鬼の宴

さかばんばすぴす

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鬼の宴

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~●〇●~
「いや、おつかれさまでした~」

刹那が拍手をしながら言ってくれる。
ボクが撃沈している間に、なりそこないはしかるべき場所に送られたそうで、
とりあえず、一件落着だ。
…一件だけだけど。
くとは目をまだ回しているし、くるるも目は開いているが今にも閉じそうだ。
ボクも矢が刺さったところはなぜか回復したが、体力の限界がきている。

「で?ボクたちは帰れるの?」
「あーその話だけどね、もともと境界の不具合からできた問題だから普通に帰っていいってさ。」

普通に帰れない可能性があったのか、首とか取られたりしたのかな…?
でも、と刹那は続ける。

「ここでの記憶は消させてもらうからね、だって。」
「え?」

ということは、この件も、ライも、刹那も、スピカも…自分の種族も忘れちゃうってこと?
この数時間で目まぐるしく変わった人生観も、リセットってこと?

「まあ、別にいいんじゃねーか?もともと出会う運命じゃなかったし。」
「鬼の世界に人間だなんて、来ちゃいけないしね。」

世の中には知らなくてもいいものもたくさんあるとにこにこしながら言われた。
それをしかめっ面で聞いていると、くるるが尋ねる。

「たしか、こういう事例って過去にも…」
「そうそう、来ちゃった事例は結構あってね、
でも、一人ももう一回この世界に訪れたことはない。」

だから、と、

「この先お前らはいろいろな体験をして、
こんな不気味な体験以上に大切なことが増える。」
「そうして、いつか死んだとき、もし僕たちに出会えたら、その思い出聞かせてよ。」

目の前に、大きな大河が現れる。彼岸花はこちらに咲いていた。

背中を押される。
川には、鬼の影はなかった。
後ろは見えなかった。
視てはいけないものが、見える気がしたから。

水中特有の息苦しさに身を任せ、意識が遠のく。

また、出会えたら、
そのときは――――――――――――

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