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異世界
鮮やかな炎
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鮮やかに輝く火の玉が、目の前でユラユラと揺れている。幻想的な光景に思わずほぉ、と感嘆のため息を漏らす。
沢山の火の玉は、何かする訳でもなくそこに佇むだけだった。
何分かはぼーっと眺めているだけだったが、そこでハッとした。
この方達は僕の先輩ではないか、と。
そうなれば後輩として挨拶をしなければならない。よく幼なじみが愚痴っていたのを思い出す。“先輩に挨拶しないとしばかれる”と。正直とてもうるさかったけど聞いててよかった。覚えていた僕、ナイス。僕は挨拶をするために火の玉の前に出る。そして、またもハッとする。
………挨拶とは何を言えばいいのか。
困った。これは非常に困った。なんせ僕は、生まれてこの方、話した記憶が無い。もちろん、赤ん坊のときは泣いたり、叫んだり、喚いたりしていた。けど、喋れる年になっても僕は喋らなかった。そもそも、他人に興味が湧かなかったし、伝える必要がないとも思っていた。幼い頃から母さんの手伝いをしていたせいか、大体のことが自分で出来るようになってしまったからである。両親が亡くなったあとも、それは変わらなかった。まさかそれがここに来て仇となるとは、やはり百聞は一見にしかずとはこの事か。
どんなに嘆いても現実は変わらない。僕が考えている間にも、火の玉は浮き続けている。………とりあえず何かを喋ろう。そこからだ。
「………こ、こんにちは………。」
記念すべき僕の一言目はこんにちはだった。それを考えると、母さんのことちゃんと呼んであげれば良かったなんて、たった今おもった。
そんなことを頭の隅に追いやりながら、火の玉を見つめる。火の玉は、何も言わない。もう一度。
「こんにちは」
どうしたものか。反応が帰ってこないことが、こんなにも気まずいことだと初めて知った。そして、今までそれをやっていたと考えると申し訳ない気持ちになる。
「どこから来たの?」
「どうしているの?」
「あなたは誰?」
「なんで?」
「どうやってここに?」
「僕達のこと見えるの?」
いきなり、一斉に話しかけられる。けれど、今の今まで挨拶すら出来なかった僕にとって全てに答えるのは難易度があまりにも高すぎる。とりあえずゆっくり、1人ずつ答えていこうと再び火の玉たちと向き合う。
「僕は望鴉です。目が覚めたらここにいました。前まで叔母さんの所にいました。」
初めてにしては完璧かもしれない。なんて自画自賛をしながら火の玉たちの反応を伺う。
「どうして?」
「のあっていうの?」
「叔母さんの所?」
「怖くはないの?」
「僕達のことなんで見えるの?」
「どうして?」
どうしてと聞きたいのはこっちの方だ。それに、怖くないのと聞かれても僕は既に死んでいるし同種なら尚更恐怖など感じない。逆に親近感が湧く。
「怖くはないですね。それに、貴方たちは僕よりも長くここに居ます。僕からすると貴方達は先輩です。どうか、ここの事を教えて貰えませんか?」
後輩として完璧すぎる対応、誰か褒めてくれてもいいぞなんて真顔で考える。
「センパイ?」
「怖くない?」
「ほんとう?」
「いじめない?」
「殺さない?」
えっ!いじめられた末に殺されたの?なにそれ怖っ!部活とか興味なくてよかった。僕みたいなのが入部したらいじめられるの待ったナシじゃないか。今の世の中、虐めの末に殺されるのか……。歪な上下関係の恐ろしさを知る。
「貴方達を敬いこそすれ、虐めるなんでありませんよ。それに、何故いじめる必要があるのですか。先程を言いましたが僕はここの事が知りたいのです。どうか、僕に教えてはくれないでしょうか。先輩」
こっちは貴方達を尊敬していますよ~という気持ちを全面に出す。後輩が可愛くない先輩というのは極一部だと思う。僕は初めて媚を売った。
「ほんとう?」
「ほんとう?」
「………嬉しい」
「嬉しい!」
「センパイ!!」
やはりな。読みは当たった。
「綺麗だね」
「キラキラしてる」
「それに怖くない」
「………連れて帰ろっか」
「賛成!」
「いいね!」
「やった!」
