僕が世界で生きるため

らくよう

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第1章〜生活〜

日記

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まず最初に僕の身長やら袖の長さやらを測る。ここで僕の身長が146だと知って少し凹んだ。

本にある“反物”という布があるか探していく。先程はどんな種類の布があるかを確認しただけで和服で使われる布を知っていた訳では無いから、あるか少し不安になった。
……さすが女神。少し探せばたくさんの反物がでてきた。色も女性らしくない青や紺、黒などの落ち着いた色もある。触り心地もとてもいい。多分ウール。
僕はそれらの中から紺と青のグラデーションがかかった反物を選んだ。
本にあるように一旦使う反物を付けておく。本には6時間とある。……あまりに長いので、少しびっくり。

僕はその間に、昨日と同じようにご飯を作ったり、食後のハーブティを飲んだり、風呂に入ったりした。
けれど、6時間というのはあまりに長い。僕は直ぐに暇になってしまった。
だから、僕は図書館で本を読むことにした。

**********

「……圧巻」

3度目でも凄いしか感想が出てこない図書館。もはや芸術と言ってもいいほどに整頓されている。
僕はその中をじっくりと見て回る。
この図書館の凄いところは、本が分類別に並んでいる所だと思う。
僕は何冊か手に取ってパラパラと読んでみる。面白そうだと思ったら真ん中にある小さな机の上に積み上げていく。
するとあっという間に21冊積まれていた。さすがに多かったかな、とは思ったがこれだけの本があるのだから別にいいかと考え直してさっさと撤退する。本当に本というのは時間が経つのがはやくなる。外は少し夕日がかっていた。

僕が選んだ本は“ハーブ・薬草”に関する本を6冊、“魔法”に関する本を5冊、“衣服”についての本を3冊、“暮らし”に関する本を4冊。そして最後にこの“世界”に関する本が3冊、合計で21冊。

「……?」

僕は確かに21冊だけ選んだが、22あった。しかも、22冊目は選んだ覚えも見た覚えもない。
その本は周りの本よりも古びている。けれどそれ以上に美しい。表紙が革で作られており、 ワインレッドの何とも言えない渋みがまた上品に思わせる。
僕は中をめくって読んでみる。


1日目

私は今日、やっと1人前と認めてもらった。本当に、兄さん達は心配性ね。確かに私は少し雑だったり、面倒くさがりだったりするかもしれないけど、7日間で世界を造った兄さんよりかはマシだと思うの。絶対に兄さんよりも楽しくて自由で人々が幸せになるような世界を創るんだから。この日記には私がやったこと、これからやることを綴って行こうと思うの。これからの励みになるように毎日やっていくわ。

誰かの日記…?いや、この場合は女神の日記か。この日記で最後に残っていた優しい女神様のイメージが壊れた。……明るい女性だったんだね。うん。


2日目

とりあえず世界の構造を決めなきゃ。私は兄さんの世界の人が望んだ世界を創りたい。きっとそれが幸せだからその物語を創ったと思うから。それに、その願いは、想いは、どの種族もどの時代も変わらないはず。“神話”に出てくる神様はさすがに多すぎるから私1人だけだけど、私と同じぐらいの力を持つ生き物がいてもいいかも。でも、まず最初に“人族”“妖精”“精霊”の3つは外せないわ。うーん、あとは“亜人”かしら。見事に人型だけね。それ以外の動物とかは次に回すことにする。


3日目

人がいるなら食べるものがなくちゃ。普通の動物でもいいけどそれは何だか楽しくないし、魔法があるのにただの動物はないと思うのよね。“神話”にもたくさんの“幻獣”や“魔物”がいるもの。やっぱり兄さんの所の人々は想像が豊かね。私じゃ思いつかないもの。…兄さんが想像豊かなのかしら。とりあえず私には“魔獣”や“幻獣”は思い浮かばないから兄さんの所のを創ってみようかしら。


4日目

あ!すっかりわすれてた。この世界には死者の国は作らない。だって空に神様が住んでないのだから、地下に死者がいなくてもいいよね。けれど、魔法が許される世界だからきっとそのルールを破る者が現れるはず…。うーん、それは少し可哀想な気がしてきたわ。抜け道を考えてあげてもいいかしら。


5日目

仕方がないから、“アンデット”を創ることにした。えっと……“吸血鬼”や“幽霊”などかしら。この世界の基本のルールは“死者の魂は輪廻を巡る”こと、つまり何度も生まれ変わって生きること。だから“輪廻の輪から外れてしまった種族”を“幽霊”ということにする。吸血鬼は……最初は一体だけ創れば後は勝手に増えてくれるでしょう。“アンデット”は条件が揃えばどの種族でもなれるようにしようかしら。私ってばいい事思いつくじゃない!

次のページは真っ白だった。ペラペラとめくっても、もうどこにも続きは書いていなかった。

「女神様……。」

見事な三日…いや、五日坊主。せっかく面白くなってきたのに。

「……はぁ」

すっかり日は落ちていた。
僕は浸していた反物を干して、今日は休むことにした。
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