「ダメ…?」
上目遣いで懇願され、ルキウスはぐっと息を飲んだ。
「……少しだよ」
「ありがとう」
アリアは顔を輝かせるとサラマンダーに手を伸ばした。
翼を羽ばたかせたサラマンダーはアリアの膝の上にふわり、と着地した。
「ふふ」
アリアはゆっくりとサラマンダーの頭を撫でた。
「サラマンダーは普段この姿にはならないの?」
『自分の塔にいる時は元に戻っている。人の形を取るのは人間の前だけだな』
王宮の一角に精霊の塔と呼ばれる高い塔が建っている。
そこはサラマンダーや精霊達の住む場所とされ、人間は入れない事になっていた。
「どうして王宮に住んでいるの?」
鱗の生えた背中を撫ぜながらアリアは尋ねた。
「他の精霊は森とか自然の中に住んでいて人間とはあまり関わらないのに、サラマンダーは人間と一緒に暮らしているのね」
『ルキウスの先祖———初代の王と約束したからだ』
「約束?」
『あれが死んだ後も王都と一族を護ると』
「…初めて聞いた」
『古い話だ』
「ずっと約束を守っているのね」
『友人だからな』
目を閉じてサラマンダーは答えた。
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