おおっと、急展開。ちょっと待ってよ。僕の意見はなしですかい。くっ、これが上下関係。
僕は応答無しに、先輩達に眠らされた。
沢山の火の玉は、何かする訳でもなくそこに佇むだけだった。
何分かはぼーっと眺めているだけだったが、そこでハッとした。
この方達は僕の先輩ではないか、と。
そうなれば後輩として挨拶をしなければならない。よく幼なじみが愚痴っていたのを思い出す。“先輩に挨拶しないとしばかれる”と。正直とてもうるさかったけど聞いててよかった。覚えていた僕、ナイス。僕は挨拶をするために火の玉の前に出る。そして、またもハッとする。
………挨拶とは何を言えばいいのか。
困った。これは非常に困った。なんせ僕は、生まれてこの方、話した記憶が無い。もちろん、赤ん坊のときは泣いたり、叫んだり、喚いたりしていた。けど、喋れる年になっても僕は喋らなかった。そもそも、他人に興味が湧かなかったし、伝える必要がないとも思っていた。幼い頃から母さんの手伝いをしていたせいか、大体のことが自分で出来るようになってしまったからである。両親が亡くなったあとも、それは変わらなかった。まさかそれがここに来て仇となるとは、やはり百聞は一見にしかずとはこの事か。
どんなに嘆いても現実は変わらない。僕が考えている間にも、火の玉は浮き続けている。………とりあえず何かを喋ろう。そこからだ。
「………こ、こんにちは………。」
記念すべき僕の一言目はこんにちはだった。それを考えると、母さんのことちゃんと呼んであげれば良かったなんて、たった今おもった。
そんなことを頭の隅に追いやりながら、火の玉を見つめる。火の玉は、何も言わない。もう一度。
「こんにちは」
どうしたものか。反応が帰ってこないことが、こんなにも気まずいことだと初めて知った。そして、今までそれをやっていたと考えると申し訳ない気持ちになる。
「どこから来たの?」
「どうしているの?」
「あなたは誰?」
「なんで?」
「どうやってここに?」
「僕達のこと見えるの?」
いきなり、一斉に話しかけられる。けれど、今の今まで挨拶すら出来なかった僕にとって全てに答えるのは難易度があまりにも高すぎる。とりあえずゆっくり、1人ずつ答えていこうと再び火の玉たちと向き合う。
「僕は望鴉です。目が覚めたらここにいました。前まで叔母さんの所にいました。」
初めてにしては完璧かもしれない。なんて自画自賛をしながら火の玉たちの反応を伺う。
「どうして?」
「のあっていうの?」
「叔母さんの所?」
「怖くはないの?」
「僕達のことなんで見えるの?」
「どうして?」
どうしてと聞きたいのはこっちの方だ。それに、怖くないのと聞かれても僕は既に死んでいるし同種なら尚更恐怖など感じない。逆に親近感が湧く。
「怖くはないですね。それに、貴方たちは僕よりも長くここに居ます。僕からすると貴方達は先輩です。どうか、ここの事を教えて貰えませんか?」
後輩として完璧すぎる対応、誰か褒めてくれてもいいぞなんて真顔で考える。
「センパイ?」
「怖くない?」
「ほんとう?」
「いじめない?」
「殺さない?」
えっ!いじめられた末に殺されたの?なにそれ怖っ!部活とか興味なくてよかった。僕みたいなのが入部したらいじめられるの待ったナシじゃないか。今の世の中、虐めの末に殺されるのか……。歪な上下関係の恐ろしさを知る。
「貴方達を敬いこそすれ、虐めるなんでありませんよ。それに、何故いじめる必要があるのですか。先程を言いましたが僕はここの事が知りたいのです。どうか、僕に教えてはくれないでしょうか。先輩」
こっちは貴方達を尊敬していますよ~という気持ちを全面に出す。後輩が可愛くない先輩というのは極一部だと思う。僕は初めて媚を売った。
「ほんとう?」
「ほんとう?」
「………嬉しい」
「嬉しい!」
「センパイ!!」
やはりな。読みは当たった。
「綺麗だね」
「キラキラしてる」
「それに怖くない」
「………連れて帰ろっか」
「賛成!」
「いいね!」
「やった!」
おおっと、急展開。ちょっと待ってよ。僕の意見はなしですかい。くっ、これが上下関係。
僕は応答無しに、先輩達に眠らされた。
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